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Yesマン営業が信頼を失い顧客からも見放される瞬間

目次
はじめに:なぜ「Yesマン営業」が危険なのか
製造業における営業活動は、単なるモノ売りでは成立しません。
顧客と深い信頼関係を築き、ロングタームでビジネスを共に作る「パートナー」となることが成功のカギとなります。
しかし近年、特にアナログな体質が色濃く残る昭和型の現場では、「顧客の要望はすべて聞く」「無理な約束も笑顔で受ける」タイプの、いわゆる「Yesマン営業」がまだ根強く存在しています。
一見、熱心で誠実に見えがちなYesマン営業ですが、実はこれが大きな落とし穴となり、最終的には顧客からの信頼を失い、受注さえ減少させてしまうケースが多発しています。
本記事では、製造業で現場実務とマネジメントを経験してきた立場から、Yesマン営業が信頼を失うメカニズムや、その背景、そして製造業特有の業界動向をひも解きながら、真に選ばれる営業・サプライヤーへの転換ヒントまでをわかりやすく解説します。
Yesマン営業とは何か
Yesマン営業の典型的な特徴
Yesマン営業とは、顧客からの依頼や要望に対し「できます」「大丈夫です」「すぐやります」と反射的に返答し、安易に受けようとする営業スタイルを指します。
一時的には顧客に好印象を与えるものの、以下のような根本的な問題を内包しています。
– 自社のリソースや現場事情をきちんと踏まえず、無理な納期やコストダウン要請も受けてしまう
– 技術部門や生産管理部門との調整を後回しにし、後から現場にしわ寄せが来る
– 問題が表面化したとき、事後対応やごまかしが発生しやすい
– 大きな決断を避け、本音で主体的に提案しない
なぜYesマン営業が生まれやすいのか
特に日本の製造業、とりわけ歴史あるアナログ業界では、長年の「お客様第一主義」「無理をきいてこそプロ」といった価値観が強く根付いてきました。
また、工場や現場と営業の連携が希薄な会社ほど、現場実情を十分確認せずに「できると言っておけ」と上司が指示しがちです。
新人営業にも「多少無理を聞くことで競合他社に勝てる」と教えられ、Yesマン営業が“推奨”される土壌が未だに残っているのです。
Yesマン営業が信頼を失う理由:現場の真実から分析
顧客にバレる「できない約束」の末路
顧客は、ときに無理難題を言ってきますが、それは“本当にやってほしい”ことばかりではありません。
顧客サイドでも「これは難しいはず」と分かった上で、どこまで対応できるか、相手の器量や誠実さを測っている場合が多くあります。
ここでYesマン営業が見栄や場当たりで約束した結果、
– 実際には納期遅延やクレーム発生
– 現場の疲弊やモチベーション低下
– フォロー対応の遅れや連絡不十分
といった「信頼の切り崩し」がスタートします。
「本音」が聞けず、提案力を失う
Yesマン営業にありがちなのが「顧客の言いなり」状態です。
これでは価格交渉すらできず、安易な値下げやサービス範囲拡大に自社が追い詰められるだけで、顧客との対等なパートナーシップは生まれません。
ひいては顧客側からも「この営業に相談しても本音ではダメなことを伝えてこない」と感じ取られ、より信頼できる他社営業へ切り替えてしまうケースも少なくありません。
現場からの不信:サプライヤー社内に生まれる「溝」
Yesマン営業は、工場や技術現場との間にも“溝”を作ります。
「営業がまたできない約束ばかり取ってきた」
「どうせ後で現場が尻拭いする羽目になる」
といった不信の連鎖が生まれ、人材の定着や成長にも悪影響を及ぼします。
製造業ならではの「Yesマン営業」の危険度
工場自動化(FA)時代でもYesマンは淘汰される
近年、AI・IoTの発展による工場自動化、省人化が加速しています。
これにより、従来の「人的な頑張りしだい」「現場がなんとかする」といった属人的経営からの脱却が求められるようになってきました。
デジタル化が進むことで、プロセスや統計データをもとに、根拠のある納期回答や生産計画が“当たり前”に要求される時代です。
Yesマン営業的な場当たり主義は、時代の変化に全くフィットせず、
– 数値的根拠を伴った納期や品質保証
– サプライチェーン全体最適でのリードタイム短縮やコストダウン
が現場力にならなければ、取引選考から外されるリスクが高まっています。
