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日本発調達の輸送コストを削減する最適積載計画の立て方

目次
日本発調達の輸送コストが重荷になる理由
日本の製造業、とりわけ輸出型企業や多拠点展開企業では、資材や製品の輸送コストが年々重い負担となっています。
昨今の燃料費高騰だけでなく、国内のトラックドライバー不足や2024年問題(労働時間規制)など、物流全体を取り巻く環境変化がコスト上昇に拍車をかけています。
製造現場においては「とにかく納期厳守」「多品種小ロット対応」といった現場都合が先行しがちで、物流効率や積載率向上のための工夫が後手にまわりがちです。
加えて、昭和時代から続くアナログな発注・配車管理や、伝票文化も根強く残っているため、輸送コストの可視化や最適化が進みにくいのも現状です。
この記事では、現場目線を重視しつつ、調達購買担当や製造担当、サプライヤー双方が取り組める「最適積載計画」のポイントを解説します。
実践的なノウハウと、失敗しがちな落とし穴も交えてご紹介しますので、ぜひ御社の現場改善やコスト削減のヒントとしてお役立てください。
積載率の向上こそ最大のカギ
積載率がもたらすインパクト
輸送コストを根本的に削減するうえで、最重要なのが「積載率(積載効率)」です。
トラックやコンテナの積載率が90%と60%とでは、同じ運賃でも荷物ひとつあたりのコストが大きく変わります。
つまり、可能な限り無駄な空間を作らず、1台あたりの輸送量を最大化することが王道施策です。
例えば、10パレットぶんの製品を運ぶ場合、パレットを工夫して12パレット搭載可能にしたり、MIX積載を検討し14パレット積めれば、1パレット単価は大きく下がります。
この差は年間数百万円単位にも及ぶため、調達購買部門・生産管理部門にとっては放置できません。
荷姿・梱包の工夫は可能か
積載率向上の最初のステップは「荷姿(パッケージ形状)」と「梱包仕様の見直し」です。
たとえばダンボール・パレットサイズは物理的な制約で定めている場合が多いですが、実際はムダな余白や、統一ルールの甘さが原因で積載効率が低下しているケースが散見されます。
現場目線で確認すべきは
・パレット寸法や段積み限界を遵守しつつ、寸法最適化できないか?
・バラ積みにできる商材や、モジュール化できる製品ロットがないか?
・サプライヤーと共同で梱包材サイズを合わせられないか?
です。
段ボールケースの寸法統一や、パレット上限の見直しだけで、積載効率が10%前後改善した事例は珍しくありません。
ただし過剰な積載は荷崩れや製品傷みに直結するため、「安全な限界値」をサプライヤーと協議することが必須です。
MIX積載の徹底活用
異なるサプライヤー品や製品ロットを同じ便にまとめて発送する「MIX積載」も、コスト削減の代表手法です。
調達購買部門が主導し、複数サプライヤー・複数拠点の調整を行うことで、積載率を劇的に向上できます。
ただ、現場でよくあるのは
・納期が合わない
・荷姿がバラバラで混載不可
・誰がコーディネートするのか不明
など、現実と理想のギャップが大きいことです。
ここで重要なのは「納期とロットの事前調整」「梱包仕様の統一」「MIX積載の運用責任者の明確化」です。
さらに、配車管理を一元化できるシステムや、柔軟な運送会社とのパートナーシップも成功に不可欠といえます。
現場で使える積載計画立案のプロセス
1.現状分析:可視化とムダの発見
まず取り組みたいのが「現状分析」です。
積載率や物流コストは、伝票や運賃請求書、配車表などから定量化できます。
・トラック1台あたりの平均積載率(容積・重量双方で)
・品目別・サプライヤー別の積載データ
・余剰スペースや空便発生の理由
を可視化してください。
Excel管理や運送管理システム(TMS)を使い、月に一度は「積載率マップ」を作成すると、驚くほどムダが浮き彫りになります。
2.積載計画・シミュレーションの実施
