美容関連OEM消耗品でヒット商品を生み出すための開発事例

美容関連OEM消耗品でヒット商品を生み出すための開発事例

はじめに：美容業界OEMの変革期

近年、美容業界はテクノロジーの進化と消費者のニーズ多様化により、かつてないスピードで進化しています。

特にOEM（相手先ブランド製造）による消耗品は、市場の変化に柔軟に対応し、ヒット商品を生み出すための重要な柱となっています。

しかしながら、未だに昭和時代のアナログなやり方から抜け出せていない現場も多く、現場目線ならではの“現実解”が求められているのも事実です。

この記事では、私が20年以上の製造業の現場で培った知見をもとに、美容関連OEM消耗品でヒット商品を生み出した実践的な開発事例や、そのためのノウハウ、さらにこれからの時代に求められる考え方についてお伝えします。

バイヤー、サプライヤー、将来バイヤーを目指す方々必見の内容です。

OEM開発の現場感覚とヒットまでの道のり

現場主導でヒット商品を生み出す「課題発見」力

どれほど立派なOEM開発体制があったとしても、既存市場のニーズや現場の本音を無視しては決してヒット商品は生まれません。

私が携わった事例の多くは、「現場の些細な不満」や「小さな不便さ」を拾い上げていくことからスタートしました。

たとえば、美容室で使う手袋やタオル、エステサロン向けのシートやパックなど、一見するとどれも定番品です。

しかし、実際は「片手だけ濡れる」「毛髪に引っかかる」「連続作業でヨレる」といった細かい悩みが現場には溢れていました。

工場見学や現場ヒアリングを重ね、不満・要望を100個以上リスト化。

そこから「どうしたらもっと現場作業がラクになるか」と真剣に考え続けます。

この「現場主導の課題発見力」が、今後のOEM開発における大きな武器となります。

アナログ現場からデジタル革新へのブレークスルー

美容関連の老舗メーカーやサプライヤーでは、手作業や経験頼みの現場も多く、なかなかDX（デジタルトランスフォーメーション）化が進みません。

私たちも最初こそ“人海戦術”が当たり前、と考えていました。
しかし、例えば消耗品のロットごとに仕上がりばらつきが出てしまう、納期遅延が慢性的になるなど、アナログな管理の限界に直面します。

そこでデジタル技術の投入を決断しました。
IoTタグによるリアルタイム在庫管理、バーコード管理によるトレーサビリティ向上、AIを活用した需要予測などを導入。

これにより、歩留り率の改善や在庫ロスの劇的削減、お客様ごとに最適化されたカスタマイズがスムーズに可能となりました。

昭和型の「勘と経験」から、令和型の「データドリブン」へ。
このパラダイムシフトがヒット商品の基盤となります。

サプライヤーとバイヤーの本音：ヒットを産む“共創”の極意

バイヤーが本当に求めているもの

バイヤーはただ安く、早く、安定供給してくれるだけの仕入先を求めているわけではありません。

「他社品との差異化ポイント」「独自のストーリー性」「アフターサポート」など、目には見えない“付加価値”を常に探しています。

あるヘアサロン向け消耗品の例では、「肌触りが格段に良い」「SNS映えするパッケージ」など従来品にはない特長が決め手になり、短期間でロングセラーとなりました。

バイヤー視点で重要なのは「エンドユーザーが心から“これが欲しい”と思える理由」をいかに明確に説明できるかです。

ヒットの裏には必ず、「ここでしか手に入らない価値」が存在します。

サプライヤーだからわかる「選ばれ続ける秘訣」

下請けとしてのOEMサプライヤーの立場だと、つい「言われた通り作ればいい」と思いがちです。

しかし、選ばれ続けるサプライヤーになるには「なぜその仕様なのか」を必ず確認し、「このほうが現場で使いやすいですよ」と一歩踏み込んだ提案を行うことが必要です。

現場で実現できる工夫例として
・一次利用ではなく“多回再利用”を想定した設計の提案
・使い捨てだけど、環境配慮型素材に変更する提案
・梱包形態の簡略化で廃棄物/手間を減らすアドバイス
などがあります。

