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OEMで作るオリジナル食器・給水器の素材選定と製造工程

目次
はじめに:OEM食器・給水器の魅力と難しさ
OEM(Original Equipment Manufacturer)は、他社ブランドの商品を自社で企画し、協力工場に製造を委託する形態です。オリジナル食器や給水器をOEMで作る際には、デザイン性だけでなく、素材、安全性、コスト、品質管理、そして生産効率など多岐にわたる要素のバランスが求められます。
特に近年、製造現場は「脱・昭和アナログ化」が叫ばれる一方、実際には昔ながらの商慣習や現場力が色濃く残っているのも現実です。この記事では、製造業の現場視点から、OEMによるオリジナル食器・給水器の素材選定と製造工程のリアルを、最新動向も交えて解説します。
OEMによるオリジナル食器・給水器の企画プロセス
企画段階の盲点とヒント
オリジナル食器や給水器の企画は、単なるデザインや価格ありきになりがちです。しかし本質は「ターゲットユーザーの利用シーン」と「供給体制の構築」にあります。
現場で多い失敗例は、「イメージ先行で設計した結果、量産性や安全基準未達」「サプライヤーと協力体制不足で納期トラブル」という点です。必ず初期段階で下記ポイントを整理しましょう。
・流通量と生産規模の見積もり
・必要な品質基準と適合する法規制(例えば食品衛生法等)
・企画時点での主要素材候補とおおよその調達先
この見積もり力こそが、バイヤーとしての成功の第一歩です。
サプライヤー選定のコツ
昭和的な「古くから付き合いのある工場に頼む」商流は健在ですが、そこに新興メーカーや海外ODM(Original Design Manufacturer)を加えることで選択肢が広がります。
近年はサプライヤー側もインジェクション成型技術や自動化ラインを積極導入し、多品種小ロットに対応する企業が増えています。
重要なのは、サプライヤーごとに得意分野と不得意分野を正確に把握し、ドキュメントやサンプル確認を系統的に進めることです。
主な素材の特徴と選び方
陶磁器・焼き物
伝統的な食器素材の王道です。
特徴は、表面の質感やデザイン性の高さ、重厚感、耐久性があげられます。
陶磁器は国内大手(美濃焼、瀬戸焼、有田焼など)をはじめ、中国・ベトナム製など海外生産も一般的です。OEMでは「釉薬」「ロゴ入れ」など細かな仕様変更が可能で、ブランド差別化が図りやすいというメリットもあります。
一方、焼成の歩留まりが低い場合や、表面に個体差が出やすいため、安定供給という点ではガラスやプラスチックに劣る場合があるため要注意です。
ガラス
ガラス製の給水器や食器は、清潔感、耐熱性、透明性がポイントです。
近年は強化ガラスやホウケイ酸ガラスなど高機能素材の採用が進んでおり、安全性とデザイン性を両立できる点が支持されています。
OEMの場合、専用金型や焼き付け印刷など加飾技術も発展しており、小ロットからの対応も増えています。ただし素材の重さや、万一の割れリスクは取扱説明書への明記が必須です。
プラスチック樹脂
プラスチック(ポリプロピレン・ポリカーボネート・メラミン等)はコストパフォーマンス重視や軽量化が必要な案件で活躍します。
射出成形による量産性の高さ、形状バリエーションの豊富さ、着色自由度の高さが魅力です。
昨今はBPAフリーや環境負荷低減(バイオプラスチック、リサイクル材活用など)の要求も強まっているため、素材選定時には環境配慮基準をバイヤー自身が明確に設定しておくことがOEMの価値を高めます。
ステンレス・金属素材
主に給水器で多用される素材です。
ステンレスは衛生性、耐食性、剛性に優れていますが、工場ごとの加工技術(ロール成型・溶接・鏡面研磨など)で出来栄えやコストが大きく変わります。
また、ダブルウォール(二重構造)や真空断熱などの機能追加もOEM案件で人気があります。
現場視点でみるOEM製造工程の要点
設計・仕様確定と金型手配
OEM品は「百聞は一見に如かず」。設計段階で、必ず3Dデータやサンプルモックアップを現場で確認します。
金型はコストの大きな比重を占め、特に射出成型、プレス成型では初期投資が数十万~数百万円単位となるケースも珍しくありません。
海外工場の場合は日本語設計図の解読精度や、「ミリサイズ・インチサイズ」「JIS・ISO」など規格の食い違いにも注意が必要です。
一次生産(試作~量産立ち上げ)
試作時には、量産工程のボトルネック(焼成ムラ・成型バリ・溶接不良など)を現場レベルで見極めます。
「サンプルは完璧だが実際は歩留まりが出ない」「手作業工程が案外多くて納期が不安定」などのギャップを早期に把握しましょう。
このフェーズで生産管理担当や生産技術、品質管理部門と連携し、製造パターン分析やFMEA(故障モード影響解析)を進めることは昭和世代的な「勘・コツ」とデジタル時代の「可視化」の融合です。
量産および品質管理
量産開始後は、初期流動(初回ロット)の品質・納期を徹底モニタリングします。
現場で多い課題は、「仕様変更点が現場に周知されずミス発生」「抜取り検査基準の緩み」「工程変更時のリスク共有不足」などです。
バイヤーとサプライヤーで「現場レベルの日報・異常報告」や「定例連絡会」などを設け、コミュニケーションを継続することでトラブル回避につながります。
また、食品衛生・安全基準(SGマーク、ISO22000等)の最新法令対応はOEM委託元の責任範囲となるため、監査を積極的に行いましょう。
包装・納品・アフターフォロー
包装仕様や出荷検査も重要な品質管理ポイントです。焼き物の場合、輸送時の破損対策として仕切り入り個箱包装を採用するケースが多いです。
納品後のお客様クレームや万一の製品リコール体制も、事前にサプライヤーと協議しておくことで、ブランドの信頼性を守ることができます。
結局、OEMで成功する食器・給水器の共通点とは
ユーザー目線、現場目線、サステナブル視点の三位一体
成功するOEM商品には次の共通点があります。
・ユーザーニーズの深化と、「何のために必要なのか?」を現場で徹底的に議論する
・現場PCDA(Plan-Check-Do-Action)サイクルが根付いている
・法令やサステナブル対応など最新動向を押さえ、スピーディに仕様変更できる柔軟な体制
昭和的現場力の底力を活かしつつ、サプライヤー・バイヤー双方が新しい技術や発想を取り入れることで、OEMだからこその顧客価値が生まれるのです。
まとめ:OEM食器・給水器でもっと成長するために
オリジナル食器や給水器をOEMで作る際には、素材と製造工程を単に“外注”するのではなく、「現場を動かし、共に成長し、互いに学び合う」パートナーシップこそ最大のカギです。
時代遅れと揶揄されがちなアナログ現場でも、昔ながらの現場力や気配り、お客様目線が未来のヒット商品につながっています。
一方で、サプライチェーンの多様化やトレーサビリティ、サステナビリティもますます重要視されています。
製造業の現場だからこその奥深いノウハウを活かし、社内外との協働をさらに強化していきましょう。それがOEMの真価を引き出す最大の近道です。
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