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製造業の輸入調達で重要な現地物流パートナー選びの基準

目次
はじめに:輸入調達の「現場」が変わると、競争力が変わる
グローバル化が加速し続ける現代の製造業において、海外から部材や原材料を輸入調達する企業は急増しています。
部品単価を安く抑えたり、品質やサプライチェーンの多様化を進めたりする「調達戦略」は、もはや当たり前の時代です。
ところが長い実務経験の中で感じているのは、「海外からの輸入力=物流ネットワーク力」と言っても過言ではない現実です。
調達先をいくら吟味し、価格や品質で優位点を掴んでも、現地での物流が詰まるだけで納期は遅れ、コスト増・現場混乱・信頼喪失を招きかねません。
事実、多くの日本企業が、価格交渉にばかり集中して“現地物流パートナー(フォワーダー/3PL/ローカルサプライヤー等)”選びをおざなりにしがちです。
本記事では、アナログな商習慣が残る現場のリアルを踏まえつつ、製造業の現地物流パートナー選びの基準、調達購買担当や現場管理者が知っておくべきポイントを解説します。
なぜ「現地物流パートナー」選びがカギになるのか
1. 調達購買の現実=“期待”と“現場事情”の板挟み
調達購買部門は、原価低減圧力が年々高まり、グローバルソーシングは「避けられない選択」となっています。
その一方で、現場では“輸送事故や納期遅延”など物流に起因する課題が絶えません。
特に新規取引先国やサプライヤーの場合、現地の物流体制にどれだけ熟練度があるか、その見極めができないままプロジェクトが動き出すケースが多いです。
結果、輸入調達の真価=「高品質・低コスト・短納期」を阻む大きなボトルネックが「現地物流」の部分に集中します。
2. 製造業のアナログ慣習がもたらすリスク
“FAX文化”“人海戦術”“担当者ごとの暗黙知”――こういった昭和的アナログ商習慣は、少なくとも海外の現地物流業界にも色濃く残っています。
物流管理台帳がエクセルや紙で運用され、担当者の経験値に依存した進捗管理しかされていない現場も珍しくありません。
こうした“体制面の緩さ”は、イレギュラー対応力の低下、情報の伝達ミス、さらにはトラブル発生時の責任の所在不明など、重大な問題につながります。
だからこそ、現地物流パートナーの選定は「システム化」や「自動化」以上に、「現場力=緊急時の対応力・調整力・報連相意識」にまで踏み込む必要があるのです。
物流パートナー選びの8つの基準
製造業の調達担当や工場長として、実際に多くの現地物流業者と関わり、比較・発注してきた経験から、重要度の高い「パートナー選びの基準」を紹介します。
1. 現地ネットワーク力と対応範囲の広さ
必須なのは「調達先のエリアでどれだけ拠点・コネクションを持っているか」、そして「どの程度広範囲な業務対応が可能か」というネットワーク力です。
特定の国・地域・都市だけでなく、広い商圏をカバーできるパートナーなら、今後の取引拡大やサプライチェーンの多様化時にも有利です。
陸送・海上・空輸まで一括ハンドリングできる業者は特に評価ポイントが高いです。
2. トラブル時の対応力(現場復旧力)
事故やトラブルが発生した場合、被害拡大を防ぐ初動対応がカギを握ります。
夜間・休日問わず、現地スタッフが迅速に現場対応し、傷口を小さくできる“現場対応力”を持つパートナーかどうか。
納入遅延時に現地で調整や代替輸送手配が効くか。日本語・英語+現地語で正確に指示が通じるか。この「危機対応力」はネット上の評判や自社の口コミネットワークなども活用して慎重に見極めましょう。
3. コミュニケーション力と報連相力
現地でトラブルが発生した際、「日本にいる担当者に逐一細かく連絡を入れてくれる業者」は極めて重要です。
たとえばB/L(船荷証券)やインボイスの書式不備・輸入規制の変更など、“動いてからしか分からない問題”も多々発生します。
「報告・連絡・相談=報連相」がきちんと徹底される業者か。担当者ごとではなく、会社として情報共有の仕組みがあるかどうかを必ず確認しましょう。
4. 輸送ルートの柔軟性・バックアップ提案力
港湾や輸送インフラの問題で、“通常のルートが使えない”ケースも現地実務では日常茶飯事です。
その際、代替案の提案やリカバリープランが持てる業者かどうか。過去実績をしっかりヒアリングし、「想定外」に強いかどうかを見極めましょう。
5. バイヤー主体でのカイゼン・現場提案
日本のバイヤーが「これで大丈夫だろう」と思い込んでいる盲点は多いものです。
現場パートナーから、梱包改善、作業効率アップ、通関書類フォーマットの合理化など、現地目線で“攻めの提案”を逆提案してくれる物流業者は、長期的な競争力向上に大きく寄与します。
6. 費用透明性と追加コストの説明力
運賃以外に現地で発生する費用(倉庫保管料・通関費・現地手数料・緊急配車コスト等)が明確で、事前に細かく説明がなされるか。
