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貨物の汚損(オイル・臭気移り)クレームを防ぐ仕切りと内装設計

目次
はじめに:製造業現場と貨物の汚損問題
製造業の現場では、日々さまざまな製品や部材、素材が工場間や取引先との間で輸送されています。
一方で、工場長や調達担当、品質管理の現場責任者が常に頭を悩ませているのが「貨物の汚損」問題です。
特に近年は、顧客志向・品質保証の観点からオイルや薬品の染み出し、臭気移りといった輸送中のクレームが増加傾向にあります。
物流現場では「送り出して終わり」ではなく、「最後まで品質・安全を守り抜くこと」が今や常識となっています。
この記事では、アナログな業界風土や現場工夫を踏まえ、貨物の汚損(オイル・臭気移り)クレームを防ぐための仕切り設計や内装の工夫を、現場目線でご紹介します。
資材のプロ、購買志望の方、サプライヤーの立場で「なぜ荷主はここまでこだわるのか?」を知りたい方にも役立つノウハウをお伝えします。
なぜ「汚損クレーム」がなくならないのか?業界の本音と課題
アナログ商習慣が生む見逃し
戦後日本の高度成長期、製造現場は「ハードワーク・根性・人の目と勘」中心で動いてきました。
今も「つけ焼き刃の養生」、「見た目さえキレイならOK」といった文化が根強く、IT化・マニュアル化が進む今でも、仕切りや緩衝材の工夫は現場任せという企業が少なくありません。
結果、「誰かがなんとかしている」グレーゾーンで汚損トラブルが繰り返されているのです。
荷役・運送現場の“想定外”リスク
トラックへの積み下ろし、配送センターでの仕分け、海上コンテナでの長距離輸送など、途中経路での衝撃や油染み、積み合わせ品からの臭気移りに対応できないケースも多いです。
特に、化学品、潤滑油、原料などの液体・油脂系資材を扱う現場では、「外装が無事なら内部の漏れも平気」という過信がトラブルの火種となります。
サプライヤー/バイヤー間の思い込みギャップ
バイヤーは「言わなくても守ってくれるはず」と考えがちですが、サプライヤー側は「これくらいは大丈夫だろう」と独自判断をしがちです。
調達購買担当なら、「なぜダブルチェックや仕切り増強が必要なのか」「仕切り内装設計で顧客満足度がなぜ変わるのか」を踏まえ、的確な指示や共通認識づくりが求められます。
現場で起きている主なクレーム事例とその責任の所在
代表的な汚損・臭気移りトラブル例
・プレス部品と油脂系部材の混載による油じみ拡大
・紙袋詰め粉末原料、隣の液体容器から漏れ出したオイルの染み込み
・食品と別メーカーのケミカル商品混載による臭気の移り
・再利用パレット・コンテナの内部清掃不足による臭気残留
・海上輸送時にコンテナ内結露、緩衝材が水分を吸ってカビ・ニオイ発生
こうした事例はいずれも、荷主も運送側も「うちは悪くない」と責任押し付けがちです。
どこまで誰の責任?現場管理・契約・品質保証
荷主視点では「われわれが梱包・仕切りを決めるから、あとは運送会社の責任」、サプライヤー視点では「規定通りやった。運送過程の問題」となりやすいです。
しかし、品質クレームが発生すればバイヤーの購買力にも影響します。
購買担当者が現場に寄り添い、「しくみ(仕切り・内装設計)」から見直しを図る姿勢こそが将来の信頼につながります。
実践的!仕切り設計・内装の考え方と最新トレンド
素材・レイアウト設計の着眼点
・積載物同士が直接接しない絶対安全ゾーンの確立
・オイル・ケミカル系資材周辺には吸着・防水性タイプの仕切り材を二重化
・臭気や揮発成分を遮断できるアルミ蒸着フィルムや特殊フィルムの活用
・既製品の段ボール仕切り、発泡材だけに頼らず自社仕様の仕切り形状も設計
・パレット再利用時の清掃ルール徹底と「クリーンパレット」専用運用の導入
アナログ現場ならではの“現場の知恵”にもヒントがあります。
吸水紙や古布、ブルーシートなど身近な資材を二重、三重に重ねる工夫。
また、仕切りや緩衝材にロットNo・日付や責任者印を入れることでトレース性を高め、クレーム発生時にも素早く原因特定できる仕組みも有効です。
「混載」リスクをどう減らすか?
