- お役立ち記事
- OEMアウターのカラー検証における日光堅牢度と摩擦試験の重要性
OEMアウターのカラー検証における日光堅牢度と摩擦試験の重要性

目次
はじめに
製造業においてOEM(相手先ブランドによる生産)は、顧客ニーズに柔軟に応える重要なビジネスモデルとなっています。
特にアパレル分野、なかでもアウター製品では、機能性やデザインはもちろん、色(カラー)に対する高い品質要求が増しています。
その中で「日光堅牢度」と「摩擦試験」は、お客様が安心して製品を手にとるための品質保証において極めて重要な要素です。
本記事では、現場視点でその重要性と、導入現場で起きているアナログ的な習慣、そして業界動向を深堀しながら詳しく解説していきます。
OEMアウターにおいてなぜカラー品質が重要なのか
OEMアウターは、ブランド側から厳しい仕様・設計要件が課されます。
見た目がそのブランドの価値を左右するため、カラーの再現性や耐久度が製品寿命や評価に直結します。
特にアウターは屋外での着用が多く、紫外線や摩擦による色落ち・変質がクレーム原因となりやすいため、カラー品質の維持は絶対条件と言えるのです。
顧客満足度とリピート購入への影響
消費者からの「前回買った時の色が気に入っていたのに今年のモデルは色褪せやすい」などの声は、ブランドロイヤルティ低下につながります。
大手ブランドでは、こうした繰り返し購入を促すためにも、製品ごとの色品質の安定維持が絶対的な要件となっているのです。
日光堅牢度試験とは
日光堅牢度とは、染色された生地が太陽光、特に紫外線にどれだけ耐えるかを示す指標のことです。
素材が色褪せてしまったり、変色してしまったりすると、いくら機能性やデザインが優れていても消費者からの評価は落ちてしまいます。
試験方法と現場の運用課題
一般的には、JIS L0842やISO 105-B02など国際標準規格に沿った方法で分光評価を行います。
現場では、実際の屋外に数週間サンプルを曝露するアナログ的手法から、最新の人工光源を用いたスピーディーな評価(キセノンアークランプなど)まで方法は様々です。
昭和時代から続く工場では「自然光曝露」にこだわりすぎるあまり、評価が主観的になりやすい傾向が残っています。
一方で、最新設備を使って客観的なデータ主導の評価に切り替えることが、生産効率や品質向上の鍵となります。
色の再現性と調達現場のバイヤーの悩み
同じ「ネイビー」や「ブラック」でもサプライヤーによって発色、堅牢度にはバラつきが出る場合があります。
この点に対して、バイヤーが最も悩むのは「ブランド規定の色見本と、量産品カラーとの差異」「長期使用による色褪せ」などです。
色彩管理の工程で自動化・可視化がどこまで進んでいるか、サプライヤー選定の極めて大きなポイントになることは間違いありません。
摩擦試験(摩耗、摩擦堅牢度)の役割と重要性
アウターは移動、着脱、荷物の擦れなど、着用時に多くの摩擦ストレスを受けます。
摩擦堅牢度は、衣服同士あるいはカバンや椅子など、日常的な物理的作用によって色落ちや色移りが発生しないかを評価するための非常に重要な指標です。
摩擦試験の具体的方法
JIS L 0849やISO 105-X12といった試験基準に則り、乾・湿両方の状態で試験片を決まった圧力・回数で擦ります。
摩擦後の白布への色移りを目視(グレースケール判定)で評価しますが、この「目視判定」の属人性が業界の大きな課題のひとつです。
摩擦堅牢度を軽視する昭和的マインドセット
「目立たない所だから少しくらいなら…」と、現場の経験則だけで判断されてしまいがちな摩擦堅牢度ですが、消費者の使用環境は十人十色であり、海外着用やハードな利用でも高いパフォーマンスを発揮してこそ製品ブランド価値が守られます。
短期的な納期・コスト優先で摩擦試験やその改善を後回しにすることは、最終的なブランドの信頼低下に直結します。
先進現場とアナログ現場、それぞれの実情
自動化・デジタル化が進む海外
欧米や中国の大手サプライヤーは、色彩管理や堅牢度試験に高度な自動測色機、ロボット試験装置を導入しています。
デジタルカラーマッピングにより、履歴管理や不具合分析もスピーディーに行われます。
