投稿日:2025年11月10日

白地Tシャツ印刷で透け防止を実現するための白下塗り膜設計と硬化条件

はじめに:白地Tシャツ印刷の現場課題を直視する

白地Tシャツは、アパレル市場でもっともスタンダードかつ需要が高いアイテムです。
しかし、その「白さ」がもたらす課題──特にプリント時の“透け”は、製造現場にとって頭の痛い問題です。
とくに、色鮮やかなプリントを実現したいにも関わらず、下地の白がインクに影響し、不均一な発色や透け感が顕著になることが多いのが実情です。

本記事では、20年以上大手製造業メーカーで培ったノウハウと業界動向も織り交ぜ、白地Tシャツ印刷における「透け防止」を実現するための白下塗り(ホワイトアンダーベース)膜設計と、その最適な硬化条件について徹底解説します。

なぜTシャツ印刷に「透け」が発生するのか?

まず、透けがなぜ発生するのかを現場目線で理解しましょう。
Tシャツ素材は一般的にコットン、ポリエステル、または混紡糸で構成されています。
これらの素材は、繊維自体や編み目が細かく隙間ができやすい特徴があります。

また、プリント時に使用されるインクの組成、自重、粘度、そして押し付け圧・乾燥条件によっては、インクが生地に沈み込み、結果として下地や生地色が透けて見えてしまうのです。

特に白地Tシャツは、光が生地表面で乱反射せずインク層・生地層でそのまま裏側まで抜ける現象が強く出ます。
このため、下地処理設計が極めて重要になります。

バイヤーやサプライヤーが知るべき「白下塗り」の役割と期待機能

白下塗り、つまり「ホワイトアンダーベース」は、Tシャツ印刷工程において最初に施される重要な工程です。

白下塗りの本質的役割

1. **生地の目止め(インクの沈み込み防止)**
2. **後工程プリントインク発色性の向上**
3. **透け感(シャドウ)防止**

これらを的確に設計しない場合、最終製品のクレームや返品リスク、ブランド価値低下につながります。
サプライヤー目線でもバイヤーから「なぜ透けるのか?」「どこを改善すれば良いのか?」という踏み込んだ質問が増え、応えられないと信頼関係を損ないます。

透け防止に重要な白下塗り膜設計の3つのポイント

白下塗りを設計する上で絶対に外せない実践ポイントを3つに分けて解説します。

1. 塗布量および膜厚管理

下塗りの塗布量は「多ければ良い」わけではありません。
過剰塗布は生地の通気性・柔軟性を損ない、着心地が著しく悪化します。
また、乾燥不足を招く原因にもなります。

業界標準では、10~20ミクロン厚程度が基準です。
精密測定器(膜厚計、ウェイトチェッカー)で毎ロット管理し、
「塗布量とインク沈み込み率」
「膜厚と透け抑制率」
を長期モニタリングすることが最重要です。

2. 下塗り材の選定

主に「水性ベース」「プラストゾル(油性)」の2タイプに大別されます。

・水性
・生地馴染みが良くエコフレンドリー。
・しかし、乾燥工程や塗布不均一時の透けリスク高
・プラストゾル
・被膜性・隠蔽性が高い(透けに強い)。
・通気性が損なわれやすい、硬化時の手間、VOC規制対応課題。

高隠蔽で柔軟性も考慮したハイブリッド型や改質バインダー(柔軟樹脂混合)も登場しています。

また、界面活性剤や親水/疎水のバランスも考えることで生地内への染み込みを防ぎ表面被覆性を最大化できます。

3. 塗布方法とメッシュ選定

一般的にシルクスクリーン印刷が用いられますが、メッシュ(版)の選択が重要です。
70~80メッシュの場合、インクの吐出量が多く厚塗りできますが、細かいデザインでは200メッシュ以上を用います。

厚すぎると「ひび割れ」や「ごわつき」、薄すぎると「ムラ」「透け」の原因になりやすいので、デザイン×表面×着用感を加味した最適設計が求められます。
近年はデジタル捺染やDTG(ダイレクト・トゥ・ガーメント)方式も増え、下塗り材がより高機能化しています。

最適な硬化条件設定の重要性

メリハリの効いた硬化条件が、不良率・クレーム件数を大きく左右します。

温度と時間のベストプラクティス

推奨される乾燥条件は、白下塗り材の種類にもよりますが
・プラストゾルインク:160~170℃、60~90秒
・水性インク:150~160℃、90~120秒
が目安です。

「低温・長時間」は黄変や硬度低下、「高温・短時間」は収縮や焼け、高分子劣化に繋がりやすくなります。
現場ではロットや季節ごとの温湿度に応じた条件変更の仕組みを作りましょう。
“昭和屋台骨”のアナログ現場では、温度分布ムラやヒーター老朽化による部分的な未硬化が盲点になりやすいため、定期的な校正・点検が不可欠です。

さらに、硬化完了判断は「目視」「摩擦テスト」「フォークテスト(爪でこする)」といった職人技も大切ですが、赤外線温度計や硬化スペクトルセンサによる「数値管理」も導入しましょう。

後工程の柔軟性試験・洗濯評価も忘れずに

一点モノの受注が増える中では、1枚単位でも安定した仕上がりを実現するため、
・柔軟性テスト(屈曲試験)
・洗濯試験(JIS規格準拠の耐洗濯性評価)
も工程組み込みが必須です。
特に昨今は海外サプライヤーとの連携も多く、国ごとに求められる耐久性基準が異なるため、出荷前に必ず確認しましょう。

最新トレンド/業界動向:白下塗り膜の進化と自動化・データ活用

昭和的現場力が根付く日本ですが、世界のアパレル産業ではDX・自動化による工程最適化が進行中です。

ハイブリッド材料と自動印刷機の台頭

従来の「プラストゾルor水性」といった二元論から、マット仕上げや特殊質感表現を可能にするハイブリッド材料(UV硬化型・シリコン配合樹脂など)が多数登場しています。
また、シルクスクリーン印刷も精密自動機やAI画像監視を合体させることで「膜厚ムラ」「ブリッジ不良」をリアルタイム監視し、作業者の勘頼みを脱却しはじめています。

データロガー、IoT温度管理、全品スキャン判定といったデジタル技術の導入で、
「抜き取り検査から全数保証」「不良の未然防止」
という動きが加速しています。

環境対応・エコロジー材料の拡充

SDGs・エコマテリアル志向も加速するなか、VOCフリー・水系高隠蔽材、リサイクルインク、バイオ樹脂など、多様な選択肢が拡大しています。
バイヤー/サプライヤーは「透け防止×サステナブル」を両立する最新素材提案ができるかどうかが今後の差別化ポイントになります。

まとめ:バイヤー・サプライヤー・現場が知るべき価値創造の視点

白地Tシャツの透け防止、鮮明なプリント品質は、細かな白下塗り膜設計と確かな硬化条件管理が支えています。
現場力とデータを両立しながら、個々のロット品質を安定させ、不良品や返品リスクをゼロに近づけてこそ、世界に通用するものづくり現場が実現します。

バイヤーは「どんな設計思想・管理指標・改善サイクルで現場品質を作り込んでいるか」を必ず確認しましょう。
サプライヤーは「透けを抑えた白下塗り設計」を武器として、バイヤーに高付加価値提案できる体制を作りましょう。
現場は“昭和の勘頼み”と最新デジタル管理を融合させ、さらなる品質向上と効率化を強く意識しましょう。

白地Tシャツは基本中の基本。しかし、「基本を極める」ことにこそ、ものづくりの奥深さと価値が宿ります。
あなたの現場が一歩先の地平線を開拓しますように。

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