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海外生産と国内生産のどちらを選ぶべきか?パーカーOEMの最適解

目次
はじめに:グローバル時代に問われる生産拠点の最適化
日本の製造業は今、グローバル化の波に直面しています。
その中心にあるのが、「海外生産」と「国内生産」の選択です。
特にアパレル分野、なかでもパーカーのOEM(受託製造)において「どちらで生産するべきか」は、バイヤーもサプライヤーも頭を悩ませる最重要課題と言えるでしょう。
現場で20年以上もの間、調達や生産管理、品質保証に携わってきた経験から、現実的かつ実践的な視点で、それぞれのメリット・デメリット、時代の変化と今後の動向、最適解の探し方について、深く掘り下げていきます。
パーカーOEMにおける生産拠点の選択肢
国内生産の特徴とメリット
国内生産の最大の強みは、コミュニケーションとフレキシビリティにあります。
日本語でのやりとりは誤解が生まれにくく、サンプル試作から量産までのリードタイムが短縮できます。
もし仕様変更や急な追加発注が生じても、工場との距離が近いことで迅速に対応できる点は、現場目線で見れば“大きな安心材料”です。
また、日本の工場は品質管理や生産管理の精度が高いことでも知られています。
特に、繊細な仕様や独自のパターン、ブランドロゴの再現など、細やかなこだわりが求められる場合には、国内生産の強みが一層活きます。
原材料の調達や、製品の出荷も日本国内で完結するため、輸送コストや時間のリスクも抑えることができます。
近年では「メイド・イン・ジャパン」への信頼感も再評価されており、付加価値としてアピールできる点も見逃せません。
海外生産の特徴とメリット
一方、海外生産の最大の魅力は、やはりコスト競争力です。
中国、ベトナム、バングラデシュといった国々の人件費・原材料費は、日本と比べ大幅に低く、大量生産すればするほど1枚あたりのコストメリットが大きくなります。
また、原材料そのものが現地調達できるケースも多く、アパレル関連ならば「世界の縫製工場」と呼ばれる中国をはじめ、グローバルなサプライチェーンを活用することでさらにコストを下げることが可能です。
グローバル市場向けのOEMでは、現地のサプライヤーとダイレクトにやりとりすることで、新しいアイデアや技術に触れる機会も増えます。
世界的なトレンド対応のスピード感や、独自素材開発のネットワーク力も、海外生産ならではの魅力と言えるでしょう。
品質・納期・コスト…三大要素のトレードオフに潜む難しさ
現場では「品質」「納期」「コスト」を軸に最良のバランスを探るのが基本中の基本です。
しかしこれら3つはしばしばトレードオフの関係にあり、すべてを最優先にすることは現実的ではありません。
たとえば、厳しいコストダウンを実現したいのなら海外生産が魅力的ですが、その場合「サンプル通りに量産品もそろうのか」「急な修正や納期短縮に現地工場が対応できるのか」といった新たな課題が浮き彫りになります。
逆に、国内生産で高い品質と柔軟な対応を求めると、コストはどうしても上がりがちです。
特に「ロット不足」や「パターン数の多さ」が重なると、小ロット高頻度生産の体制維持が難題となります。
どちらを選ぶかは、最終的にはビジネスモデル・顧客の求める価値・サプライチェーン全体の最適化という視点が不可欠です。
昭和から続くアナログ産業の「現場感覚」を知る
なぜいまだに「FAX」や「手書き」が現場に残るのか
製造業、とくに中小規模のOEM業界では、デジタル化が進んでいるようで根っこの部分ではまだまだ昭和的な慣習が根強く残っています。
毎朝工場で鳴り響くFAX音。
「メールよりFAXが確実」と信じる現場リーダーの存在。
ハンコを押すことが「安心」の証拠。
一見効率が悪そうに見えますが、これらの“昔ながらの手法”は、実際には失敗やミスを極力減らすファイナルチェックとして現役です。
