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工程別実績を色分けシートで集計し朝会で使える見える化にする方法

目次
工程別実績を色分けシートで集計し朝会で使える見える化にする方法
はじめに:なぜ色分けシートが現場に求められているのか
製造現場は日々目まぐるしく動いています。
社員一人ひとりの持ち場が明確であれば、チーム全体の動きも連動しやすくなりますが、実際には工程ごとの実績集計や進捗管理がアナログに頼りがちです。
特に昭和から続く中小の製造業では、熟練者の勘や記憶に頼った現場管理が根強く残っています。
そのため、工程別実績や品質状況などを数値で素早く共有できる「見える化」が遅れている企業も多いです。
「どうすれば現場で効果的な見える化が可能なのか」、その答えのひとつが「色分けシートによる工程実績の集計と朝会での活用」です。
この記事では、長年の現場管理経験と失敗・成功例を基に、誰でも簡単に始められて、現場改善のきっかけとなる見える化のノウハウをお伝えします。
なぜ工程別実績の見える化が製造業に有効なのか
「数値」と「色」で“今”を素早く伝える
製造現場は常に時間との勝負です。
生産遅延や品質不良が起きてから対策するのでは遅く、現場全員が「今どこが問題か」を共有し、早期対応することが求められます。
例えば、「昨日何件遅延が出たか」「設備停止はどの工程で起きたか」「不良発生が多いのはどこか」──これらを口頭や手書き帳票だけで管理していると、朝会での情報伝達に時間がかかる上、ミスや漏れも発生しやすくなります。
色分けシートによる実績の集計は、工程別に進捗や問題点を「赤」「黄」「緑」などの色で一瞬で可視化できます。
激務の現場でも、色の違いを見るだけで課題が浮き彫りとなるため、情報の「即時共有」と「行動喚起」が生まれます。
デジタル化が進んでいない現場こそ効果が高い
DX(デジタルトランスフォーメーション)が進む一方で、まだまだ多くの製造現場はアナログ運用が主流です。
高額なシステム導入は難しい、現場スタッフのITリテラシーもまちまち、だけど“見える化”はしたい。
そんな悩みを抱える現場に、エクセルなどの既存ツールで作れる「色分けシート」が最適です。
習熟コストゼロで始めやすく、現場改善の足掛かりになります。
色分けシートを使った工程別集計の実践ステップ
1. どんな情報を見える化すべきかを決める
まず大切なのは、「何の情報を、どの粒度で集計・可視化するか」を明確にすることです。
たとえば、以下の項目が典型です。
– 工程ごとの生産数(実績・目標・達成率)
– 責任者・担当者の実名
– 不良件数・不良率
– 設備停止回数・稼働率
– 直近の納期遅延や異常発生
「毎朝、全員が一目で状況を把握でき、行動につなげやすい」情報がポイントです。
目標と実績、どこが「赤信号」なのか、重点管理工程はどこか——そうした現場に即した視点で項目を絞ります。
2. 色分けルールを決める(カラールールの例)
色分けシートで大切なのは“誰が見ても同じ解釈ができる”ルール作りです。
例としては以下のようになります。
– 緑:目標達成/基準内(Good)
– 黄:未達成に近いが許容範囲内(Warning)
– 赤:明確な問題・要対応(Alert)
集計値や率をもとに、しきい値を明確に設定し、迷わず色分けできるルールを全体に周知させましょう。
3. エクセルやGoogleスプレッドシートでテンプレートを作る
「手書き⇒PC入力⇒印刷・貼り出し」による作業負荷や転記ミスを防ぐため、エクセルやスプレッドシートの自動判別機能(条件付き書式)を活用しましょう。
おすすめの作り方:
1. 工程ごとに横軸(または縦軸)で並べる
2. 実績値や異常件数などのセルに、条件付き書式で自動着色
– 例)「達成率90%以上=緑」「70〜90%=黄」「70%未満=赤」
3. 日ごと・週ごと・月ごとの切り替え表示も簡単に
朝会用の共有シートなので、印刷し紙で貼り出してもいいですし、会議室のモニターに投影してもOKです。
