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ロールオンパルスポイントフレグランスOEMが水性ベースでアルコールフリー

目次
ロールオンパルスポイントフレグランスOEMが水性ベースでアルコールフリー―製造現場の視点から読み解く業界最新動向
はじめに―新時代のフレグランス市場でOEMが果たす役割
近年、香水やフレグランス市場には新しいトレンドが生まれつつあります。
従来のアルコールベースで拡散力を重視した香水から、より肌に優しく利便性に長けた製品へのシフトが加速しています。
その中でも「ロールオンパルスポイントフレグランス」のOEM(受託生産)は、サステナブルな原料選定や、安全志向、カスタマイズ需要の高まりに応える形で注目を集めています。
特に、水性ベースでアルコールフリーという機能は、従来の香料製造の常識を書き換える大きな潮流となっています。
では、これらの製品が現場でどのように企画・調達・生産されてきたのか。
また、この水性ベース化とアルコールフリー化がOEM業界にもたらす影響や、今後の業界動向について、製造現場の視点で深掘りします。
なぜ今「水性ベース・アルコールフリー」なのか?
業界の大きな転換点は、消費者ニーズの変化によってもたらされました。
香水は従来、エタノール(アルコール)を主成分とし、その揮発力を利用して香りを広げていました。
しかし、昨今はアルコールに敏感な肌を持つ方や、小さなお子さまのいる家庭、宗教的・文化的理由などでアルコールフリー製品を求める声が強まっています。
小型化や携帯性の向上、そしてマスク着用文化の中でパーソナルスペースだけで楽しみたいという使い方の多様化も相まって、「ロールオン(Roll-on)」タイプが支持を拡大しています。
また、水溶性ベースへの移行は、揮発性を抑えて肌への穏やかな付着感を増すことで、アルコール特有のピリピリ感や特異臭を解消する方向へと進化しています。
水性ベースでアルコールフリーのロールオンフレグランス製造の現場課題
この新しい潮流を実現するには、従来の香料・化粧品製造ラインとは異なる知見が求められます。
長年、化粧品や香料分野で「現場至上主義」を貫いてきた私の視点から、主な現場課題を整理します。
1. 摺合せが難しい香料原料の選定・調達・評価
水性ベースは、香料との相溶性や安定性がアイソプロピルアルコールやエタノールに比べて著しく劣ります。
そのため、OEMメーカーは香料メーカーや原料商社と密に連携し、溶解性テストや各香料の物性評価を細やかに重ねる必要があります。
また、香料自体がアルコールなどの媒体で作られていることも多いため、「完全アルコールフリー」を実現するための配合選定は極めて高度な調達戦略が求められるのです。
2. 保存安定性と防腐設計の厳しさ
水性ベース製品は、アルコールベースに比べて微生物汚染リスクや腐敗リスクが高くなります。
OEMとしては、防腐剤を適切に配合する、製品の抗菌性・保存性を十分にテストするなど品質管理プロセスを再構築する必要があります。
万が一油断すると、ロット単位で出荷停止や全量廃棄もあり得るため、現場品質保証(QA)の視点が一層重要です。
3. 容器・ロールオンアプリケーター設計の工夫
水性ベースは従来よりも低粘度であることが多く、気密性や液だれ防止、攪拌性能を高めたロールオン容器の採用が必須です。
同時に、香りの定着性や塗布量をコントロールする工夫も求められるため、容器サプライヤーとの協働による継続的な機能改善も現場の肝となります。
OEM・ODM導入時のバイヤー視点―「水性」「アルコールフリー」のチェックポイント
メーカー調達・購買ポジションの業務を担ってきた立場から、OEM/ODM導入時に検討すべき実践的なポイントをいくつか共有します。
香料原料、容器、製造委託のサプライチェーンマネジメント
水性ベース・アルコールフリーのフレグランス製造は、従来の汎用OEMファクトリーでは対応できない場合が多々あります。
まず、香料供給元との相溶性証明や成分情報開示がスムーズか、特別な製造工程が必要かを現場レベルで詰めていく必要があります。
あわせて、高度な防腐・品質保証体制や、最終商品への微生物検査体制(マイクロバイオロジー)、国内外の安全基準(化粧品基準・Reach規制等)への対応力も必須です。
企画段階から製造現場&サプライヤーを巻き込み、共創型組織を作る
業界の旧態依然とした縦割り構造を脱却し、製品開発段階からサプライヤーとOEM工場の現場スタッフ、さらには最終消費者の声まで統合した開発体制を敷くことが差別化のポイントです。
この共創型体制は、バイヤーにとっても製品立ち上げのスピードと品質保証を両立する強力な武器となります。
昭和的「ムダ」「ムリ」「ムラ」が残る現場とのギャップ
製造業、とりわけ中小OEMでは、未だに紙ベースでの工程管理や属人的な生産技術継承が根強く残っています。
水性・アルコールフリーという新分野の立ち上げには、IoT技術やデータベース管理、現場作業者への教育システムなど、新しい仕組み作りが避けて通れません。
バイヤーとしては、現場の困りごとや新規導入への抵抗感に寄り添いながら、徐々にデジタル化推進やプロセス自動化を加速させていく“現場力”が求められます。
サプライヤーから見たOEM・バイヤーチームの視点理解
サプライヤーもまた、広範な視野を持ち、自社技術がどのような付加価値をバイヤーや消費者にもたらすかを意識する必要があります。
「水性ベース」の配合・処方開発力アピール
従来、エタノールベースではカバーできなかった香料、あるいは肌への刺激対策など、専門的な応用知識・技術保持は今やサプライヤーの重要な差別化要素です。
また、量産品の再現性と一貫した品質保証をどこまで持続できるかを訴求するべきです。
バイヤーの「現場目線」に立ち、製造プロセスを改善提案
バイヤーはしばしば、コスト・納期・品質の三つ巴の要求をサプライヤーに突き付けます。
ただ、現場を理解したサプライヤーは「こういう工程ならコスト効率が上がる」「この容器なら漏れリスクが減る」など、生産現場のリアルな知見に基づいた提案型営業が信頼を勝ち取ります。
これからのフレグランスOEMの業界動向と、製造業の未来
水性ベース・アルコールフリーのフレグランスが拡大することで、製造業としても「高付加価値」「多様性」「安全性」といった新たな地平線が開かれています。
IoTやAIを活用した品質情報管理、世界規模での規制・認証への適応、環境配慮型原料への切替など、人も組織も進化を求められる時代です。
「昭和のやり方」にしがみつくのではなく、現場とサプライヤー、バイヤーが三位一体となって共創し、自律的に課題解決できる現場力を磨いていきましょう。
時代を先取りするOEM/ODM発注、サプライヤー協働のあり方、そして水性ベース・アルコールフリーという“業界の新潮流”が、日本・世界のものづくりをどのように塗り替えていくのか。
ぜひ、現場目線の実践知を生かし、今こそ皆さんで業界の未来を切り拓いていきましょう。
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