特に現物主義の現場では「紙に残る」「担当者の印鑑が押してある」ことが強い安心を生む文化が抜けきれません。
また、生産現場では「その場その場の臨機応変な判断」や「未検証の部分のケア」がいまだに重要であり、これが現場のものづくり精神の源泉でもあります。
アナログ文化とグローバル調達の“意外な親和性”
面白いのは、この“昭和的なアナログ文化”が、実は海外生産の現場対応でも重宝される場合が多い点です。
海外のサプライヤーとのやりとりで一番大事なのは、「仕様と変更点の確実な伝達」です。
現地の工場では、図面や仕様書に手書きで赤字修正を入れることはむしろ一般的です。
「サンプル品に直接指示を書き込む」「現場の風景写真を即座に共有する」「紙の発注書に現地担当者のサインを必須とする」など、昭和的ノウハウが異文化コミュニケーションの潤滑油になることがあります。
現場目線で見る、これからのパーカーOEMの最適解
国内&海外の二段構え“ハイブリッド生産体制”のすすめ
人口減少と高齢化が進む日本では、今後ますます国内工場の継続・維持が難しくなるのは確実です。
一方でパーカーに象徴されるような「ファッション性」と「機能性」を求めるアパレル市場では、低コスト大量生産と「今だけ・ここだけ」対応のワガママ受注が共存しています。
そこで現場目線でおすすめしたいのが、国内生産と海外生産を組み合わせ構築する「ハイブリッド生産体制」です。
具体的には、
– サンプル試作や細かい仕様・パターン修正、緊急対応は国内工場で運用
– 大ロット量産や価格勝負品は海外サプライヤーで量産
このような二段構えを敷いた上で、調達バイヤー・サプライヤー・現場担当者が密な連携体制を築くことが鍵となります。
「ロングテール」に応える“少量多品種”対応と安定供給
最近では「多様化する消費者ニーズ」に応じて、パーカーでもカラーや柄・プリント・サイズ展開を増やすことが求められています。
従来のような大量一括生産から、一つひとつの細かなオーダーに柔軟対応する「少量多品種」「カスタマイズ対応」こそ競争力の源泉と言えます。
この実現には、国内外を問わず現場主導で「段取り勝負・臨機応変体制」を磨くこと、IT・DX(デジタルトランスフォーメーション)への投資、「現場の職人技」伝承が不可欠です。
国内の信頼できるパートナーと、海外のコスト競争力を両輪で回すことが、サプライチェーン強靭化にもつながります。
製造バイヤー・サプライヤーが今後求められる視点
これからのバイヤーやサプライヤーには、単に「安い・早い」という視点だけでなく、
– 顧客目線の“使い勝手”“想い”
– ESGを見据えたサステナブルな製造プロセス
– 緊急時や災害時を想定したリスク対策力
– 現場改善に主体的に取り組む「攻めの姿勢」
このような新しいマインドセット、そして柔軟かつスピード感のある意思決定力が強く求められてきます。
現場・工場・経営・調達が「わかったつもり」から一歩踏み込んで、リアルな情報・現場の声を聞き、今までの常識にとらわれないラテラルな発想でサプライチェーンを再デザインしていく姿勢が大切です。
まとめ:最適解は“どちらか一方”とは限らない
海外生産と国内生産、それぞれに一長一短があります。
パーカーOEMにおける最適解は、【製品の特性・ロット・品質要求・顧客ニーズ】をしっかり見極め、国内外の工場・サプライヤーを適材適所で組み合わせて運用することです。
昭和的な現場ノウハウと最新DX、一見逆の流れがむしろ今の日本の製造業には必要です。
現場目線で現実的な価値観を持ち、バイヤーもサプライヤーも立場を越えて「協働」できる体制づくりこそが、グローバル時代のアパレル製造業=パーカーOEMに求められる真の競争力となるはずです。
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