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在庫表は週次更新から日次更新へスモールステップで変えるやり方

目次
はじめに―在庫表管理の重要性と現状分析
製造業の現場において「在庫」は、利益を左右する極めて重要な要素です。
ただし現場の多くでは、在庫表の更新が週に一度、あるいはそれ以下の頻度で行われているのが実態です。
その背景には、手書きやエクセルでのアナログ管理文化が色濃く残り、デジタル化・自動化がなかなか進まない現状があります。
管理負担やミスの発生、バイヤーや営業との連携遅れ、大量の在庫や欠品による機会損失――これらは、多くの工場で「当たり前」として容認されてきた課題です。
ですが、これからの時代、こうした“昭和的な業務観”を変革しない限り、新しいビジネス環境にはついていけません。
DX(デジタルトランスフォーメーション)への流れは避けられず、在庫表の「日次更新」は最初に取り組むべき小さな第一歩です。
本記事では、私自身の20年以上の現場経験を元に、「在庫表を週次から日次へ」無理なく、しかも失敗せずスモールステップで移行する方法を徹底解説します。
なぜ在庫表の日次更新が必要なのか?
製造業の現場における在庫表の現在地
現場では、「材料の入庫数」「部品の消費量」「製品の出荷数」などが日々刻々と動きます。
ですが、それに見合った在庫表の更新が週一回や月一回――こんな状態では、リアルタイムで本当の在庫状況を把握できません。
その結果、バイヤーが「あの部品、まだ在庫ある?」と問合せると「いまの在庫リストには○○個と書いてあるけど、実際は……」と、在庫表と実際の数が合わない、ということが頻発します。
これは、計画的調達や生産計画に大きな支障をもたらすだけでなく、余剰在庫・欠品によるロスや、納期遅延、取引先の信頼失墜さえ招きかねません。
変革の必要性:なぜ「日次更新」なのか
製造現場のスピード、顧客要求の多様化、原材料コストの高騰など、外部環境は年々厳しくなっています。
「在庫の見える化」をできるだけリアルタイムにすることが、全体最適のファーストステップです。
特にサプライチェーン上の“川中”に位置する会社ほど、日次の在庫管理を徹底すると工場全体の俊敏性が向上します。
実際、多くの先進工場や大手メーカーは既に「日次更新」を標準とし、工程管理や発注判断の制度アップに成功しています。
在庫表日次更新―昭和的な現場にも導入できる“小さな一歩”の進め方
ここからは、本当に現場で実現できる「スモールステップ」の手順を解説します。
「うちは紙やエクセル管理だから無理」「人手が足りない」「コストがかかる」とあきらめている現場こそ、次の方法で現実解を模索してみてください。
1.まずは“絶対必要な項目”にだけ絞る
在庫表の日次更新、と聞くと、全ての在庫項目を毎日チェックしなければならない、と感じるかもしれません。
しかし現場の“効き所”は「本当に日次更新すべき在庫項目だけ」の抽出です。
例えば
– 毎日数が大きく動く主要部品
– 欠品リスクの高い品目
– 高価値・致命的な重要資材
こういった部分から始め、他のあまり動かない項目は週1回更新でもOKです。
現場の「本当に必要な情報」にフォーカスし、無駄な業務負荷を減らしましょう。
2.現状のアナログ管理に日次“仕掛け”を差し込む
完全自動化やシステム導入を最初から狙うと高いハードルになります。
大切なのは、「今のやり方+α」の発想です。
例えば
– エクセルの在庫表に「日次更新欄」だけ新設する
– 紙の在庫表に、日々の動きを簡単なメモで残し曜日ごと色ペンで管理する
– 毎朝ひとつの工程だけピックアップして数量確認する「当番表」を作る
– 集計作業時間を最初は1日15分“だけ”捻出してみる
最初から全てを一気に変えようとせず、「日次で少しだけ関わる」ことに段階的に慣れましょう。
これが、現場に日次更新文化を根付かせるポイントです。
3.「なぜこの在庫が毎日必要なのか」を現場で“意味づけ”する
人は理由のない作業には馴染みません。
「どうせ在庫表なんて形式的なもの」「正直めんどくさい」という抵抗感が出たときこそ、現場力が問われます。
