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プリント後のにじみを防ぐ吸水紙・乾燥ライン設計の改善法

目次
はじめに——プリント工程の「にじみ」対策が重要な理由
プリント工程、特にインクジェットやグラビア、フレキソ印刷は、製品の品質を左右する重要な工程の一つです。
しかし、印刷後の「にじみ」問題は長く現場担当者を悩ませてきた課題となっています。
画像の鮮明さ、ラインのエッジ、色の正確さを実現するためには、インクが乾くタイミングと、紙やフィルムなどの素材がインクをどれだけ素早く、均一に吸収できるかが鍵となります。
この分野はアナログ的な感覚や経験がいまだ根強く残る業界ですが、省人化・安定品質・ESG(環境・社会・ガバナンス)要請の高まりもあり、今こそ新たな着眼点で改善の余地がある領域です。
今回は長年現場に携わり、工場の自動化や品質管理の現場設計にも深く関与してきた立場から、プリント後のにじみを防ぎ、「吸水紙」や「乾燥ライン」の設計・運用をどう最適化していくかを、実体験を踏まえて解説します。
なぜにじみが発生する?メカニズムを押さえよう
インクと基材の相関関係
プリント後の「にじみ」とは、インクが載せた場所から想定外に広がったり、色がぼやけたりして、シャープな印象を損ねる現象です。
にじみの主な要因は、次の2点に大別できます。
1. 基材(紙やフィルム)のインク吸収性や均一性の悪さ
2. 乾燥不十分によるインクの拡散
特に紙の場合、繊維の太さや結束の仕方、塗工状態、水分含有量などが大きく影響します。
一方、フィルムや金属など非吸水性基材では、インクの揮発やUV硬化の設計が肝となります。
吸水紙の役割と限界
吸水紙は、印刷直後のインクの余剰水分を素早く吸い取ることで、インクの拡散を防ぐ役割を担っています。
しかし、吸水紙自体の品質や種類、搬送速度との相性、交換タイミングのばらつきなど、現場での課題は数多く残されています。
昭和の時代から「感覚」や「熟練工の経験」に頼っていた領域ですが、これをより論理立てて見直すことが、高品質化や自動化の第一歩です。
乾燥ライン設計にも盲点がある
乾燥装置の温度設定や風量・風向、自動搬送の速度、ライン配置も、にじみ対策には直結します。
短い距離で過度な熱風をかければインク表面は固まるものの、内部が乾くまでに時間差が出て、その間ににじみが生じることがあります。
逆に、風量が弱すぎると乾燥不十分となり、完成品に残留溶剤やにじみが残ります。
現場目線で考える『吸水紙』と『乾燥ライン』の最適化
吸水紙の選定ポイント—現場で押さえるべきチェックリスト
1. 吸水速度(インク適用直後にどれだけ早く吸収できるか)
2. 均一性(製品全体にムラなくインクを引き取れるか)
3. 塵埃・異物混入リスク防止(吸水紙自体が不純物源にならないか)
4. 交換頻度とランニングコスト(自動交換装置との親和性、運用負担)
例えば、同じ「吸水紙」として流通する製品でも、繊維密度や表面処理、静電気発生の有無などが異なります。
過去に、搬送中に逆に吸水紙から塵埃がわずかに出てしまい、プリント面に混入、歩留まりが落ちた現場も少なくありません。
こうした点は、取引前にサプライヤーとの現場レベルでの試験や、スペック比較が不可欠です。
乾燥ライン—古い常識にとらわれない設計を
従来の製造現場では「とにかく強い風と高温を当てておけば間違いない」「乾燥庫の長さを延ばせば安心」といった考え方が根付いていました。
ですが、近年はエネルギー効率の面でも、インク・紙双方の特性最適化の観点でも、部分的で賢い乾燥が求められています。
具体的には—
・段階的に温度や風量を制御し、最もにじみやすい工程直後だけ強乾燥
・熱風乾燥とIR(赤外線)やUV硬化などを組み合わせたハイブリッドラインの導入
・乾燥装置内部の風の流れを「見える化」し、基材全体に均等に当てるノウハウ
などが挙げられます。
こうした設計は省エネでランニングコスト削減にも寄与し、「昭和的フル加熱」からの脱却を可能にします。
自動車工場の生産ラインや大手印刷工場でも、ここ数年でこうした取り組みが加速しています。
バイヤー視点で考える:見積もり・商談時の注意点
この工程は、OEM委託や材料の切り替え時によく摩擦が生じやすい領域です。
現場の方に加え、調達バイヤーやサプライヤーが「何に着目し、どう見積もるか」は極めて重要です。
スペック確認だけではNG——現場ニーズの聞き取りがカギ
バイヤーがカタログスペックの比較だけで吸水紙や乾燥機器を選定しがちですが、現場の実装には「肌感覚」が多分に関わります。
たとえば、
・どんなプリント面積やインク粘度で、どのくらいの変動幅があるか
・品質トラブル発生時の現場対応力(納期・異物対策・現地立ち会いなど)
・ロットごとのばらつき管理
こうした情報は、現場リーダーにヒアリングして初めて見えてくるものです。
サプライヤー視点:バイヤーが重視するポイントを知る
サプライヤーとしても、自社の吸水紙や乾燥装置を単に「売り込む」のではなく、
・導入実績や他社ラインでの成功/失敗事例
・現場テスト立ち会いサポート
・顧客要望(歩留まり、異物管理、コスト)の提案力
が重要になってきます。
実際、導入後の「横展開」や定期的な改善提案で、長期取引の信頼を得ている会社は、そのあたりを強く意識しています。
昭和の現場から令和の現場へ——“ラテラルシンキング”で発想を転換する
古い設備や「やり方」が根強く残る製造現場こそ、少しの工夫や考え方の枠を超えた“ラテラルシンキング”が効果を発揮します。
たとえば—
・「吸水紙の素材を変える」だけでなく「吸水紙を不要にするインクレシピの開発」
・「乾燥ラインの延長」ではなく、「AIを使ったリアルタイム乾燥状態モニタリング」
・「見える化」管理を促進するためのIoTタグによる歩留まりデータの自動取得
こうした革新的な発想は、トライ&エラーの現場文化と最新技術の融合で成り立ちます。
現場スタッフ、設計担当、バイヤー、営業、サプライヤーの「垣根を超えたチーム」で意見を出し合い、徹底して現物現場現実(3現主義)を重視すると、小さなヒントから画期的な改善につながることが少なくありません。
まとめ——“にじみ対策”は現場の進化と競争力の鍵
プリント後のにじみを防ぐには、吸水紙や乾燥ラインの選定・運用を、単なる「道具」としてでなく、製品品質そのものと考え直すことが重要です。
そのためには、
・基材・インク・工程ごとの特徴把握
・現場での実装、検証、トラブル共有
・最新の装置や運用ノウハウを取り入れる柔軟な発想力
が求められます。
世界の製造業では、日本独自の「現場起点の改善力」がいま一度評価されています。
今回ご紹介したアプローチを参考に、ぜひ社内での対話や社外パートナーとの関係構築、そして自社製造現場の改革に着手してみてください。
製造業の現場は、まだまだ進化の余地があります。あなたの一歩が、現場を変え、業界全体の発展につながることを願っています。
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