海外サプライヤーとの競争激化
グローバル調達が加速する現在、日本メーカー同士の“なあなあ”の関係性は通用しづらくなっています。
海外サプライヤーは、初めから条件や制約を明確化し、“できないことはできない”と毅然と提示することが通例です。
こうした相手と競争する場面でYesマン営業が「できない約束や場当たり提案」をすると、逆に「信用できない会社」とレッテルを貼られてしまう事例も増えています。
職種別:Yesマン営業が引き起こす具体的なトラブル
調達購買・バイヤー目線で見るYesマン営業のリスク
会社のバイヤーは、調達窓口として複数のサプライヤーを常に比較検討します。
短納期要望やコストダウン要求が多いのは事実ですが、実際には「困ったときに、できること/できないことを正確に伝えてくれるサプライヤー」こそを高く評価する傾向にあります。
Yesマン営業による
– 不明瞭な納期回答
– 後出しでの値上げ要請
– 品質トラブルの過小申告
は、たとえ一時しのぎで受注が取れても、長期的には購買リストから外される大きな理由となります。
サプライヤー側:現場苦労と技術者の士気低下
Yesマン営業が持ち帰る無茶な要求により、設計や生産現場が四苦八苦し、残業や手戻り作業が増える――こうしたケースは枚挙にいとまがありません。
さらに、社内の技術者が
「なぜ顧客の“無理”を真正面から受けて責任を負うのか」
「できないと言う勇気がないのは営業の責任」
と、モチベーション低下や人材流出を招きやすくなってしまいます。
信頼を勝ち取るための営業スタイル:現場力を活かす「Noと言える営業」へ
顧客と「本音で話す」営業が選ばれる理由
本当に顧客から信頼され、繰り返し選ばれるサプライヤー営業の共通点は
– 無理な要望には理由を添えて「できない」と伝える
– できること/できないことの境界線を明確に示す
– 難易度の高い要求には選択肢や代替案を提案する
– 会社や現場の事情も共有し、誠実な対話を心がける
という基本を貫いています。
製造業は“ものづくり”の集団であり、結果として
「難しい課題にも一緒に立ち向かってくれる相手」
こそが長期的なビジネスパートナーとなります。
Yesマン営業的な「ただのイエスマン」では、本音の相談や新規プロジェクトの相談が社内で封印されてしまい、ビジネスチャンスも失われかねません。
「ラテラルシンキング」で新しい価値を創造する
従来の「無理な要求は“根性”で応える」型営業に拘るのではなく、時代やサプライチェーン全体を見渡しながら
– その要求が生じる背景や真因は何か
– 他に解決できる方法はないか
– 生産リードタイムを短縮する新たな工程提案
– 調達ルートの見直しや共同購買によるコスト低減案
といった“ラテラルシンキング”(横断的思考)で提案できる営業こそが、顧客の期待を裏切らず、信頼を築きます。
現場と営業の一体感構築が差別化のカギ
Yesマン営業にならないためには、「現場と顧客の間に立つハブ」になることが不可欠です。
製造現場や品質管理、物流、さらには経営層とも情報共有しあうトライアングル型の“連携力”こそが、競合他社にない付加価値となります。
– 顧客の真のニーズを現場とシェアする
– 現場改善や品質向上にも営業自ら関与する
– 問題時には迅速なフィードバックで「より良い次回提案」を創出する
こうした地道な活動が、Yesマン営業とは全く異なる「信頼で選ばれる営業」を築きます。
まとめ:現場の知恵と誠実さが、未来の製造業営業をつくる
Yesマン営業は、短期的には受注や評価を得やすい“イイ人”路線に見えてしまいがちです。
ですが、製造業の高度化・グローバル化・自動化が進む時代、場当たり的で根拠のない“できる”回答は、顧客からも社内現場からも信頼を一気に失います。
大切なのは「できないことはなぜできないか」をしっかり説明し、「本質的な課題解決」につながる提案で顧客の期待値を超えることです。
現場起点の連携力と、ラテラルシンキングによる新しい選択肢の創造、誠実な対話力こそが、これからの製造業営業・サプライヤーが勝ち残る唯一の道でしょう。
少しの勇気と、長い目線での信頼構築を意識し、Yesマン営業から一歩抜け出し、“選ばれ続けるパートナー”を目指しましょう。
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