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LCL混載での数量過不足(OSD)を抑えるカウント方法と荷印ルール

目次
LCL混載で発生する数量過不足(OSD)とは
LCL(Less than Container Load、コンテナ未満貨物)は、複数の荷主の貨物を同じコンテナに混載して輸送する物流手段です。
日本の多くの製造業やサプライヤーが、アジア各国や北米・欧州と取引を進めるうえで、コストメリットや少量多頻度輸送の観点からLCLが利用されています。
しかし、LCL輸送には特有のリスクもつきものです。
その代表的なトラブルが数量過不足—いわゆるOSD(Over, Short, and Damage)です。
LCLでは荷主ごとに貨物が混在するため、誤発送や現地倉庫での数量ミスが起きやすくなります。
昭和時代から根強く残る手書き伝票や口頭確認などのアナログ運用では、こうした数量異常の温床になりがちです。
OSDはバイヤーの信頼を大きく損ね、場合によっては受領拒否や支払遅延の引き金ともなります。
OSD撲滅のためには、現場視点に立った数量管理と荷印ルールの徹底が不可欠です。
OSDが発生しやすい背景と混載物流の現実
OSDの発生する理由は、荷扱い工程が多層的になるLCLの構造に起因します。
特に以下のようなシーンで、数量過不足が頻発します。
1. 混載ヤードでの積み替えミス
異なるサプライヤーから届いたパレットが混在するため、現場作業員が伝票やラベルを見誤る。
同一仕向け地の貨物が多いと、似たような梱包形態や記号の混同が発生しやすい。
2. アナログなカウント方法に依存
伝票・数取表の手書き、ハンディスキャナーの未導入など、現場担当者の「目安」や「勘」に頼っているケースが多い。
特に昭和世代から続く現場慣習ではミスが見逃されやすく、教育も属人化しがち。
3. 不統一な荷印(マーク)の運用
各社が独自ルールの荷印を利用しているため、ラベルの貼付位置・記載事項が不明瞭。
現場作業員が荷主ごとにルールを覚えておくのは困難。
特に、日本発のLCL輸送は今なおアナログ運用が色濃く残り、業界のデジタル化が遅れています。
古い慣習の見直しや現場作業員の目線で「なぜミスが起きるか」を考えることが、OSD撲滅のための第一歩です。
LCL混載で数量過不足(OSD)を抑えるカウント方法
数取ミスを減らすためには、現場に即したカウントルール・仕組みづくりが要です。
ここでは実際の現場で有効だったカウント方法を紹介します。
1. Wチェック方式の徹底
ひとつの工程内で「送り出し担当」と「受け入れ担当」それぞれが物理的にカウントします。
例えば、パレットに何箱積まれるかを現物確認し、最終数量を伝票にダブル記入。
どちらかの数量が相違すれば即アラート。
人的コストはかかりますが、アナログ現場では最も有効です。
2. 写真記録とビデオチェック
梱包前後の箱積み完了写真、積載状況をスマホ等で記録します。
現地で開梱トラブルがあった際、圧倒的な証拠力となります。
荷扱い責任を「記録」で明確化でき、OSDの未然防止と同時に、サプライヤー・ロジスティクスの教育にも活用できます。
3. QRコードやバーコード活用
昭和型の手書き管理から、コードによるデジタル管理へ移行します。
箱ごと・パレットごとのバーコード貼付を定着化させ、積み込み時・出荷時・受領時の三点カウント。
SDK(開発キット)が無料のコードリーダーなどを活用し、手軽に導入可能です。
データ連携でエビデンスも残ります。
4. 数量証明書(Packing List With Serial No)
品番、数量、カートンNoをPacking Listに詳細記載する「原始的だが強力」な手法です。
複数の荷主・アイテムが混在するLCLでは、1箱単位でシリアルを割り振り、どの箱が何番目の荷物か梱包時にリストアップ。
受領時に口頭確認ではなく番号照合を徹底します。
混載OSDを未然防止!現場目線の荷印ルール運用法
数量カウント精度と並び重要なのが「荷印(Marlk)」の標準化です。
荷印ルールは混載での誤認防止・搬送効率化に直結しますが、創業以来のローカルルールを引きずり、曖昧な運用に陥りやすい分野です。
1. 誰でも「見て分かる」明快な荷印推進
・フォントはできるだけ大きく(20mm以上推奨)、ユニバーサルデザインの書体(ゴシック体等)を使用
・黒字でアルファベットと数字のみ(漢字・カタカナ不可)構成
・主要な項目(荷主名/AWB No/PO No/個数/仕向地)を標準化
・四方全ての面にシールまたは直書き(天面不可)
作業員が一瞬で認識でき、情報を読み間違える余地をなくします。
2. 荷印テンプレートとデータ管理
Excel/Googleスプレッドシートで荷印テンプレートを作成し、出荷毎にデータベース化します。
LCL業者・倉庫オペレーター・サプライヤー間でテンプレートを共通化。
誰がどの商品を持ち込んでもルールが揃う環境を作ることで誤認を減らせます。
3. SPコードや色別ラベルの導入
同一便/LCL内で複数荷主がある場合、「荷主別色分けラベル」「短縮アルファベット記号」の導入が有効です。
これにより、属人化しやすい手書き伝票やメモによる数量識別リスクを排除します。
4. 荷印の事前協議と荷主間確認
LCL混載参加企業同士で「荷印命名規則」の事前擦り合わせを推進します。
とくに同業界・同サプライヤーで同名アイテムや共通略称が使われる場合、現場での混同を未然に避けることができます。
アナログ業界でもできる!OSD防止のための現場改善
日本の製造業、とくに中小サプライヤーや部品加工業界では「デジタル化まで手が回らない」「これまでのやり方でやってきた」という現場も多く残ります。
ですが、OSD対策は必ずしも高額な投資をせずとも段階的に進めていくことが可能です。
1. 教育・標準化への投資
現場担当者が「なぜ数を数え、荷印を統一するのか」を腹落ちさせるための教育が最優先です。
OJTやヒューマンエラー事例集を作成し、なぜ過不足が起きるのか、どこにミスが生じやすいのかを定量的に共有します。
2. 小さな成功体験を重ねるPDCA
荷印ルール変更や二重カウントを小規模ラインでテストし、現場フィードバックをその都度反映します。
最初から完璧を求めず、問題点を現場で確認・修正していく「現場起点PDCA」が機能します。
3. バイヤーとの情報共有強化
バイヤーにとっては「現場ではこうやってトラブルが起きやすい」という知見が不足しがちです。
定期的に不具合トレース会議を設け、現場の写真・カウント工程・荷印ルールについてダイレクトに共有し合います。
バイヤー側も現場ルールの理解を深め、サプライヤー側の工夫を評価することで、継続的な改善サイクルが生まれます。
まとめ:LCL×OSDゼロを現場知見で実現する
LCL混載での数量過不足(OSD)は、現代の物流現場でもなお残る大きな課題です。
その解消には、現場担当者の肌感覚や過去の成功事例を活かすこと、そしてカウント精度と荷印ルールの明瞭化が不可欠です。
デジタルツールの活用と、アナログ現場での「人の目と手」のダブル管理体制を融合させることで、OSDリスクは低減します。
最後に、バイヤー・サプライヤー双方が「お互いの現場を知る」ことが、最も強い数量管理・荷印管理の推進力となります。
昭和から令和へ、現場改善は本当に地道な一歩の積み重ねです。
LCL物流の現場が一人ひとりの工夫と知恵によって、今以上に高精度・高効率化し、日本のものづくりバリューチェーンがさらに進化していくことを願っています。
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