ヒット商品には、「相手の困りごとを自分の課題として捉える姿勢」が不可欠なのです。

ヒットにつながったOEM消耗品開発5事例

1．使い捨てタオルの「肌触り革命」と大量導入

従来品は硬くゴワゴワした風合いが当たり前でした。

そこで、柔軟性・吸水性を徹底追求し、独自製法でコットン風に仕上げたタオルを開発。

工場での自動裁断×低圧仕上げにより、一度手にした美容師から「もう他のタオルには戻れない」と評判に。

しっかりと“検査工程での全数目視”も実施し、異物混入リスクを徹底排除したことで大手チェーン全店での大量導入が実現しました。

2．美容マスクシートの環境対応型OEM化

従来マスクシートは合成繊維でしたが、“使い捨て＝環境負荷”が次第に問題になりました。

現場アンケートで「生分解素材を使いたい」という声をキャッチ。

そこで100％自然素材ファイバーを調達し、工場での乾燥・成形プロセスも最適化、一定レベルのコストで商品化しました。

エココンシャス層へ向けたストーリー性がメガヒットの一因に。

3．エステ用フィルムパックの「手間ゼロ」改革

エステ現場ヒアリングで、「パック剤を塗る→フィルムを被せる→周辺掃除」と意外と手間がかかることが判明。

そこで「手で簡単に切り取れる一体型パック」を設計・開発しました。

これにより施術時間を20％短縮、作業効率と顧客満足が大幅向上。

現場のオペレーション改善から逆算して設計し、既存業界に一石を投じる商品となりました。

4．カラー用手袋のフィット感改良

カラーリング作業に使う手袋は「破れやすい」「滑る」などの声が絶えません。

あえて現場の作業員に試作を何十枚もテスト配布し、サイズ別の型を見直したうえで、滑り止め機能の追加、極薄素材への切り替えを徹底しました。

“ストレスフリー”が店舗リピートにつながっています。

5．衛生対応強化のロールペーパー

コロナ禍を経て、従来以上の衛生ニーズが高まったことから、抗菌・抗ウイルス機能を持つロールペーパーに改良。

技術的ハードルを乗り越えてOEM提供したことで、新規ユーザー獲得に大きく寄与しています。

ヒットを生み出し続ける組織・現場体質とは

開発現場×営業×調達が“三位一体”となる連携

ヒット商品は、アイデア・技術・営業力が縦割りでバラバラでは生まれません。

組織横断で「開発/現場」「営業」「調達/購買」が日常的に意見交換し、現場の“生きた課題”を拾い上げ、共に課題解決する体制がキモです。

現代ではオンラインミーティング活用など連携スピードを高める仕組みづくりも求められます。

現場の声を定期的に“聞く・なるほど”と納得する運営

現場の「なぜ？」には必ず意味があり、製造サイドやバイヤーの立場からも、定期的に現場スタッフや顧客のリアルな声・困りごとにじっくり耳を傾けることが、ヒット継続の根幹です。

現場を軽視しない。

これこそ、永遠のヒットメーカーになるための普遍ルールと言えるでしょう。

まとめ：これからの美容関連OEM開発で大切なこと

・現場の課題を深く掘り起こし、「本音」を言語化して開発に落とし込むこと
・昭和型アナログから脱却し、DXも柔軟に導入すること
・サプライヤー側も「言われた通り」から、「困りごと発見×提案力」で共創型パートナーへ進化すること
・ヒット商品には“現場で役立つ納得理由”“サステナビリティや独自性”など現代ならではの付加価値が必須であること

美容関連OEM消耗品分野でのヒット作りは、単なるものづくりにとどまらず、現場と徹底的に向き合い、課題解決に寄り添う姿勢から始まります。

今後も“現場目線のラテラルシンキング”を武器に、新たなヒット商品を生み出し続けてまいりましょう。