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金属加工業がデザイン賞を狙うためのプレゼン資料とコンセプト構築法

目次
はじめに
金属加工業といえば、長年にわたり“縁の下の力持ち”として日本の製造業を支えてきました。
しかし、近年は単なる加工技術だけではなく、付加価値を高める「デザイン性」や「ブランディング」が強く求められています。
特に、デザインアワードの受賞は企業価値の飛躍的な向上や新規顧客の獲得、若年層の採用強化など多くのメリットをもたらします。
本記事では、金属加工業が“昭和的モノづくりマインド”から一歩抜け出し、デザイン賞を射止めるためのプレゼン資料の具体的な作り方と、勝てるコンセプトの構築法について、工場現場のリアルな視点を交えながらわかりやすく解説します。
なぜ金属加工業がデザイン賞を目指すべきなのか?
下請けからの脱却と「見える化」戦略
日本の金属加工業は歴史的に「下請け」の立場が多く、与えられた図面通りに作ることが主流でした。
しかし、グローバル化やIoT化の波の中で、単なる技術やスピード、コスト面のみでの競争は限界を迎えつつあります。
今や“加工品”自体が社会やユーザーにどのような価値をもたらすのかを「見える化」する時代です。
デザイン賞へのチャレンジは、技術力だけでなく、「企画力」「提案力」「ブランディング力」を証明する絶好の機会です。
若手人材や新規顧客の獲得
SNS時代において、いかに“映える”モノづくりを発信できるかが若手人材の惹きつけにも直結します。
デザイン賞受賞は業界での認知度アップだけでなく、外部への信頼感や期待感の醸成にもつながります。
デザイン賞の種類と選び方
ターゲットに合った賞を選ぼう
代表的なデザイン賞には、グッドデザイン賞、Red Dot Design Award、iF Design Award、A’DESIGN AWARDなどがあります。
“工芸的な美しさ”を競うのか、“機能美×革新性”を問うのかで、エントリーすべき賞が変わります。
自社の強みや加工技術、事業戦略にマッチしたデザイン賞をリサーチし、狙いを定めてリソースを集中しましょう。
勝てるコンセプト構築法 ~昭和的“ただ作る”からの脱却~
現場目線でアイデアを抽出する
「現場ファースト」の視点で自社技術のコア・コンピタンスを棚卸しします。
“1/1000mmの精度を保証できる”“相反する2素材を一体成型できる”など、カタログスペックを書き連ねるだけでは足りません。
「なぜ自社がこの工法にこだわるのか」「世間の困りごとを、現場技術者の知恵でどう乗り越えてきたのか」など、実際にモノづくりの最前線に立ってきた現場者ならではのストーリーこそが、最重要となります。
「機能美」と「社会的意義」を統合する
単に“美しい”“高性能”だけでなく、“それがなぜ今、社会に必要なのか?”という問いに真正面から答えましょう。
たとえば、「超高齢社会」や「環境志向」「多様性と包摂」などマクロトレンドと、強み技術を結びつけます。
現場の課題解決の延長線上に、「社会的意義」「時代性」を肉付けする──このラテラルな発想の飛躍が、審査員の心を動かします。
バイヤー・サプライヤー両視点でブラッシュアップ
バイヤーなら「誰にどんな提案メリットを発信できるか」、サプライヤーなら「自社ならではのイノベーションの証明とは何か」、それぞれ俯瞰して考え抜くことが重要です。
社内で“現場”“設計”“営業”など立場の違うメンバーを巻き込み、多角的にアイデアを練り直しましょう。
刺さるプレゼン資料の作り方
1. ストーリー設計~「起承転結」を意識
プレゼン資料は“加工プロセスの説明書”ではありません。
実際の現場が「どんな課題をどう乗り越え、どんな新しい価値を生み出したか」というストーリーを、「起承転結」で設計します。
・起:「なぜこの課題に着目したのか」
・承:「どんな現場技術がそれを実現できたのか」
・転:「何が既存の製品・サービスと決定的に違うのか」
・結:「ユーザーや社会にどんな価値を提供できるのか」
この流れに沿って、現場のリアリティと情熱が伝わるように工夫しましょう。
2. ビジュアルは“作業現場ありき”
カタログ写真で終わらせず、「現場の手の質感」「工程で発せられる火花のダイナミズム」など、リアルな作業風景を入れることで説得力が増します。
“一見地味だが手間を惜しまない誇り”を、写真や動画で演出しましょう。
3. 技術的な強みはユーザー目線で
単なる「〇〇μの精度達成!」ではなく、「これによりユーザーが何を得られるか」「他社品とどんな違いが生まれるか」を、できるだけビフォー・アフターや比較事例で示します。
加工技術を誇張せず、使い手・社会にどう作用するかを明確に言語化しましょう。
4. “アナログ業界”を逆手にとった提案力
「熟練職人の技×デジタル解析」や「古い設備の転用で生まれた新規プロダクト」など、いまだに“昭和的手作業”が色濃く残る現場だからこそ、“温故知新”のストーリーを強みにできます。
自嘲気味なユーモアも交えれば、審査員の印象に残ります。
現場のリアルなエピソードを活用しよう
頭で考えた理論より、実際の現場で起こった“ドラマ”の方が何倍も響きます。
たとえば、「客先要望で徹夜した職人の創意工夫」「廃業寸前で起死回生した町工場のV字回復」というリアルなエピソードは、聞き手の心を動かします。
担当者インタビューや、実際のユーザーの声も資料に盛り込めば、自社の“人の魅力”や“情熱”も効果的に伝わります。
まとめ:ラテラル思考で金属加工業が新時代を切り拓く
デザイン賞を目指すことは、単なる“賞取り合戦”ではありません。
変化の激しい時代だからこそ、現場の職人魂と、ラテラルシンキング(横断的な発想)で自社の未来を切り拓く絶好の機会です。
・現場観点で「なぜそれを作るか」を掘り下げる
・「社会性」「機能美」「ストーリー性」で勝負する
・“下請け”思考から一歩抜け出してブランドを打ち出す
・プレゼン資料は技術PRから価値創造の証明へ進化させる
これを機に、自社の眠れる技術や情熱を“世界に響くストーリー”として発信してみてはいかがでしょうか。
「加工業こそデザインで勝つ!」という新しい地平線に、皆さん一丸となってチャレンジしてほしいと心から願っています。
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