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パターンメイキングに必要なCADソフトの種類と操作の基礎

目次
はじめに:パターンメイキングとは何か
パターンメイキングという言葉は、主にアパレル業界で使われることが多いですが、製造業全般においても非常に重要なプロセスです。
パターンメイキングは、日本語では「型紙作成」に相当し、製品を生み出すうえでの“設計図”といえる役割を担います。
現在、パターンメイキングの現場では、アナログな手作業からデジタル化への移行が進んでいます。
その中核を成すのがCADソフトの導入です。
この記事では、パターンメイキングに必要なCADソフトの種類とその操作の基礎について、現場目線で解説します。
昭和の現場から進化するパターンメイキング
かつてのパターンメイキングは、職人が手作業で型紙を作成し、長年の経験に裏打ちされた勘とノウハウがものを言う世界でした。
用紙や定規、鉛筆、ハサミといった道具を使い、微妙なカーブや寸法調整を繰り返して製品の完成度を高めていました。
しかし、グローバル化や短納期、少量多品種生産の波が押し寄せたことで、現場にも変革が求められるようになりました。
時代の流れに対応するため、多くの現場ではCAD(Computer Aided Design:コンピュータ支援設計)の導入が加速しています。
アナログの良さを知っている現場ベテランでも、デジタル化の必要性を実感し始めている近年。
とくに若手人材の現場定着や業務効率化、ノウハウの継承のためにも、CADによるパターンメイキングスキルは欠かせなくなっています。
パターンメイキング用CADソフトの主な種類
パターンメイキング用CADソフトには、用途や業界によりさまざまな種類があります。
ここでは、主だった代表例とその特徴を解説します。
アパレル向け専用CAD(例:YUKA CAD、東レCADCAM、Lectra)
アパレル業界向けの専用CADソフトは、身体寸法や縫製工程を前提とした優れたパターン作成機能を持っています。
サンプルパターンの流用やグレーディング(サイズ展開)、縫い代の自動設定、マーカー作成(生地取り都合による型配置)など、アパレルならではの機能が満載です。
たとえば、日本ではYUKA CADや東レCADCAMが導入現場も多く、操作体系も“お裁縫”に慣れた人でも直感的に扱いやすい設計になっています。
汎用3D CAD(例:Autodesk Fusion 360、SolidWorks)
3D CADは、金属加工や樹脂成形など、工業製品のパターンメイキングにも広く使われています。
アパレルとは異なり、立体物の寸法決定、アセンブリ(組立)、干渉チェック、部品配置などの機能が充実しています。
Fusion 360やSolidWorksのようなソフトでは、2Dスケッチから3Dモデリングまで一気通貫で進めることができ、複雑な部品でも正確かつスピーディーなパターン設計が可能です。
建築・木工・板金向けCAD(例:AutoCAD、Jw_cad、CADSUPER)
建築資材や木工、金属板金の現場でも、パターンメイキングには2D CADの活用が進んでいます。
汎用性重視で、多種多様な図面描写や加工指示書の作成に長けているのが特徴です。
AutoCADは世界標準、Jw_cadは日本の町工場でも使いやすいフリーウェアとして親しまれています。
現場に合わせたカスタマイズ性が高いのも強みです。
パターンメイキング用CADの操作基礎
実際にパターンメイキングを行ううえで、CAD操作の基本を押さえておくことが重要です。
ここでは、「アパレルCAD」と「汎用3D CAD」の両軸から、操作基礎を紹介します。
アパレルCADならではの操作基礎
・新規パターン作成
身体寸法や既存パターンを元に線分や曲線ツールで外形線を描画します。
基準線(バストラインやウエストラインなど)を正確に記入することがポイントです。
・グレーディング(サイズ展開)
基本サイズから他サイズを自動計算し、各部の補正ルールを組み込みます。
手引きで行っていた時よりもスピーディかつ正確に仕上がるのがCAD化の最大の利点です。
・縫い代、切り込みなどの自動処理
作図後、縫い代やノッチ(切込み)をワンタッチで追加設定できます。