この流れは、調達側・バイヤーサイドにとってサプライヤー選定の基準レベルを一段上げる要因となっています。
日本国内の根強いアナログ文化とその強み・弱み
一方で、日本国内の中小規模の縫製・染色工場では、ベテランの手による「経験値」がいまだ多くの場面で重視されています。
長年の勘によるノウハウは一見大きな強みに見えますが、引き継ぎや標準化が遅れがちになり、属人化・品質バラツキの温床となりがちです。
逆に、現場従業員の“当事者意識”の高さはクイック対応力や細部の作り込みといった面で競争力に直結しています。
大手メーカーのバイヤーや品質管理担当は、これらアナログ現場特有の温度感・事情も理解したうえで、最適なサプライヤー戦略をとることが、リスクヘッジにつながります。
現場目線から見る「これからのサプライヤー像」
製造現場で今求められるのは、「伝統」と「革新」を両立させたサプライヤーです。
日光堅牢度・摩擦試験のプロセスを、現場ノウハウと自動化・デジタル化の「いいとこどり」で進化させていくことが必須です。
ラテラルシンキングで読み解く品質管理の新潮流
たとえば、「従来の実地曝露×定量的デジタル測色」「目視グレースケール判定×画像解析AI」など、双方の強みを組み合わせることでアナログ脱却と属人最小化を実現できます。
また、生地メーカー・染色業者との共創によって、堅牢度因子の見える化・トレーサビリティ向上も進化します。
これにより、バイヤーは「単なるコスト」や「納期」だけでなく、「品質担保体制」「変化管理力」に軸足を置いたサプライヤー評価・選定が可能となります。
バイヤー、サプライヤー、製造現場それぞれに必要なマインドセットとは
バイヤーには、「要求仕様の明確化・伝達」「試験方法や判定基準のすり合わせ」「サプライヤーの強みと弱みの見極め」というコミュニケーション力が強く求められます。
サプライヤー側は「品質不具合の再発防止(なぜなぜ分析)」「アナログからの脱却を恐れない小さな自動化改善」「情報発信と透明性の確保」に取り組むことが、受注増やリスク低減につながります。
現場エンジニアや管理者には、「変化するお客様ニーズ」と「現場力」のバランスを探り続ける柔軟性が必須です。
部分最適に陥らず、「良いものを長く安全に届ける」本質を皆で追求する文化こそ、昭和的現場から一歩抜け出すエンジンとなります。
まとめ:業界全体が進むべき道と、あなたへのメッセージ
OEMアウターのカラー検証における日光堅牢度と摩擦試験は、見落とされがちな「当たり前」こそがものづくりを支える真の競争優位となります。
激化するグローバル競争、消費者ニーズの細分化が進む中で、「品質は工程で作り込む」こと、そして情報の透明化と機械化でアナログとデジタルの融合を図ることが今こそ望まれています。
昭和からの伝統ある現場でも、変革を恐れず、バイヤー・サプライヤーが共創して、新しい製造業の地平線を開拓していきましょう。
読者の皆様が、現場での一歩一歩の改善を積み重ね、世界に誇れるものづくりをリードしていくことを心から願っています。
資料ダウンロード
QCD管理受発注クラウド「newji」は、受発注部門で必要なQCD管理全てを備えた、現場特化型兼クラウド型の今世紀最高の受発注管理システムとなります。
NEWJI DX
製造業に特化したデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指す請負開発型のコンサルティングサービスです。AI、iPaaS、および先端の技術を駆使して、製造プロセスの効率化、業務効率化、チームワーク強化、コスト削減、品質向上を実現します。このサービスは、製造業の課題を深く理解し、それに対する最適なデジタルソリューションを提供することで、企業が持続的な成長とイノベーションを達成できるようサポートします。
製造業ニュース解説
製造業、主に購買・調達部門にお勤めの方々に向けた情報を配信しております。
新任の方やベテランの方、管理職を対象とした幅広いコンテンツをご用意しております。
お問い合わせ
コストダウンが利益に直結する術だと理解していても、なかなか前に進めることができない状況。そんな時は、newjiのコストダウン自動化機能で大きく利益貢献しよう!
(β版非公開)