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OEM生産で求められる“トレーサビリティライン”の構築

目次
はじめに:OEM生産現場で求められる“トレーサビリティライン”とは
製造業界において、OEM生産は今や欠かせないビジネスモデルとなっています。
自社ブランドを持つメーカーが製品開発に注力する一方で、生産そのものは信頼できるパートナーへ委託することで、効率的かつ市場ニーズに即応した供給体制を築くことができます。
しかし、外部委託にはさまざまなリスクも伴います。
そのなかでも近年、特に重要視されているのが“トレーサビリティライン(追跡可能性の体制)”の確立です。
本記事では、OEM生産におけるトレーサビリティラインの基本から、実際の現場で求められるレベル、最新業界動向、導入における課題と解決策まで、現場目線でわかりやすく解説します。
バイヤー・購買担当者を目指す方、サプライヤーとして品質対応を強化したい方の参考になれば幸いです。
トレーサビリティとは?OEM生産で求められる理由
トレーサビリティの基本概念
トレーサビリティとは、製品や部品の「履歴」「所在」「今いる状態」を追跡・把握できる仕組みを指します。
たとえば「いつ、どこの工程で、どの材料・部品を使って、どの作業者が、どんな条件で製造したのか」といったデータが、後から迅速に分かる状態を意味します。
なぜOEM生産でトレーサビリティが重視されているのか
近年、消費財・自動車・精密機器など幅広い分野において“安心・安全”への要求は高まる一方です。
エンドユーザーからの品質不良やクレームが発生した場合、OEMを受託したサプライヤーはもちろん、委託したバイヤー側も「問題品はいつ・どこで発生したか、原因は何か」を究明し、迅速に対応する責任があります。
もしこれを怠れば、企業の信頼失墜や大規模なリコール、訴訟リスクにも繋がります。
そのため、“どのロットの製品が、どのラインで、どの作業条件で生産されたか”を記録・追跡できるトレーサビリティラインの構築が不可欠となっているのです。
昭和時代のアナログ管理と現代のギャップ
かつての工場現場:手書き伝票と紙帳票の時代
1970~90年代、製造現場でのロット管理や作業記録は手書き伝票が主流でした。
品質不良が発生した際も、保管された束の記録帳、付箋、記憶頼みで原因を追いかけるしかない時代でした。
一件一件の調査には膨大な時間と労力がかかり、誤記や記録漏れも珍しくありません。
昭和から抜け出せない“アナログ管理”がもたらす課題
デジタル化が進む現在も、中小規模のサプライヤーや歴史の長い工場では、紙伝票やExcel台帳を使ったロット管理が根強く残っています。
業務フローが変わらないままシステムだけ新しく導入され、現場に定着しきれないケースも多々あります。
このような“昭和マインド”の管理体制では、バイヤーから高度なトレーサビリティを求められた時、大きなハードルとなってしまいます。
現代OEM現場で求められるトレーサビリティレベル
取引先から求められる具体的要件
現代のOEM取引において、以下のようなトレーサビリティ要件を突きつけられることが一般的です。
– 原材料の仕入れロットの記録と、製品ロットへの紐づけ
– 加工・組立て各工程の作業記録と、担当者の特定
– 検査データ(寸法、電気特性、外観チェックなど)との連動
– 出荷先、出荷日時、ロット番号の管理
– 不具合発生時に「影響範囲製品」を迅速に特定・隔離できる体制
特に海外顧客や、自動車・航空・医療といったハイリスク製品では、「10年以上の記録保管」や「いつでも即時データ提出可能」といった要求も増えています。
「見える化」にとどまらない、“活用できる仕組み”の構築
単なるデータ収集や記録保存だけでなく、「いざ問題が起きた時、即座に“どの範囲”の製品をピンポイントで把握し、是正処置→エビデンス提出ができるか」が重視される傾向にあります。
最新トレンド:実践的なトレーサビリティラインの構築手法
IoT・バーコード&QRコード活用による現場改善
近年、IoTやバーコード/QRコードを活用したトレーサビリティシステムの導入が進んでいます。
現場で実践されているポイントを紹介します。
– 各部品・工程・作業指示書にバーコードやQRコードを付与し、工程ごとの投入・出庫時にスキャナーで読み取ってデータ蓄積
– 主要設備にセンサーやカメラを取り付け、稼働状況や検査情報を自動記録
– クラウド上でロット間の追跡経路や製品ごとの品質データを一元管理
システムが自動的に履歴を記録・可視化してくれるため、人手の記録ミスや手間の問題も解消できます。
MES(製造実行システム)によるライン全体の連携
一歩進んだ現場では、MES(Manufacturing Execution System)を導入し、材料投入から完成品出荷までの全記録を自動連携する体制も構築されています。
サプライヤー→バイヤー双方でデータを共有し、サプライチェーン全体の迅速な対応力を確保する動きが加速しています。
中小工場やアナログ現場でトレーサビリティラインを導入する現実解
“昭和メンタル”から脱却する現場改革
最新システムを導入すればすぐにトレーサビリティができる、というわけではありません。
現場改善で大切なのは、「自工程に合ったスモールスタート」です。
– まずは紙帳票とバーコードシールの併用から始める
– エクセル台帳にバーコードリーダを接続して半自動化
– 管理すべき情報を最小限に絞り、段階的に拡大
こうしたステップを踏むことで、現場スタッフも無理なく新しい体制に慣れていきます。
“見せかけ”で終わらせない運用体制の徹底
導入後は「1人1人が正しく記録→上司やリーダーが日々チェック→不具合時はすぐ過去記録の洗い出し」といったプロセスが守られるかが最重要です。
現場リーダーや管理職が“昭和の常識”を引きずらず、データを“会社の資産”とみなして活用する意識改革も不可欠です。
失敗例として、「導入だけして運用されていない」「帳票が形骸化していて意味がない」といったものも数多く散見されます。
OEMにおけるトレーサビリティラインがもたらすメリット
品質トラブル発生時の対応スピード向上
最も大きなメリットは、製品クレームや不具合発生時、「どの範囲が影響を受けるのか」を即座に特定できる点です。
状況証拠ではなく、データに基づいて「対象ロットのみ迅速にリコール」できるため、被害拡大を最小限に抑えられます。
顧客・バイヤーからの信頼獲得
厳しい要求に応えられるトレーサビリティラインがあること自体が、商談交渉での大きなアピールになります。
逆に仕組みが整っていなければ、大手OEM案件や新規顧客獲得の機会を逃してしまうことにもつながります。
工場内の見える化・工程改善の推進力に
トレーサビリティデータの活用により、ボトルネック工程や不良多発現場の把握、標準作業の見直しにも役立ちます。
製造工程全体の“改善活動”に直結する、大きな武器となるのです。
まとめ:OEM生産現場のプロが考える、これからのトレーサビリティライン
OEM生産現場におけるトレーサビリティラインの構築は、単なる品質クレーム対策や取引先への“仕方なし対応”ではありません。
バイヤーもサプライヤーも、製品の安心・安全や市場の信頼を守るために「自分ごと」として情報の追跡体制を構築することが不可欠です。
また、最新のシステム・デジタルツールを“丸投げ”するのではなく、現場に根付く文化や工場ごとの事情に合わせて地道に運用をブラッシュアップしていく姿勢も不可欠です。
昭和型のアナログ管理を一つずつアップデートし、小さな失敗と成功を積み重ねていくことで、自社の競争力と信頼性が高まります。
バイヤー、サプライヤー、現場の全員が「本当に活用できる」トレーサビリティラインの在り方を、次世代の製造現場としてともに創りあげていきましょう。
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