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EDI障害で注文未達が発生した際の対応と代替手順の設計方法

目次
はじめに
製造業の現場では、調達や購買業務の多くがデジタル化され、受発注はEDI(電子データ交換)が当たり前になっています。
しかし、2024年現在でもEDI障害は珍しい話ではありません。
昭和から続くアナログ気質も色濃く残る中、EDI障害により注文情報が伝わらない、納期遅延や二重発注などのトラブルが現場を悩ませています。
本記事では、EDI障害発生時の実践的な対応法や、再発防止に向けた代替手順(バックアップ)の設計方法を、管理職実体験を交えて解説します。
バイヤーや調達担当者、サプライヤーの皆様に現場に即した新たな気づきを提供します。
EDI障害による注文未達が現場にもたらすインパクト
業務停止・生産遅延のリアル
EDIで注文情報がサプライヤーに届かないと、最もダメージを受けるのは現場の生産ラインです。
たとえば部品在庫がギリギリの“ジャストインタイム”を導入している工場では、1件の注文漏れがライン全面停止に直結します。
実際、「昨日のオーダーが納品されていない」「在庫確認したら残量ゼロだった」などの現場トラブルは、往々にしてEDI障害が遠因です。
管理職や営業担当者への圧力
調達部門のリーダーやバイヤーは、社内外へ説明責任を果たさなければなりません。
「なぜ注文できていなかったのか」「なぜ納期遅延が起きたのか」など厳しい追及がなされます。
さらにサプライヤー側でも納品・出荷準備がやり直しになることから、両社の信頼関係も損なわれるリスクがあります。
EDI障害発生時の現場での初動対応
迅速な原因究明
まずやるべきは、単なるオペレーションエラーかシステム障害かの切り分けです。
EDI発注システムの運用記録(ログ)を確認し、送信操作が正しく行われたか、正常完了の通知(ACK)が届いているか、手順を一つ一つ追いましょう。
この作業は属人的になりがちですが、必ず“担当者任せ”にせず管理職やIT部門と連携してください。
社内外への迅速な連絡
原因調査と並行し、まず被害最小化を図る必要があります。
自社生産現場、関係するバイヤー・営業、そしてサプライヤーにすぐ「EDI障害で注文が未達の可能性あり」と連絡しましょう。
特にバックアップ発注(FAX、メール、電話)を実施する場合は、「二重発注防止」のため“EDIの正式キャンセル”までセットで伝達することが重要です。
現物・帳票の照合
紙の注文書(プリントアウト分)、過去の受発注履歴、メールなど他の証跡を活用し、今回発注が成立しているかをダブルチェックします。
サプライヤー側へも「紙ベースで届いていないか」「電話連絡がなかったか」など、過去を遡って確認しましょう。
昭和~令和の現場に根強く残るアナログの“備え”
最低限のFAX・電話発注フローの整備
一流の現場は、EDI障害時の緊急マニュアルを必ず持っています。
「もう時代遅れだ」と言われつつも、FAX注文書フォーマットや電話連絡ルートは、今も多くの大手製造業で健在です。
実際、月に1回は「本日中に電話でフォロー発注」「サプライヤーから“FAX届いていません”という逆報告」が発生しています。
アナログ時代から続く“人と人”のネットワーク活用
EDI障害時に現場担当者間で「○○さん、いつもの件です。今、システム死んでます!とりあえず電話注文でOK?」と通じ合える信頼ネットワークが効く場面も。
“昭和の遺産”とも言われますが、これこそ長年の“現場力”の賜物。
DX推進の流れでも、この人的ネットワーク活用は代替不可能といえるでしょう。
再発防止に向けた代替手順(バックアップ)の設計ポイント
リスク評価と業務インパクトの見える化
バックアップ手順を設ける際、まず現場がEDI障害でどれだけビジネス被害を受けるか、品目・取引先ごとにリスク評価を行います。
調達の“生命線”となる主要資材(ABC分析でAランクの品目)は特に手厚いバックアップを設計する必要があります。
サブサプライヤー活用や在庫バッファの戦略も含めて検討しましょう。
システムとアナログ手段のハイブリッド化
最小限の入力で発注できるWebフォームや、セキュリティ保護されたクラウドサービスを導入し、“EDIが止まっても最低限の受発注連絡が可能”な手段を用意します。
併せて、FAX・メール・電話のアナログ三種の神器も運用マニュアルとして明文化しましょう。
「どのタイミングで、誰が、何の手段でバックアップ発注をするのか」を、社内外で定期的にレビューしてください。
現場教育とマニュアル整備
業務カイゼン活動の一環として「月次でバックアップ訓練」を推奨します。
新任担当がいる場合は、実地シミュレーションやロールプレイで手順習熟度を底上げしましょう。
またマニュアルは現場で“使いやすさ”が命です。
手順図、担当者名、トラブル例と対応履歴も記載し、「誰がやっても同じ品質で対応できる」状態をキープしてください。
サプライヤーとの情報共有・合同訓練
“サプライヤーは言えば応じてくれる”と思い込まず、EDI障害時の発注連絡フローやタイムラインを合同で見直す機会を持ちましょう。
年1回の合同訓練や、異常時に即座に相談できる窓口リストの整備も有効です。
バイヤーが自社の手順だけを厳格に守っても、サプライヤー側の現場が混乱すれば結局トラブルは防げません。
バイヤーとサプライヤー、それぞれの立場から考える備え
バイヤー視点:現場を守る“最終責任”の自覚
調達・購買担当として“情報伝達責任は最後は自分が背負う”という覚悟を持つべきです。
社内の他部門や経営陣に対して、“やれることは全てやりましたか?”という厳しい目で自己点検しましょう。
Wチェックや再発防止のための“カイゼン報告書”の提出を習慣化すると、組織としての対応力が飛躍的に高まります。
サプライヤー視点:注文漏れ時の“先回り”対応力
サプライヤー側では、「おかしいな、この時期この品目、毎週注文が来るはず…」という気付きが大切です。
注文未達にすぐ気付くために発注パターンの可視化や、バイヤーと定例情報連絡を徹底しましょう。
また異常時に「こちらで気付いたので未納分の手配済です」と一歩先回りした対応は、信頼向上につながります。
現場視点で最も大切なこと――“仕組み”と“人”の両輪
EDI障害というシステムリスクは100%ゼロにはできません。
本当に強い組織は、仕組み(マニュアル・手順)を持ちつつ、“人と人の信頼”と“状況適応力”という現場の知恵も発揮します。
アナログとデジタルのハイブリッド、異常時の備えのカイゼン、日々の教育・訓練――この現場力をどう次の時代へ引き継ぐかが、製造業の未来を左右します。
まとめ
・EDI障害による注文未達では現場~経営にインパクトが及ぶ。
・障害発生時は事実確認、関係者連絡、証跡照合を迅速に行う。
・バックアップ手段(FAX・電話・Webフォームなど)と人的ネットワークを活用する。
・リスク評価・現場教育・サプライヤー合同訓練で再発防止を図る。
・“仕組み”と“人”の両輪で現場対応力をカイゼンし続けることが未来への強み。
製造業現場のリアルな実践知を活かし、変化の時代を生き抜いていきましょう。
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