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折り畳み傘の生地印刷でにじみを防ぐ防水インクの粘度管理

目次
はじめに
折り畳み傘の生地印刷は、製造業の中でも繊維と化学、印刷が交差する非常に繊細な工程です。
特に鮮やかな柄やロゴ、キャラクターなどを印刷する場合、インクの「にじみ」は仕上がり品質を大きく左右します。
この課題を解決するために「防水インクの粘度管理」が非常に重要なテーマとなります。
本記事では、20年以上の製造業現場の経験をもとに、現場で使える実践的ノウハウや作業現場の“あるある”、進化しきれない業界構造の内幕とともに、粘度管理の重要性と技術ポイントを解説します。
なぜ折り畳み傘の生地印刷ではにじみが起こるのか?
生地とインクの相性問題
傘の生地はポリエステルやナイロンなど化学繊維が主流です。
これらは防水性を高める加工(PUコーティングなど)が施されています。
しかしながら、この防水加工はインクの定着を難しくし、未熟なインクや管理が甘い場合に「にじみ」や「ムラ」の原因になります。
インクの「粘度」こそ決め手
印刷インクの粘度が低すぎる(サラサラしすぎている)と、生地表面に広がりやすくなり、エッジがぼやけ「にじみ」やカスレが発生します。
逆に粘度が高すぎると、印刷機のヘッド詰まりや吐出不良、ムラの原因にもなります。
アナログ現場での典型的失敗例
多品種小ロットや短納期が当たり前の現場では、インクや生地切替に伴う管理が疎かになりがちです。
「少しぐらい薄めても大丈夫」
「なんとなく手触りだけで判断」
昭和から続く“勘と経験”頼みの現場が、今日も多くの問題を抱え続けているのが本音です。
防水インクとは?その特徴を知る
折り畳み傘で使用される「防水インク」は、一般的な水性インク・染料インクとは違い、耐水性を備えるため、特殊な樹脂や顔料、界面活性剤を配合しています。
このバランスによって、発色・耐候性・にじみ防止の三拍子を保つ必要があります。
防水インクの主な成分
・顔料(発色性・耐水性をアップ)
・樹脂(定着力確保)
・有機溶剤や添加剤(乾燥性と粘度調整)
バイヤーや生産管理者は、配合成分を把握し粘度コントロール方法のポイントまで理解するべきです。
粘度管理の現場的テクニック
なぜ「粘度計」だけでは不十分なのか
確かに実験室レベルでは「粘度計」による定量管理が標準です。
ですが、工場現場は温湿度やスピードが日常的に変動し、機械の違いや人手による微妙な影響が生じます。
そのため、現場作業者が「本当に最適か?」を五感で確かめるチェック法も必要です。
業界の進化と壁
自動粘度コントロール装置の導入例も徐々に増えてきました。
とはいえ、「予算が下りない」「大ロットだけ自動化」「人の手の重要性を疑問視する」等の理由で、中小規模や下請け工場では昔ながらの手法が多く残っています。
具体的な現場チェックポイント
1. 日々の気温・湿度に応じて規定値からの微調整を行う
2. 朝/昼/夜、シフトごとにインク粘度を測定し数値管理すると同時に目視・触感検査も加える
3. 生地ごとの前処理状態に合わせてインクの希釈率や添加剤配合を微調整
4. 印刷立ち上げ時の「テストパターン」を必ず印刷、不良発生率を逐次記録
こうした基本行動の徹底が標準化できているか否かで、品質の安定性が大きく左右されます。
バイヤーの視点・サプライヤーの視点
折り畳み傘ビジネスで最重要顧客は、小売やブランド本部などの「バイヤー」です。
バイヤー視点で重視するのは、
・見た目の鮮やかさ(色ムラ・にじみなし)
・耐久性(繰り返し使用しても色落ち・ひび割れが起きない)
・コスト
ここに“納品時点での品質保証”を担保するのがサプライヤーの使命です。
なぜ粘度管理がバイヤーの評価を左右するのか
・粘度が不適切だと「色の滲み」「柄ズレ」「ロット間の品質ばらつき」など致命的なクレームが発生
・厳しい現品検査基準を通せなくなり、不良返品やペナルティで取引停止の危険も
・万一、消費者苦情やSNS炎上が起こればサプライヤーブランド全体の信用失墜に
こうした顛末を避ける鍵が「粘度管理」であると理解する必要があります。
サプライヤーはバイヤーをどう見るべきか
現場目線では「コストダウン・短納期ばかり求められ厳しい!」と愚痴りたくなるものです。
しかし現代のバイヤーは「高い品質水準を安定的に確保できる現場力」を求めていることも事実。
サプライヤーとして信頼されるには、「粘度管理基準書」の整備、「粘度管理台帳」によるオンタイム記録、実地立ち合い対応まで一貫して行う姿勢が大切です。
アナログ業界でも今すぐできる!にじみ防止の粘度管理Tips
現場の「あるある」改善方法
・「適当に水やシンナーを混ぜた結果、毎回バラバラ」の防止には、「重量秤で測る」ことをオペレーション標準にする
・「ちょっと期間か開いて放置したインク」はしっかりかき混ぜて粘度復元チェックと微調整を怠らない
・「生産ラインが忙しくて慌てたときこそ、必ず粘度確認を挟む」
目の前の納期優先から長期品質優先へ、マインドを転換する姿勢が業界変革の第一歩となります。
徹底した記録と見える化
紙台帳・Excel・デジタルツールなど方法は問わず、「いつ、どんな原材料・どんな状態で印刷したか」を残すことで、トラブル発生時の原因追求が飛躍的に早くなります。
これこそ「現場力」アップの極意です。
まとめ:昭和から令和へ、プロの現場が目指すべき粘度管理
折り畳み傘の生地印刷における「にじみ」を防ぐためには、防水インク選びと粘度管理がカギです。
現場の五感・経験も大切に活かしつつ、数値管理・記録の徹底・チーム共有、新技術への柔軟な取り入れが業界の底力を支えます。
バイヤー志望者も、生産現場担当者も、サプライヤーの立場からも、「粘度管理」を起点に付加価値創造へ踏み出しましょう。
それこそが、日本製造業の“新しい地平線”を切り開く道です。
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