可視化したデータをもとに、積載計画を組み直します。
ラテラルシンキングの視点を取り入れ、
・納期を1日ずらしても良いものをまとめてロットアップできないか
・部材、完成品、中間品をミックスできないか
・サプライヤー間のコラボ積載(横連携)は現実的か
など、枠にとらわれずアイデアを出すことが重要です。
積載シミュレーションは、紙やExcelでも可能ですが、3Dシミュレーションツールの利用(例:AutoCAD、PLANT SIMULATOR等)も有効となります。
3.サプライヤー・運送会社との連携・交渉
計画が決まったら、サプライヤーや運送会社との連携・調整に移ります。
ここで注意したいのが「サプライヤー目線の現実」と「バイヤー目線の要求」のギャップです。
納期・荷姿・梱包変更には協力金や契約見直しが必要な場合もあります。
双方が「最適積載によるWin-Win」を目指し、粘り強く交渉しましょう。
また、運送会社との交渉時には
・積載率向上へのインセンティブ付与
・コストシェアリング
・繁忙期・閑散期の配車保証
などの条件をまとめて交渉すると、より強固な協力体制が築けます。
失敗しやすい落とし穴とその回避策
計画倒れリスク「現場運用力」の過小評価
最適積載計画は、机上のロジックのみでは完結しません。
現場でよくありがちな失敗は、
・追加荷物や当日キャンセルによる配車崩壊
・現場担当の属人的な運用による計画ズレ
・品質優先の荷扱い軽視によるトラブル
です。
これらを防ぐためにも、実際の積載シミュレーションを現場で一度はやってみる。
また、現場担当者との事前すり合わせミーティングを必ず設けることが肝要です。
「見える化」だけで終わらない管理サイクルの構築
積載率・運賃コストの「見える化」はあくまでスタート地点です。
重要なのは、月次・週次で振り返り、計画と現実の差(ギャップ)を都度埋めていくPDCAサイクルの構築です。
また、現場の知恵や突発的なアイデアも取り入れ、改善活動の継続が成否を分けます。
昭和アナログ文化でもできる積載最適化の工夫
製造業の多くは、未だ「紙伝票運用」「口頭指示」「長年の慣行」で現場が動いています。
DX(デジタルトランスフォーメーション)推進が進まなくても、積載効率改善は現場のちょっとした「意識改革」と「小さなトライ」だけで始められます。
たとえば以下のような取り組みも効果的です。
・積載業務や配車のベテラン担当者からノウハウを聞き取り、簡易な作業標準書を作る。
・現場でよく使う段ボールサイズを棚で一目化し、誤った梱包を減らす。
・小規模から「MIX積載デー」を試し、関係者に成果をフィードバックする。
「デジタル化できない理由」を並べるより、「今すぐ現場でできる小改善」に重きを置くことで、物流コストは確実に下げられます。
持続可能な積載最適化のために、現場が目指したい姿
最終的に重要なのは、「積載率向上」を単なるコストダウン施策ではなく、製造現場の競争力向上・SDGs貢献(CO2削減)へ昇華させることです。
購買・物流だけでなく、生産、品質管理、現場作業者が一体となったチーム改善活動として位置付けていきましょう。
トータルな視点から「必要なものが、最小限の物流で、確実に届く」仕組みを現場発で作り上げること。
これが、今後の製造業が“世界に勝つ”ための強力な武器となります。
まとめ:今すぐできる積載最適化のアクション
結論として、日本発調達の輸送コスト削減には
・現状データの可視化
・荷姿・梱包・納期の再設計
・現場との意識共有と実践
・サプライヤー・運送会社とのパートナーシップ強化
の4本柱が不可欠です。
特別なIT投資や抜本的な体制変更でなくても、一歩目の「現場発改善」からスタートしてください。
そして、単なるコストカットではなく、製造現場を守り、日本のものづくりを次世代につなぐ持続的な改善活動へ昇華させましょう。
読者の皆様の現場でも、「最適積載計画」が物流コスト改革の第一歩となることを切に願っています。