管理職や現場リーダーは、「これを毎日やることで何が変わるのか?」を論理的、かつ感情的に伝えましょう。
– 日次更新で何が変わったか、納期遅れや欠品トラブルの減少実績を数字で可視化
– 月末や監査時に「楽になった」「焦らないで済む」という現場の声を共有
– 小さなミスや改善点を日次朝礼やホワイトボードでフィードバック
現場の意味合い、メリットを納得感ある形で定着させることで、徐々に当たり前の習慣へ変わっていきます。
4.工場横断の「小さな成果発表会」を開く
在庫表の日次更新の効果を実感するには、小さな成功サイクルを見える化することが鍵です。
例えば
– 「○月に新規で日次更新を始めた工程では、欠品ミスが●件から■件に減少」
– 「日数あたりの入力ミスが最初の2週間でどれだけ減ったか」
こうした数字や具体例を、全体朝礼や社内掲示板で「小さな発表会」として定期的に共有します。
現場同士でノウハウ意見交換を促すことで、ムリ・ムダな作業感から「改善文化」へと意識が変革します。
5.最終目標:自動化・システム連携やRFIDへ
いずれは「在庫表自体が不要になる」くらいの自動化・システム連携に移行できるのが理想です。
ただし、いきなり高額なシステム導入に進むのは現実的ではありません。
– 少人数から始めたエクセル×日次運用→余裕ができたら共有クラウド管理へ
– 入庫や出庫時にバーコードスキャン可能な“安価なハンディ端末”導入
– RFIDやIoTを使ったリアルタイム管理に、小さな投資と運用検証を行う
「一歩ずつ」「失敗を恐れず」現場に根付いたステップアップが肝です。
サプライヤー・バイヤーの双方にとってのメリット
サプライヤー側の立場から見た在庫表日次化の利点
サプライヤーの立場で大きな利益となるのは、「発注のタイミング」と「余分な生産ロスの最小化」です。
バイヤー担当者が最新の在庫情報に基づいて発注判断をしてくれれば、不意の緊急オーダーやミス発注が減ります。
結果として
– 適切なリードタイムでの安定生産
– 不要な原材料仕入れの削減
– 生産・管理部署間の無駄な問い合わせ減少
こうした波及効果により、現場の手間もムダも大きく軽減されます。
バイヤーや購買担当者が現場を知るチャンスに
意外な副次効果として、日次化の推進過程でバイヤーと現場担当者の対話が増えます。
– なぜこの在庫が必要なのか、現場から工程理由をヒアリング
– 顧客要求(短納期・多品種対応など)と自社現場の制約のすり合わせ
お互いの業務理解が深まり、全社的な調達・生産連携力が格段に強くなります。
「昭和的な現場」でもスモールステップで変われる――その理由と成功事例
ここまで紹介してきたスモールステップの手法は、決して新しい“夢物語”ではありません。
実際、私が現場管理職として携わった複数工場では、こうした超小規模・手触り感のある改善が功を奏しました。
例えば
– 現場係長の「毎朝10分だけ材料在庫をチェックする」取り組みが、3か月後には部門横断で自主的に引き継がれた
– 最初は抵抗感が大きかったメンバーも、「来客監査対応が楽」「棚卸しで残業ゼロ化」というメリットに納得
– 日次Excel更新→週次ミス報告→月次改善会議というサイクルがルーチン化し、大幅な在庫精度向上につながった
こうした蓄積が、“デジタルが苦手”“面倒事は嫌”な昭和的現場でも、ムリせず改善を根付かせたポイントです。
まとめ―製造業の未来を創る第一歩は“小さく・着実に”
激変する製造業において、在庫表の日次更新は「たったこれだけ?」と思われるかもしれません。
しかし、実はこの小さな習慣が、現場の意識、スピード、顧客対応力、そして新しいデジタル潮流への土台となります。
– 現状でできる“小さな工夫”
– 意味づけ・成功体験の共有
– 無理なく広げる段階的な拡大
– サプライヤー・バイヤー双方のコミュニケーション強化
これらを意識しながら日次更新を進めれば、必ず製造業の競争力強化につながります。
最新のITだけでなく、現場の汗と経験から生まれた“現実解”として、ぜひチャレンジしてください。
わずか一歩の変化が、やがて全社の大きな革新の始まりとなることでしょう。
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