手作業では差が出やすかった細部も、標準化できます。
・マーカーメイキング
サンプル作成や裁断用データとして、複数パターンを生地上に効率的に配置します。
歩留まりの改善や生地コスト最適化に直結します。
汎用3D CADの操作基礎
・2Dスケッチ作成
まずはワーク(材料)の断面図や外形を線や円などで2Dスケッチします。
寸法拘束や幾何関係を正確に入力することで、図面精度が上がります。
・押し出し/切削で3D形状化
2Dスケッチを元に、押し出す・削るなどして立体形状を生成します。
製品の厚みや形状補正はこの段階で反映されます。
・アセンブリ・モーションチェック
複数部品を3D空間上で組み合わせ、組立精度や可動範囲、干渉有無をシミュレーションします。
試作レスでのトラブル削減につながります。
・分解図や加工指示書出力
完成データから展開図や部品一覧、加工指示書を自動生成できます。
従来の手引き手順から大幅に省力化できるのがデジタルの強みです。
現場目線で見るCAD導入のメリットと課題
CADによるパターンメイキングが現場文化として浸透するには、現場の実態に即した運用が不可欠です。
実際のメリットと現場課題を、管理者・オペレーター双方の立場から紹介します。
【メリット】属人化の排除と業務効率向上
・パターンのデジタル化により、図面の情報が一元管理できる
・修正履歴やバージョン管理がしやすくなり、やり直し・再現が容易
・作業工程が標準化し、ベテラン以外でも一定品質の仕事ができる
・異動や引継ぎの際もノウハウ伝承が容易
・他部門(生産管理、調達、営業)とのデータ連携がスムーズに
【課題】現場ノウハウのギャップと教育コスト
・アナログ慣れしたベテラン社員は操作や概念に戸惑うことが多い
・独特の現場用語や社内流儀をどうデジタル標準に落とし込むか要検討
・ソフトによっては初期費用や維持費がそれなりにかかる
・しっかりとした教育体制を作らないと「形だけCAD化」で終わってしまう
これらの課題を克服するには、「旧来ノウハウの棚卸し」と「現場に寄り添った教育推進」がカギを握ります。
導入効果を最大化するためにも、形式的なマニュアル教育ではなく、現場の“体感”に基づいたOJTや現場連携が必要です。
サプライヤー・調達担当者から見たパターンメイキングCADの重要性
サプライヤーやバイヤーの立場でパターンメイキングを理解することは、単なる設計図のやり取り以上の意味を持ちます。
・自社側の設計意図、加工や品質面での要望を正確に伝える
・仕様確認や打ち合わせがデジタルデータ主体になり、確認・承認プロセスが短縮
・発注~納品後のトレーサビリティ、クレーム対応も迅速化
・現場からの改善提案も図面ベースでフィードバックしやすい
こうしたサプライヤー目線のコミュニケーション力は、今後の調達購買やパートナー選定でも評価される要素となります。
また、製造プロセス全体のリードタイム短縮やコスト削減にも直結するため、調達担当者にとってもパターンメイキングCADの知識習得は大きな強みとなるはずです。
製造業の未来を切り拓くパターンメイキングスキル
キーワードは「属人化排除」と「データドリブン化」。
AIやIoT時代を迎えた製造業では、CADによるパターンメイキングスキルこそが現場の価値創出に直結します。
これからバイヤーやサプライヤーの立場を目指す方、または今まさに現場で悩みを抱えている方も、自分の立ち位置からパターンメイキングの“本質”を見つめ直すことが何より大切です。
アナログの知恵を掛け算し、デジタルの価値を最大化してこそ、新しい時代のものづくりが花開くのです。
まとめ:脱・昭和的現場!パターンメイキングの進化を体感しよう
パターンメイキングに必要なCADソフトの種類や操作の基礎は、知っているだけであなたの仕事を大きく変えます。
アナログの手作業を「下積み」として活かしながら、デジタルツールを使いこなすことで、ものづくり現場はさらに進化します。
現場の空気や昭和の知恵を尊重しつつも、新たなスキル習得にチャレンジするあなたを、同じ現場経験者として心より応援しています。
パターンメイキングの“進化”をぜひ、体感してください。
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