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OEMトレーナーのデザイン提案時に使える仕様書テンプレート構成

OEMトレーナーのデザイン提案時に使える仕様書テンプレート構成
はじめに:製造業の現場で求められる明確な仕様書とは
OEM生産において、トレーナー(スウェットシャツ)のデザイン提案時に必須となるのが、詳細な仕様書(スペックシート、テックパック)です。
これはサプライヤーとバイヤー、デザイナー、製造現場それぞれの意図をしっかり繋ぎ、品質担保、コスト管理、納期順守を実現するための“設計図”とも言える重要な書類です。
現場で20年以上OEM・ODMの業務に携わってきた経験から申し上げますと、昭和的な「阿吽の呼吸」、口頭伝承、電話一本での意思疎通では、グローバルな競争下にある現代では通用しません。
トラブルやロスを防ぐためにも、誰が見ても分かる形式で、かつ現場の「なぜ?」に対応できる真に使える仕様書が必要です。
本記事では、具体的にどんな項目を、どんな目線や意図で仕様書に落とし込むべきか、現場目線の解説とともにおすすめ構成例を紹介します。
OEMトレーナー仕様書の全体構成とは
OEMトレーナーの仕様書は、大きく分けて次の8つのパートで構成すると実務上便利です。
- 表紙・基本情報
- デザイン図(フロント、バック、ディテール、カラー展開)
- サイズスペック表
- 使用素材・副資材リスト
- 縫製仕様・ディテール指示
- 品質基準・検査項目
- 梱包・ラベル・下げ札指示
- 特記事項・注意事項
各パートの詳細項目について、業界のアナログ慣習を踏まえつつ、現代に求められる視点を添えて解説します。
1. 表紙・基本情報で伝えるべきこと
ここには「品番」「シーズン」「デザイナー名」「バイヤー名」「作成日」「版数(Ver)」などを記載します。
工場とのやり取りが紙ベースで行われることも多い現場ですので、一見前時代的ですが「バージョン管理」が生命線です。
どのバージョンの指示書で生産されたのかが明確になっていないと、サンプル段階までは良いものができても、量産時に思わぬ混乱を招きます。
また、「発行責任者」が明記されていることで、工程中の意思決定が早くなり、不明点照会もスムーズになります。
2. デザイン図の示し方と現場で役立つコツ
CADで作成した正面・背面・側面の図面に加え、リブ、フード、ポケット、刺繍・プリント詳細など要所ごとの拡大図を載せます。
「デザイナーのイメージ」を100%現場が再現することは極めて困難です。
このギャップを埋めるのが“補足コメント”。
例:「身頃と袖山の縫い合わせは、シームの幅を4mmに、ダブルステッチで。リブは5cm巾で厚みを持たせること」
アナログ現場では、「仕様書を読むのが苦手」「見る暇がない」という声も多いですが、図とセットの手書きコメントや、拡大写真の添付でイメージが伝わりやすくなります。
3. サイズスペック表:ターゲット層に合わせた調整を
L、M、Sサイズの「着丈」「身幅」「肩幅」「袖丈」などは最低限記載し、ターゲットの体形やマーケットによっては±許容差(トレランス)を明示します。
たとえば「身幅+/- 1.0cm」といった具合です。
この一行が現場を大いにホッとさせ、量産品質を一定に保つ鍵となります。
また、昭和的慣習では「サンプル現物でOK出す」ことが多いですが、必ず数値で落とし込み、双方が再現できる基準を作りましょう。
4. 使用素材・副資材リスト:ロット違いトラブル防止の工夫
表地、リブ、裏起毛、糸、ファスナー、ボタン、プリントインクの詳細まで、「型番」「メーカー」「色番」「混率」「品名」など完全に記載します。
ローカルな調達網を持つ工場とのやり取りでは、「どこの材料か分からない」「ロットが違うと色がまるで違う」「糸が想像と違う」が連発します。
そこを先回りして、できる限り試供品や見本帳の現物を現場に送る、あるいは写真と一緒に登録する。
