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営業部がなくても全国展開できるオウンドメディア構築と運営戦略

目次
はじめに ― 製造業の営業は変革期を迎えている
かつて、多くの製造業メーカーは営業マンによる足で稼ぐ「御用聞き営業」が主流でした。
私も工場長時代、事務所での電話やFAX応対、訪問営業を何十年と肌で感じてきました。
しかし今、デジタル化・DX・IoT化、そしてコロナ禍を背景とした行動変容で、営業の在り方は劇的な変化を見せ始めています。
現実問題として、営業部や専任営業担当者なしで全国あるいはグローバルに販路を開拓できる事例も珍しくありません。
そのカギとなるのがオウンドメディア(自社運用のWebサイトやオリジナルコンテンツサイト)の力です。
この記事では、製造業特有の昭和的アナログ文化が色濃く残る現場でも実装しやすく、なおかつ全国展開を実現できるオウンドメディア構築・運営の戦略について、現場経験から得た知見や実践的ノウハウ、業界動向を交えて詳しく解説します。
オウンドメディア構築の前提 ― 製造業の現場目線で考える
なぜ「営業部ゼロ」でも販路拡大が可能なのか?
製造業の多くが歴史的に「営業=人」のイメージを捨てきれずにいます。
しかし以下のような変化が起きています。
– ものづくりニーズの多様化、スケール化
– EC・デジタル受発注基盤の一般化
– 現場作業者自体が情報発信者となる事例の増加
– 顧客自身が情報収集・比較・意思決定をWeb経由で完結する傾向
例えば、加工業ではSNSやYouTube、オウンドメディアで技術事例を発信するだけで受注が舞い込むケースもあります。
営業部を持たない企業の現実的な課題
ただし、オウンドメディアのみで全てが完結するというのは理想論です。
昭和型業界の現場では、こんな不安・壁があります。
– 「営業=足で稼ぐ」が染み付いている
– FAX・電話しか使わないサプライヤーやバイヤーが一定数いる
– デジタル人材不足
– 技術者による情報発信の抵抗感
– SEOの重要性への理解不足
この現場認識を踏まえて、オウンドメディア構築と運用戦略を描くことが重要です。
製造業におけるオウンドメディアの構築ステップ
STEP1:現場の強み・コア技術・独自性の棚卸し
まず最初に行うべきは、自社の強みと他社にない独自性の再発見です。
バイヤーは「どの会社でもよい」発注はしません。
自社がどんな加工・部品・工程で絶対的に差別化されているのか、現場の作業員や技術者全員と対話し、リアルな事例を積み上げます。
棚卸しの観点例
– 技術的優位性(素材・工程・品質管理)
– QCDの強み(コスト・スピード・ロット柔軟性)
– 小ロット対応や試作開発力
– 困難な課題解決事例
– 設備・検査装置・自動化の実績
– 省人化・デジタル活用の先進性
こうした軸を、自社内だけでなく、協力工場やサプライヤー視点でも掘り下げます。
STEP2:顧客・バイヤーの「課題」起点でコンテンツ設計
バイヤーはつねに「3つの安心」を探しています。
– 技術が任せられるか(品質保証・工程管理は十分か)
– コスト/納期が合うか
– 不測の事態でも柔軟にカバーしてもらえるか
これらを解決できるストーリーや施工実績・トラブル対応例をストックし、「その現場で本当に困っていた/助けられた」実話エピソードを前面に出します。
STEP3:SEO最適化とロングテール戦略
「どこにでもいる製造業ホームページ」止まりでは、全国から見つけてもらうことは難しいです。
製造業の購買担当者やエンジニアが検索するキーワード、いわゆる「ロングテールワード」を網羅することが重要です。
具体例
– 業界別の用途やトレンドワード(EV向け端子加工)
– 技術詳細ワード(プレス精度〇μm以下対応)
– トラブル解決ワード(寸法ばらつき 直す方法)
– QCDに関する悩み検索ワード(試作1個 コスト抑える)