4. 朝会での活用:全員が“自分ごと”化できる場に
作った色分けシートは、朝会で必ずプロジェクションや掲示で皆に示します。
大切なのは「色」による視覚的なインパクト。
たとえば、普段は緑が多かった現場が突然「赤」になれば、現場の危機意識も高まります。
– 工程ごとの責任者や担当者が、その場で主要課題(赤・黄)についてコメント
– 早朝から終業時まで「色の変化」を全員で追えるよう、変動が大きかった行や欄は詳細コメントを加える
– 前日からの変化点を中心に説明し、次のアクションへとつなげる
こうすることで、「自分ごと」として全員の能動的な行動変化を促します。
昭和のアナログ現場でも浸透できた成功事例
例1:手書き管理だった地方工場での色分けシート導入
ある老舗部品メーカーでは、長年「作業日報への手書き&黒板への転写」が慣例でした。
毎朝の生産進捗ミーティングでは情報の集約に30分以上かかり、課題の発見や対策までたどり着かないケースも多くありました。
そこで、各工程の作業責任者がまとめるエクセルフォーマットと色分けルールを導入。
現場では「これは自分の工程が見られてしまう」「ミスが強調されて恥ずかしい」と声もありましたが、実際には
– 良い成績もすぐ評価され、「このやり方を横展開しよう」と成功体験が広がる
– 不良や遅延が色で強調されることで、他工程のサポートが生まれる
「色のチカラ」で、現場が“全体最適”に近づいた好事例です。
例2:若手とベテランが融合できた朝会運用の工夫
春に異動したある現場では、若手はPC操作に強いが、ベテランは紙や口頭へのこだわりが強く“世代ギャップ”が生じていました。
そこで、まずはベテランリーダーに「色分けシート」の入力業務を依頼し、若手が印刷担当。
現場掲示による「色の変化」を毎朝意識させる習慣をつくりました。
はじめは「面倒くさい」と思っていたベテランも、何度か運用した後には「遅れの赤信号でサポート要請するタイミングが分かった」など、能動的なメリットを実感。
結果的に現場の結束が高まり、生産性も不良率も大きく改善しました。
色分けシート導入を定着させるコツ
現場の“抵抗感”は必ず出る——そこを味方につける
アナログ文化が根付く現場ほど、新しい見える化ツールの導入には「監視されているようで嫌」「評価点が色で目立つのが抵抗」といった声が出るものです。
しかし、そこで一歩踏みとどまって工夫を重ねれば、次のような好循環を生むことができます。
– 赤点が出ても「みんなで協力し合おう」という“チーム文化”
– 緑が増えれば「讃える場」を設けてやる気アップ
– 現場の採用・教育にも「見える化のスキル」が活きる
導入時には、「これは評価や懲罰のためでなく、全体最適・みんなで改善するため」と主旨を何度も説明しましょう。
また、「おかげで助かった」という感謝や、良い取り組みは即フィードバックし、現場を盛り上げることが大切です。
色分けシートで朝会改善 DXへの架け橋に
小さな見える化から“変革”は始まる
デジタルツールやITシステムの導入は確かに効率的ですが、その土台となるのは現場スタッフ一人ひとりの「情報を活かす力」です。
色分けシートによる工程別集計は、紙とPCが混じる“昭和アナログ現場”でも、無理なく始められる第一歩となります。
朝会で全員が集まり、一目で分かる「色」を介して情報を共有することで、現場改善は飛躍的に進みます。
そしてこの活動が積み重ねとなり、やがては本格的なDX・自動化への足掛かりとなるでしょう。
まとめ:現場発の見える化が製造業を変える
色分けシートを用いた工程別実績の集計・見える化は、現場スタッフの意識改革に最もシンプルかつ強力な方法です。
データ分析や高度なITがなくとも、工夫ひとつで現場が変わる体験は、次世代のバイヤー、サプライヤー、マネジメントにも大きな気づきを与えるでしょう。
現場から始める「小さな見える化」で、製造業の明日の力を一緒に作っていきませんか。
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