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出張コストを抑えながら全国へ営業拠点を拡大するリモート営業体制の作り方

目次
はじめに
製造業の営業担当やバイヤー、あるいはサプライヤーの立場であれ、営業拠点の拡大と出張コストの削減は、企業競争力の維持・向上において避けて通れないテーマです。
2010年代の中頃までは、全国への営業展開は「物理拠点」+「足を運ぶ」スタイルが主流でした。しかし、コロナ禍をきっかけに非対面コミュニケーションが加速度的に進み、「リモート営業体制の構築」が求められています。
本記事では、昭和スタイルから一歩抜け出せない”アナログ業界”にも根付く「現場目線の実践ノウハウ」と、今後の製造業界のあるべき姿を、ラテラルシンキングの視点で掘り下げます。
なぜ今、リモート営業体制が必要なのか
人手不足と高騰する出張コスト
2020年代の日本の製造業は、地方でも都市部でも深刻な人手不足に直面しています。
工場現場は「人の流動化」を積極的に進めていますが、営業部門だけが旧態依然としたままでは、社内で歪みが生じてしまいます。
加えて、出張や移動の交通費・宿泊費は近年どんどん高騰し続けており、「従来のやり方」では営業拠点の維持や拡大に大きな制約がつきまといます。
デジタル技術の急速な普及
また、ウェブ会議やチャットツールの急速な普及により、「物理的な距離の壁」はこれまで以上に低くなっています。
つまり、リモート営業体制に早く適応した企業が、より低コストで全国展開をスピーディに進め、競争優位を獲得できます。
リモート営業体制の基礎構築ステップ
(1)顧客管理・営業支援システム(SFA)の導入
リモート営業体制の第一歩は、情報共有を効率化する「仕組みづくり」にあります。
Excelやメールでバラバラに記録していた顧客情報・案件進捗・問合せ履歴を、一元管理できるクラウド型SFA(Sales Force Automation)の導入が不可欠です。
これにより、全国どこにいても、誰でも、最新かつ正確な情報にアクセスできます。
SFAツールの選定基準は「現場の使いやすさ」と「他システムとの連携性」に注目しましょう。
(2)ウェブ会議・デジタルコンテンツの活用
商談や製品説明は、オンライン会議ツール(Zoom、Teams、Google Meetなど)を積極活用します。
但し、製造業の製品や設備は「触って、感じて」のリアリティも大切です。
そこで、現場動画や360度VR、3Dモデルデータなどのデジタルコンテンツを活用し、顧客体験価値を「リモート」でも下げない工夫が求められます。
(3)現場主導による営業資料・ナレッジの標準化
営業マン個々の「属人的な商談スタイル」から脱却し、現場目線でわかりやすい提案資料やFAQ、技術データシートを標準化しておくことが重要です。
例えば、品質管理部と連携し、「よくあるQ&A」「現場のトラブル事例」「検査体制のフロー図」などを整備すれば、顧客先の技術者とも高い信頼関係を築く武器となります。
「昭和型アナログ営業」の価値と限界
なぜ現場に直接足を運ぶことが重視されてきたか
昭和・平成初期の営業活動は、「顔を出してナンボ」「現場の空気を肌で感じて初めて契約できる」という文化が根強く、今なおアナログ重視の方針が残る企業も多いです。
実際、工場設備の据付現場での打合わせや技術トラブル時の駆けつけ対応によって生まれる「信頼感」は、今も大切な価値です。
どこまでリモート化できるのか
一方で、現代はサプライチェーンが全国・海外に広がり、日々膨大な顧客を支えるには、従来の「属人的・マンパワー依存型」で限界を迎えています。
リモート営業体制だからこそ、「現場に出向くべき時」と「オンラインで良い場面」を見極める目利き力がカギとなります。
全国拠点網拡大のコツ~「分身営業」と「顔の見えるリモート」~
営業マンの分身育成(分身営業)
物理拠点・人員を各地に増やすのではなく、「既存顧客の中に分身(アンバサダー)を育てる」ことが有効です。
例えば、納入済み設備のオペレーターや保全部門担当者を、定期的なウェビナーや技術勉強会に無料招待し、自社ファンを増やしましょう。
地域拠点化=倉庫や人材配備にこだわるのではなく、「現場の声が直接集まるオンラインコミュニティ」を築くのがこれからの営業戦略です。
リモート営業でも「顔出し+即応」の徹底
「リモート営業」でありがちな失敗が、「無機質な資料共有と事務的なやりとり」になってしまうことです。
必ずウェブ会議ではカメラをONにし、感情や真摯な姿勢を”見える化”しましょう。
また、小さな問い合わせにも迅速なレスポンスで応える体制は、営業マンの信頼獲得には欠かせません。
製造業におけるリモート営業の成功事例
地方中堅部品メーカー:関西発 全国複数拠点への展開
ある地方の中堅部品メーカーでは、5割以上の新規受注をオンライン会議・ウェビナー経由で獲得しています。
営業資料・技術サンプル・品質関係データを全てクラウド化し、各地のサプライヤーともリアルタイムに進捗共有しやすくなりました。
大手装置メーカー:定期ウェブ相談会×VR工場見学
また大手装置メーカーでは、現物据付工場への出張回数を従来比3分の1に減らした上で、新規顧客数を拡大。
その秘訣は定期的な「ウェブ技術相談会」と「工場のVR・撮影データのオンライン配信」にありました。
現場と情報システム部門がタッグを組み、誰でも「現地にいる」ような体験価値をオンラインでも提供しています。
リモート営業でも勝ち抜く現場目線の工夫
「現場に来てほしい」要求にどう応えるか
「やっぱり現場で顔を合わせたい」という業界特有のニーズも根強いです。
その場合は、「定例オンライン商談+年に1〜2回のキーパーソン限定出張」というハイブリッド営業体制を検討しましょう。
頻度と優先順位をデータで管理し、「価値ある出張」「省略可能な出張」の線引きを明確にします。
新人営業やバイヤー育成のための仕組み
オンライン営業では経験差による成果格差も生まれやすくなります。
社内ミーティングや定期フィードバック、ロールプレイングの機会を以前よりも多く設けましょう。
また、調達購買への異動希望者やバイヤー志望者には、現場動画や取引先インタビューといった実戦的なコンテンツを積極的に共有すると効果的です。
まとめ:昭和型を超えた「新営業×DX」が未来を切り開く
製造業の営業拠点拡大は、「出張コスト削減」と「顧客密着」の両立が大きな課題です。
SFAやウェブ会議、VRなどのデジタル武器を正しく使い、現場目線でナレッジを標準化した「分身営業」が鍵となります。
また、「温もりある顔出し」「機微ある即応」といった現場力が、リモート営業でも信頼獲得の決め手となります。
昭和スタイルだけでは、今後ますますコスト・人材・スピードで勝てません。
一方で、「現場の温度感」「目配り気配り」をデジタル時代に真摯に継承する工夫こそが、新しい製造業の成長エンジンとなるでしょう。
今こそ、あなた自身の現場経験をベースに、デジタル武器も積極的に活用し、「新しい営業拠点戦略」に挑戦してみてはいかがでしょうか。
全国のものづくり現場を、より強く、よりスマートに変革する仲間が、これからますます増えていくことを願っています。
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