工場や配送センターでは、コスト削減のため異種貨物の混載が常態化しています。
特に、「ニオイ移り」「油漏れが致命傷」となる厳格な管理が求められる場合、あえて「混載NG区分」「優先・隔離スペース」「マーカー付きの専用仕切り」など社内・協力会社双方でルール化することが重要です。
近年はバーコードやRFIDで仕切りパーツも管理し、どの貨物にどんな仕切り材・区画を使ったかをロット管理している企業も増えてきています。
これは、昭和の職人芸頼みから一歩踏み出す「仕組み化」「見える化」による新たな地平と言えるでしょう。
自動化時代の“仕切り進化”と次世代への展開
今後、AGV(無人搬送車)やロボットピッキングなどの導入が進むと、物理的な仕切り・内装設計も「標準化」「モジュール化」が求められます。
これまで人が“ここは危ない”と判断して手作業でクッション材を追加していた部分も、AIや画像解析、センサーを活用することで“この積み方で漏れリスクが高い”と自動判定され、アラートを出す仕組みも発達しています。
いまだに職人の勘と経験に頼る“昭和型工場”でも、こうしたデジタルの力・データ分析の力を仕切り設計プロセスに組み込むことで、「ゼロクレーム搬送」への道が開かれるのです。
実践例:現場で成果を出した仕切り・内装工夫
油じみクレームへの二重仕切り事例
精密部品を潤滑油とともに発送するケースでは、従来の段ボール仕切り+発泡シートのみだとどうしても油移りが防げませんでした。
現場では、まず油分吸収性のパッドを部品直下に敷き、さらに水分・油分両方に強いポリエチレンシートで内包。
最外層にアルミ蒸着フィルムでライン包装し「油漏れ徹底ガード圏」を作ることで、クレームが激減しました。
段ボールや緩衝材だけでは油も臭気も長時間防ぐことは難しいという発見につながりました。
臭気移りクレームを防ぐ分離搬送
食品とケミカルの混載、再生樹脂と塗料原料、こうした「臭気移り」は目に見えない分、結果が重大です。
ある部品工場では「全コンテナ1便に1種まで」「異なる種類は区画ごとに完全隔離仕切り&パレットごと分離積載」に切り替え。
トラック毎に「A品専用パレット」「B品専用パレット」を設定し、混載配送を避けることで、臭気クレームをゼロにできました。
多少のコストアップがあっても、バイヤーからの信頼や次回商談でのリピート受注増加という形で十分に回収できた実例です。
バイヤー・サプライヤー関係を変える「共創型品質保証」のすすめ
仕切り設計を「顧客・現場・購買」の三位一体で作りこむ
「仕切りや内装は納品業者(サプライヤー)の工夫次第」と思いがちですが、むしろ現場、生産管理、購買担当が一体となり「私たちの大切な製品をどう守るか」を考えることが業界全体の底上げにつながります。
バイヤーが「臭気検査」「荷姿品質評価」を現場とともに定期実施する、サプライヤーが「仕切り設計提案活動」を定例化するなど、共創型のスタンスに切り替えませんか。
今こそ“仕切り革命”で未来を切り開く
アナログなやり方にも熟練工の経験、現場改善の知恵があります。
その積み重ねにデジタル化、標準化、サプライチェーン全体のノウハウを加えれば、「運が良ければ大丈夫」から「確実に守れる当たり前」の時代がやってきます。
製造業の発展は、ものづくりのすそ野を支える私たち一人ひとりの備え――仕切りや内装設計の見直しから始まります。
まとめ:昭和から令和へ。“守る輸送”で業界の新常識を創る
貨物の汚損(オイル・臭気移り)クレームを防ぐためには、「過去の経験」+「新しい知恵」を組み合わせる実践的な共創が不可欠です。
現場スタッフ、バイヤー、サプライヤー、それぞれの立場で「ちょっとした手間」を惜しまず、仕切り・内装設計の最適化に挑戦しましょう。
「うちのやり方が正しい」ではなく、「皆で守る」「次世代に誇れる搬送品質」、これが未来の製造業の新しい常識となるはずです。
明日の製造現場を変えるのは、あなたの一歩からかもしれません。
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