SKU(最小管理単位)まで示してあげることで、ミスは激減します。
5. 縫製仕様・ディテール指示:文章だけでなく写真やイラスト併用を
“脇割り縫製”“袋縫い”“二本針”“ロックステッチ”など、国内工場では伝わる用語でも、海外や世代が若い職人には意味が通じないことがあります。
一つの型紙に「A」「B」など記号を振り、各部の縫製方法・縫い幅を明記。
さらに補強やアイロンの指示も忘れず添えましょう。
デジタル時代の現場では「動画」や「イラスト」「仕上がりサンプル(写真)」などビジュアル資料をリンク化して渡せば尚可です。
6. 品質基準・検査項目:事故防止とクレーム低減の肝
「洗濯堅牢度4級以上」「耐ピリング試験500回クリア」「目視検品チェックリスト」など量産時の品質検査基準を明記します。
ここを省くと、クレーム発生時に「なぜこの不良が混じったのか?」と責任の押し付け合いになりがちです。
特に市場ごとに、子供向け、スポーツブランド向けなど規格が異なる場合は、その旨も注記し工場と“品質のスリ合わせ”を徹底しましょう。
7. 梱包・ラベル・下げ札指示:納品後のトラブル防止に
「1着ごとPE袋個包装」「品番/サイズシールを右肩側に貼付」「下げ札は左脇下の縫いつけ」「カートン内12枚ずつ仕分け」のような細かな梱包仕様指示は、実は“現場負担を減らす魔法”です。
アナログ工場では「いつものやり方」で梱包されてしまい、パッキングミス、納品遅れにつながるケースも多発します。
顧客まで届く流れを逆算し、最後までイメージした指示書が一番役立つ仕様書です。
8. 特記事項・プロ現場のアドバイス
「タグは日本語表示」「アレルギー対応の副資材利用」「量産時の色ブレはサンプルと同等で許容」など、その他製造現場や品質保証部門から特に伝えておきたい注意事項を最終ページにまとめます。
また、昭和から続く日本の現場では「電話一本で済む話」を仕様書に残す文化が弱い傾向にあります。
しかし、グローバルや異業種とのコラボでは「すべてを記録化」することが、信頼確保と効率化に不可欠です。
OEM現場の失敗から学ぶ:仕様書作成の裏ワザ
管理職経験でよくあった失敗例として、「異なるバージョンが同時に現場に出回った」「副資材メーカーが不足で代用品が使われた」「検品基準が曖昧で不良が流出」などがあります。
これらは、仕様書作成段階で「現場が困るポイント」を想像して“Q&A”形式で備考欄を充実させることで、大幅に減らせます。
また、受発注の流れ全体を可視化した「業務フロー図」や「コミュニケーションマトリクス」を仕様書に添付し、「誰がいつ何を判断すべきか」まで落とし込むと、現場の混乱が激減します。
バイヤー・サプライヤー両者の立場から伝えたいこと
バイヤーやOEMプロジェクトリーダーの立場では、最終商品に責任を持つプレッシャーが大きいと思います。
だからこそ「仕様書=保険」と考えて、一段深い想定問答や、未来トラブルまで含めて記載する習慣をつけましょう。
サプライヤーサイドから見れば、仕様書がきちんと届き、事前確認がしやすいことで、「後工程はお客様」との意識が芽生えます。
小さな工夫ですが、「疑問点はいつまでに連絡」といったコミュニケーションルールも仕様書に明記し、現場のスピードと正確性を両立させましょう。
まとめ:時代に合った仕様書がOEMの未来を変える
OEMトレーナーの仕様書は、単に「作り方を指示する書類」ではなく、現場の知恵・ノウハウ・期待値を丸ごと織り込んだバトンです。
昭和から続く現場力・人の力も大事にしながら、デジタル時代に即した「記録化」「見える化」「アップデート」の型を導入することで、業界全体の品質向上・生産性向上に寄与しましょう。
本記事のOEMトレーナー仕様書テンプレート構成・記載例が、貴社のものづくり現場で即使える武器となり、理想の製品開発につながることを願っております。
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