投稿日:2025年9月4日

暑熱対策用製氷機の製作

はじめに:製造業現場と「暑熱対策」の切実な課題

ものづくりの現場、とくに重工・自動車・加工メーカーなどの工場は、今なおアナログとデジタルが混在し、“昭和的”なワークスタイルが根強く残っています。
そんな工場現場で、近年ますます深刻化している問題が「暑熱対策」です。

夏場の工場内温度が35度を超えることも珍しくなく、作業効率や安全衛生の観点からも冷却手段の強化が求められています。
「現場を知る人間」として、私はこの課題に対し、「自作製氷機」の導入を提案したいと考えます。

ここでは、製氷機の制作ノウハウと調達・品質管理、業界トレンドの交差点から、現場に根付いた実践的な暑熱対策を深掘りします。

なぜ「自作の製氷機」なのか?業界常識をラテラルに再定義

既製品導入の限界と現場のリアル

これまで多くの工場では、スポットクーラーや業務用扇風機、ペットボトル氷の活用が主流でした。
しかし、生産現場の広さや電源・配線の制約、コスト面の課題から、既製品で全てのラインや作業エリアをカバーするには限界があります。

さらに、工場用の大型製氷機は高価で設置場所を選び、保守も煩雑です。
結果的に現場では「適材適所」になじまず、“昭和流”の打ち水や冷感タオルが未だ幅を利かせています。

守りから攻めの暑熱対策へ:自作への発想転換

そこで提案するのが、「自作製氷機」の導入です。
現場ニーズに即したサイズや移動性を実現し、廃棄やメンテナンスも自部署主体でアレンジできる。
調達部門の視点では、“ローコスト・フレキシブル”に、かつ改良・最適化を短サイクルで回せるメリットが大きく、購買担当にとっても工夫の余地があります。

「生産技術者」視点では、制御盤や水回り、断熱など、製造ノウハウを生かした社内コラボも推進できます。
別部署連携のシナジー創出は、業界のDX文脈でも注目されています。

製氷機自作の基礎:設計・部材選定・品質管理

主な構成とこだわりポイント

自作製氷機の基本ユニットは「冷媒回路」「断熱構造」「給排水ライン」「製氷槽」「安全制御」「駆動・操作系」で構成します。
昭和的な現場でも落とし込めるよう、シンプルかつ耐久性の高い設計が鍵となります。

– **冷媒回路**
家庭用エアコンや冷蔵庫で一般的なクーラー回路をベースにすることで、調達しやすく保守性も高い。

– **製氷槽**
現場の使い勝手を考慮し、取り出しやすいスライド式やカゴ分割型を工夫。氷が割れやすく、持ち運びしやすいサイズ感も重要です。

– **断熱材・防錆材**
倉庫や油まみれの現場で腐食・劣化しないよう、厚手発泡スチロールやステンレスカバー、自己修復塗装を選びます。

– **安全制御**
温度センサや漏電ブレーカ、安全カバーの設置など、現場ならではの「突発対策」を計画段階で想定します。

部材調達の戦略的ポイント

自作プロジェクトでは“BOM(部品表)”作成がとくに重要です。
調達対象として、「汎用市販部品」と「サプライヤ固有部品」を分けて管理し、比較的入手しやすいものは既成リスト化。一方、特殊寸法・耐腐食品は地場サプライヤと連携を図ります。

この段階でバイヤー経験者の知恵が光ります。最終的に「コスト」「納期」「保守性」のバランスを見て、柔軟に調整できる調達ルートを構築しましょう。

品質管理とトレーサビリティの実践

製氷機が「食品衛生法等の対象外」でも、現場衛生や安全配慮は必須です。
組み立て工程ごとの検査ポイント、完成検査記録を残し、メンテナンス履歴とも紐づけます。

加えて、日々の運用担当者による「点検・清掃チェックリスト」の活用も強く推奨します。

現場活用アイデア:氷の“価値”を最大化せよ

作業員の健康管理に活用

できた氷は、直接冷やした作業飲料や使い捨て氷袋、冷感タオル用ボックスとして最適です。
冷風を送る「氷風機」と組み合わせれば簡易クーラールームも実現。
足湯ならぬ「足氷浴」など、現場の余裕を生み出すユニークな使い方も可能です。

生産設備の温度管理にも一役

また、「急冷用氷」として、一時的な設備冷却や応急トラブル対応にも活用できます。
予備品が不要の「省スペース保冷BOX」は半日常温で保冷可能、ライン異常時にも重宝します。

災害・非常時のBCP備蓄として

加えて、地震や停電時の冷却資材としても製氷機は重宝します。
冷却機能が停止しても、事前ストックされた氷は「非常用冷蔵資材」としてのダブルユースが可能です。

アナログ現場を変革!調達・バイヤーの視点で見直す価値

社内提案を通しやすくするコツ

“自作”や“カイゼン”は、時に「コスト手当て」「工数管理」「管理部門の理解」の壁にぶつかります。
実績データや、作業者の健康被害防止・生産性向上のレポートを資料化し、「現場発・現場完結」を前面に出した提案フローを作ることがカギです。
プロモーション資料や実演動画も、購買部門対策として有用です。

サプライヤーとの連携で新しい価値発見を

自作製氷機のプロジェクトは、サプライヤへ「現場のリアルな課題」を共有するチャンスでもあります。
新商材の共同開発や、さらにコストを抑えた特注パーツ開発など、“一緒に現場を良くする”という立場でネットワークを築くことが、昭和的業界から次世代型ものづくり企業への進化の一歩です。

まとめ:暑熱対策を「現場発」で進化させる、これからの製造業

“人が資産”の製造現場で、暑熱対策はますます重要です。
単なる温度対策以上に、作業者の安全と生産性、BCP、部門協業と現場カイゼンの総合戦略に変革できる可能性を秘めています。

日々の「使いやすさ」「保守容易性」そして「現場の知恵」を活かした暑熱対策製氷機は、費用対効果の面でも十分魅力的です。
バイヤー視点、サプライヤー視点、管理者視点をすり合わせ、「暑熱」は“攻め”の課題へと変えていきましょう。

あなたの現場が「変わる」第一歩——。
それが、自作製氷機による新たな暑熱対策です。

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