明細の出し渋りや、「あとから高額請求がくる」ような業者は排除しましょう。
また、現地通貨建て・外貨建て請求や支払い条件(前払制・後払制)も十分に打ち合わせが必要です。
7. アナログ現場力とITインフラの両輪
デジタル化が進んでいる物流業者も多いですが、発展途上国では“ラストワンマイルの現場”が完全アナログの場合も多いです。
ITでトレーサビリティを確保しつつ、「現物確認」「荷役スタッフの力量」「担当者の交代時の引継ぎ」のような泥臭い現場オペレーションも実際に見ておく。現地視察や現場ヒアリングは必須です。
8. 長期関係構築できる信頼性・柔軟性
最後に重要なのは「コスト競争力に優れているかどうか」以上に、「長期に渡って付き合える誠実な相手か」どうかです。
容赦ない価格交渉でパートナーシップを築いてしまうと、現場のギリギリ運営ゆえに“事故時に助けてくれない”悪循環が生まれます。
短期的なコスト比較以上に、現地物流スタッフとの合同ミーティングで「人となり」や「現場の空気感」まで掴むことが、昭和から変わらぬヒューマンネットワーク重視の製造業では不可欠です。
【実践編】バイヤーとサプライヤーの「心理戦」:物流パートナー選びのリアル
バイヤー視点:「なぜ物流パートナーは“ブラックボックス”なのか」
バイヤーは、多数のサプライヤーと取引する中で、「物流コスト・納期・品質」を天秤にかけ、少しでも有利な条件の業者を選びたいのが本音です。
しかし、現地の実運用までは見えにくく、物流関連コストは通関手数料や変動費の名目でブラックボックス化しています。
「コストダウン要求ばかりでは本当に大丈夫なのか?」と、不安を持ちながらも、“結局値段で決めてしまう”ジレンマに陥りがちです。
サプライヤー視点:「バイヤーが本当に求めている“安心”とは」
サプライヤーとしては、「現地物流パートナーの選択・管理」は納品責任に直結するため、大きな経営テーマです。
バイヤーから見て「最安値で輸送した=良い仕事」だけではなく、「どんな突発案件でも最後まで面倒見てくれる物流会社を選んでほしい」というニーズも強く感じます。
現地物流のパートナー選びに際し、「現地立ち合い」「ピンチ時の夜間連絡」「第三者評価(同業他社事例)公開」など、サプライヤー自身が可視化・主体的アピールすることで、バイヤーからの信頼を獲得しやすくなります。
輸入調達の物流現場でありがちな“あるあるトラブル”と、備えるべき仕組み
港湾スト・税関スト、突然の法規改定
例えば中国、インド、インドネシア、ベトナムといった新興国では、政府方針や港湾ストライキで「昨日まで正常→今日から完全ストップ」のケースも珍しくありません。
こうした天災・人災リスクに対し、緊急時の代替案(別港・別業者・一時保管施設手配など)を事前に持つ業者かどうか、業者主導でリスクマネジメント計画を用意しているかは重要な選定ポイントです。
納入先間違い、積荷の破損・紛失
「住所の番地が一つ違った」「誰もサインしていないのに納品完了扱い」「現地の荷役作業員が不慣れで積荷を落とした」など、現場レベルの“ヒューマンエラー”は常に付きものです。
これらは「現地物流会社の作業教育・検品マニュアル・写真付き納品報告」など運用レベルでの抑止力がカギになります。
価格だけでなく、こうした地道な「運用力」を見極めることが、本気で信頼できる現地物流パートナー選びの商社的な視点です。
情報伝達ミス、書類不備で通関NG
現地法令や商習慣の違いによる「インボイス・パッキングリストの記載ミスで通関できない」という事例は、巨大プロジェクトを抱える工場現場でもしばしば発生します。
「細かい部分まで逐一情報照合チェックする仕組み」、「ベテラン担当者によるWチェック体制」など“昭和的なアナログ精度”をむしろ強みにできる物流業者も、管理職としては心強い存在です。
まとめ:本当の競争力は「現地物流まで見据えた調達」で決まる
製造業の現場では、輸入調達=価格や品質の競争と捉えがちですが、リアルな現場では“現地物流パートナー選び”こそが納期とコストの根幹を握ります。
最新IT化・システム重視は大前提ながら、昭和から続く“アナログ現場力”を見極められるかどうか。それが製造業のバイヤーやサプライヤーの最大の差別化ポイントです。
「安さ」よりも「現場対応力」。「効率」よりも「泥臭い現場力」。
未来の競争力を育てるのは、現地物流を丸ごと見渡し、現場と経営を一体で支えるパートナーを選び抜く“目利き力”に他なりません。
バイヤーもサプライヤーも、現地物流の見えない壁を越えてこそ、真のグローバル競争のスタートラインに立てます。
現場で鍛えた“ヒヤリ・ハット”の経験を活かし、ぜひ自社ならではの強い物流パートナー選びを進めてください。
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