それぞれで特集記事やQ&A、現場レポートを用意し、検索流入を取りこぼさない仕組みにします。
STEP4:製造業ならではの「顔が見える」発信
BtoB製造現場のバイヤーは意外なほど「顔」「人」「現場の空気感」を重視します。
無機質な会社案内ではなく、現場写真・作業風景動画・実際に問い合わせに応対する人間のストーリーを前面に出すと、問い合わせ率は飛躍的に高まります。
昭和的な付き合い文化をデジタルでも継承し、「古き良き現場力」をウェブで伝える工夫がオウンドメディア成功の決め手となります。
運営戦略:全国展開・販路拡大を目指す実践ポイント
1. 技術系コンテンツの連載化・ストック型情報発信
製造業の「現場知見」「困りごとQ&A」は、定期的にストックしていくべき資産です。
たとえば
– 加工ノウハウ連載
– 公式技術ブログ
– 現場改善ヒントコラム
– バイヤー向けTips
など、連載・定期コラム化することで検索流入(SEO強化)とSNS拡散の両方を狙えます。
2. 動画活用とウェビナーによる顧客接点創出
– 作業工程の解説
– 新設備ラインの紹介
– 先端技術の解説
– 顧客への納入事例インタビュー
これらを2~3分程度の短尺動画で作成、ウェビナーという形で一般公開/限定公開します。
デジタルに不慣れなバイヤー層でも「映像なら分かりやすい」と高い評価を得ています。
3. 外注頼みにならず「現場発信型」運用を確立する
外部業者に丸投げする形はコストも高く、内容が形骸化しやすいという落とし穴があります。
現場スタッフや若手技術者が編集会議に入り、現場の「あるあるネタ」や失敗談、成功談をリアルにコンテンツ化する文化を育むことが全国展開のキモです。
また、2~3名の「編集チーム」を設けることが理想です。
工場と本社機能が分かれている場合は、現場代表者を巻き込む体制にしましょう。
成功事例から学ぶオウンドメディア革新の本質
ケース1:地方町工場が全国から直接引き合いを増やした例
静岡の精密加工工場では、「超小型部品 高精度加工」という技術特化の連載記事を毎月配信。
東京・名古屋・九州の大手バイヤーからも直接問い合わせが来るようになりました。
営業部は電話1名のみ、現場担当が記事監修・SNS発信も兼任しています。
ケース2:ファブレス企業のコア技術「見える化」による受注増
自社工場を持たない開発型メーカーでは、設計ノウハウや協力会社ネットワークの「横顔」をエピソード風に連載。
「どこで作っているか」「誰がどのように品質保証しているか」を詳細に解説することで、サプライヤー・バイヤー両面から「安心」の問い合わせが増えました。
ケース3:下請けから脱却するためのオウンドメディア運用術
「親会社以外からの受注を増やしたい」町工場が、試作開発や共同研究の成功事例、失敗談まで赤裸々に公開。
他業界の設計開発者につながり、従来とは違う販路・付き合い先の獲得に成功しました。
まとめ ― アナログ現場こそオウンドメディアの力で飛躍できる
昭和的アナログ文化のものづくり現場には、デジタル化やオウンドメディアを「よそ事」と捉える方も少なくありません。
しかし、現場目線でよく観察してみると、バイヤーもサプライヤーも実は「顔の見える安心」「技術の裏付け」を探しているのです。
それを一気通貫して伝えられる最強の武器が、オウンドメディアです。
人海戦術営業やアナログ頼みから脱却し、現場知や現場人材の価値をデジタルで全国に届ける。
製造業・町工場の未来は、間違いなく自社発信・現場発信型マーケティングの時代に移行します。
これからは、「現場で考え、現場から発信する」文化を社内に根付かせ、一歩先を行く全国展開を実現しましょう。
あなたの現場にも、大きな飛躍のチャンスが眠っています。
オウンドメディアという新たな地平を、共に切り拓いていきましょう!
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