投稿日:2025年9月4日

差別化を実現する消耗品OEM商品の成分・素材のこだわり方

はじめに:差別化時代の消耗品OEM商品戦略

製造業の現場で商品開発や調達業務に携わっていると、日々厳しさを増す価格競争や同質化の波と直面せざるを得ません。
特に、消耗品というカテゴリーは“使い捨て”“どれも同じ”と思われがちで、差別化が難しい領域の一つです。
だからこそ、OEM商品として他社との差別化を図るうえでは、「成分」や「素材」への徹底したこだわりが重要なカギとなります。

本記事では、現場での豊富な経験と最新の業界トレンドをふまえ、消耗品OEMで差別化を実現するための「成分・素材の選び方」「こだわり方」について、バイヤー、開発担当者、そしてその思考を知りたいサプライヤーの方々に向けて、実践的に解説します。

消耗品OEMの本質:なぜ“成分”と“素材”が差別化に効くのか

“どこでも一緒”からの脱却が生き残りの条件

消耗品は、価格が主戦場と思われがちです。
確かにコストを抑えることは重要ですが、それだけではOEM商品は顧客の記憶に残りません。

では、何が差をつけるのか。
それが“成分”と“素材”です。
特にBtoB領域では、使うシーンにフィットし、現場の課題を解決する“ひと工夫”があれば、顧客は積極的に選び直します。

単純な例ですが、同じ工場用ワイパーでも「機械油をよく吸う」か、「粉塵が立ちにくい」か、「皮膚にやさしいか」など、成分・素材の違いが現場課題の解決につながれば、価格競争から一歩抜け出すことができます。

OEM提案時のバイヤー心理とは

バイヤーは“なぜその成分や素材を使っているのか”、“現場のどんな課題を解消できるのか”という裏付けを常に求めています。
この理由付けが弱いと、最終的には価格だけでの選定になってしまいます。
裏を返せば、実証データや現場インタビューなどの根拠を用意し、バイヤー心理にしっかり刺さる“こだわり理由”を持つことが差別化の土台となるのです。

現場目線で考える「成分」「素材」のこだわり方

工場現場でありがちな課題をリストアップする

差別化の第一歩は、現場の悩みを徹底的に洗い出すことです。

たとえば、
・静電気によるトラブル
・突発的な異物混入
・人体や設備への影響

など、細かなトラブルや効率低下要因が現場には山ほどあります。

現場ヒアリングやアンケート、現場視察などを通して「あと少しこうだったら…」という要望を一つでも多く拾いましょう。
その中から、自社が得意とする「成分」や「素材」でクリアできる要望を選び出すことが差別化への近道です。

成分・素材で実現できる差別化ポイントの具体例

1. **吸油材の場合**
 …従来の新聞古紙やウエスではなく、石油系成分に特化した高吸油性素材(PP、PEの特殊繊維など)を使い、吸着力・耐薬品性・人体への安全を高める。

2. **クリーンルーム用ワイパーの場合**
 …ポリエステル100%や超極細繊維を採用し、発塵性を抑えつつ、拭き残しを減らす。さらにノンシリコン・ノン添加剤処理にして化学反応を嫌う場面にも適用。

3. **作業用手袋の場合**
 …抗菌・防臭成分(銀イオンや天然由来抗菌剤)の配合や、通気性・蒸れ防止のため素材自体に多孔質構造を持たせる。

4. **洗浄剤の場合**
 …VOC(揮発性有機化合物)フリー、水系独自配合で従来比40%洗浄力アップ・環境規制への適合・操作員の健康リスク低減。

つまり、現場ユーザーが感じ取れる“使いやすさ”“長寿命”“安全”といったメリットが、成分や素材でどこまで踏み込めるかがポイントです。

アナログな業界動向と現場根付く課題に寄り添う視点

昭和感が残る伝統的製造現場の“変わるきっかけ”とは

製造業には長年の「慣習」や「昭和マインド」が今も根強く、たとえば「昔からウエスは古タオル」「洗浄剤は強力な有機溶剤」「このグローブで十分」などという意識が強く残っています。

こうした現場に新しい成分や素材を提案する際、ただスペックやコストの話だけをするのではなく、“なぜ変わるべきなのか?”という納得感・ストーリー作りが不可欠です。
たとえば“ISOやSDGs対応”“環境負荷低減”などの外圧と自社現場課題をリンクさせ、小さな成功体験を積み上げていくことが決め手となります。

現場改善活動の一部としてOEM消耗品を位置づける

たとえば「週1回のウエス交換率が10%減った」「手荒れによる作業離脱率がゼロに」など、現場の作業効率や安全性向上、ロス率改善が実際に数字で実感できる体験があると、現場担当者は新しい素材や成分を受け入れやすくなります。

調達側はこの成功事例やフィードバックを不断に記録し、次のOEM開発に還元すれば、サイクルが回り出します。

サプライヤーとして意識すべきバイヤー心理と提案力アップのコツ

コストだけに頼らない“根拠と説得力”を持った素材・成分提案

購買・調達のプロが最も重視するのは、「なぜ今、それなのか」「なぜ御社でなければならないのか」という根拠です。
単なる“珍しい素材”や“イチオシ成分”を並べるだけでなく、現場課題とどう結びつき、相手のKPIやリスク回避策となるのかを徹底して考え、提案書や営業トークに組み込みましょう。

たとえば:
・実地検証や現場実験によるパフォーマンステスト結果 
・調達先の工場と連携し、“現場負担○割減”といった具体値を提供
・環境や規制対応(REACH、RoHS、ISO14001)への独自アプローチ

バイヤーは「説明可能な素材・成分提案」にこそ安心感を覚え、価格だけではない選定基準を持ち始めます。

OEM商品開発の初期段階から関わる価値

従来は“発注されたものを納めるだけ”がサプライヤーの役割でしたが、今後の差別化時代では、商品の企画段階から成分・素材提案できるパートナーシップ型調達が主流になります。

たとえば開発会議や現場視察へ積極的に顔を出し、
「現場ヒアリングをもとに御社専用の素材改良案を3案ご用意しました」
といったスタンスで臨めば、抜群の信頼とリピートにつながります。
これは受け身のサプライヤーではできない価値創出のカタチです。

ラテラルシンキングで次世代型消耗品OEMへ

異業種技術・素材の大胆な流用を狙う

差別化の究極系は、「競合が気づかなかった異素材活用」にあります。

たとえば、医療機器の滅菌テクノロジーを工場消耗品へ転用したり、食品包材のバリア素材を部品洗浄用に応用したり。異業種コラボは大手メーカーも積極的に導入しています。
現場で「あったらいいな」と感じる課題は、びっくりするような“異素材”や“隠れた成分”で一気に解決できる可能性に満ちています。

サステナブル素材へのシフトは今後の標準に

環境規制や企業イメージの観点からも、リサイクル材やバイオマス素材、セーフティケミカル(非危険物)などの採用は大きな差別化軸です。
「うちのOEM商品は、廃材100%」「食品にも使える安全成分を配合」という切り口自体が採用理由となる時代が到来しています。

さいごに:成分・素材に魂を込めることが“選ばれる時代”を作る

消耗品OEM商品にこだわるとは、“何となく良さそう”ではなく、“現場の課題を、本気で素材・成分から解決しよう”という意志そのものです。
その強いこだわりが、バイヤー、現場担当者、調達のプロ、一人ひとりの支持を集め、単なる価格勝負から真のパートナーシップ型OEM開発に進化します。

製造業の現場で20年以上培った知見から、差別化戦略の中心には「成分」と「素材」への深い愛着と、現場課題への徹底的な寄り添いが不可欠だと確信しています。
これからOEM消耗品を開発・提案する方は、ぜひ現場と二人三脚で唯一無二の“魂の込もった商品”を追求してください。

競争の激しい時代だからこそ、本質的な差別化のヒントは現場、そして素材・成分への正しいこだわりにこそ隠れています。

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