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クレーム発生時に真っ先に責任を問われる品質保証の宿命

目次
はじめに〜なぜ品質保証は「責任」を問われるのか
製造業で働く全ての方々、そしてバイヤーを志す方、あるいはサプライヤーとしてバイヤーの考え方を知りたい方にとって、「クレーム対応」は他人事ではありません。
現場では、どんなに努力していても不良品や品質トラブルは完全には防げません。
製品が世の中に出た後に発覚する不具合もありますし、社内工程やサプライヤーから持ち込まれる部品に起因するものもあります。
こうした時、真っ先に責任を問われるのが「品質保証部門」であることは、昭和から令和に変わっても、依然、変わらぬ製造業の現実です。
なぜ品質保証がここまで責任を負わなければならないのか。
その宿命的な構造と、時代の変化に対して求められる新たな品質保証のあり方を、現場経験をもとに深く掘り下げます。
品質保証部門の役割と、その重み
そもそも品質保証とは何か
品質保証(Quality Assurance:QA)は、「製品・サービスが規定通りの品質であることを保証する」ことを最終目的とした部門です。
検査や測定、監査を通じて、製品が顧客要求や法規制に適合しているかをチェックし、もし問題があれば是正処置・予防処置を講じます。
法的・社会的責任だけでなく、取引先・消費者からの信用を守る「最後の砦」として重要な役割を担っています。
設計でも製造でもない「第三者性」
品質保証は、設計や生産といった「モノを作る部門」とは一線を画す、「第三者的な立場」が求められます。
この“距離感”こそが責任の重さにつながります。
例えば工場では、生産や技術、営業が自部門の目線で問題点・課題を捉えがちですが、品質保証は常に「顧客目線」そして「市場や社会の目線」で判断を下さなければなりません。
ここに、全工程を通じた『最終審判』とも言えるプレッシャーが生まれます。
品質保証部門だけが背負う“宿命”とは
どんなに設計や生産管理、物流が万全でも、市場でトラブルが起きれば「品質保証は何をしていたんだ!」と真っ先に叱責を受けます。
例え担当工程が担当外のサプライヤーや下請け企業であっても、「最終顧客に製品を届ける責任」を負っている以上、品質保証の責任は絶対的です。
不良品流出=品質保証の監督不行き届き、とみなされる業界構造が、今もなお色濃く残っています。
クレーム対応のリアル〜現場で何が起きているか
製造業のアナログ的慣習とクレームフロー
「高度成長期」や「ジャストインタイム」台頭以前、昭和の製造業現場では、不具合が起きると“現場叱責”と“属人的な対処”が常でした。
今でも、手書きのクレーム票やFAX、電話ベースで緊急対応する工場が少なくありません。
また、バイヤーや顧客から直接電話で「責任者を出せ!」とねじ込まれることもしばしばです。
サプライヤーに不具合があった場合も、一時的に納品停止や契約見直しなどの強い圧力がかかります。
サプライヤー側も「一緒に謝罪に来てほしい」と懇願するなど、責任の押し付け・分散が日常的に行われているのが実態です。
なぜ品質保証だけが矢面に立つのか
①社内的には「縦割り」で、緊急時の責任分担が曖昧
②対取引先には「品質部門=最終責任者」とする商慣習が強い
③ISOなどの規格上も「品質保証部門の監査・是正責任」が明文化されている
結果として、「最終的な説明責任」は品質保証部門以外には回ってきません。
組立・加工・出荷…どの工程で問題が生じても
「なぜ検査で止められなかった」
「なぜサプライヤー選定で見抜けなかった」
「なぜ設計上のリスクを警告しなかった」
など、全方位から説明を求められます。
実際のクレーム現場のフロー(例)
1. 顧客から営業・品質保証に連絡が入り、緊急会議招集
2. 品質保証担当がクレーム内容を精査し、初期対応の手配指示
3. 社内調査・現場確認(関連部門ヒアリング・現物確認・サプライヤー調査)
4. 是正処置案・再発防止策の立案と顧客への報告
5. 顧客やバイヤーと打合せ(時に現場訪問や謝罪対応)
6. 社内外での対応策展開、工程改善・仕組み見直し
この一連の流れ全てを、品質保証が「とりまとめ役」「説明役」として担います。
社内説得、社外調整、資料作成、場合によっては深夜や休日も対応しなければならないなど、激務・重責を身をもって感じている方も多いでしょう。
バイヤーやサプライヤーから見る品質保証の立ち位置
バイヤーが品質保証に期待すること
バイヤーは、安定した納入・コスト・納期と同等以上に「品質保証対応力」を重視します。
なぜなら、バイヤー自身も社内やその先の顧客・消費者から説明責任を問われるからです。
バイヤーにとって、
・どこまで責任分界があるのか
・異常が発生した場合にスピーディーかつ論理的な説明・解決策が示せるか
・再発防止、水平展開、必要に応じた現地立会いや品質改善の伴走ができるか
といったポイントを非常にシビアに見ています。
表面的な「お詫び」だけでなく、事実関係と再発可能性、未然防止の論理がしっかり通っているかを重視されます。
サプライヤーの品質管理との違い
サプライヤー側の品質管理部門は、「良いものを送り出す」ことに注力しますが、納品後(市場)のクレーム対応となると、リスクも責任範囲も一気に拡がります。
メーカーの品質保証としては、
「サプライヤー品質=自社品質」という意識で二重三重の監査や指導が求められます。
また、部品だけでなく、「工程全体の構造的リスク」まで見抜く力が必要となります。
サプライヤーにとっては、「自社のどこまでが責任範囲か?」と疑問に思うことも多いでしょうが、バイヤー(つまりメーカー)は、最終製品の品質保証責任を絶対に放棄できません。
したがって、サプライヤー品質管理部門も、“市場視点”での力量強化が必須となっています。
デジタル化・自動化による変化と昭和的慣習の狭間で
品質保証もDX(デジタルトランスフォーメーション)が不可避
AI・IoT・自動検査装置の普及により、「アナログな目視検査や紙ベースの帳票管理」から「リアルタイムのデータ分析とトレーサビリティー管理」への転換が急速に進んでいます。
品質保証部門でも、クレーム発生時の事実究明、原因箇所の特定、再発防止策立案といった一連のプロセスすべてで、
・検査データのデジタル記録化
・画像AIによる不具合解析
・サプライチェーン全体のトレーサビリティー
が標準装備となりつつあります。
データ主導のエビデンス(証拠)が迅速かつ正確に示せることで、過剰な責任論・犯人捜しの無駄なエネルギーが減り、
「建設的な改善」にリソースを振り向けることができる時代になりつつあります。
アナログ業界で根強く残る“責任論文化”
しかし現実には、
・「まず謝れ」「最終責任は品質にある」という企業文化
・上司・役員が現場に乗り込んで“生け贄的”に責任者を叱責する昭和的慣習
・一度クレームが起きると、その後数年間「会社の信用」が事あるごとに槍玉に挙がる
など、「デジタル」よりも「情緒的責任論」が重視される風土も根強く残っています。
そのため、若手の品質保証担当者にプレッシャーが集中し、離職やメンタル疲弊を招くリスクも高いのが実態です。
これからの品質保証に求められる新しい責任意識
昭和的な「責任の押し付け」「生け贄文化」から脱却し、データに基づく説明責任、チーム全体での品質保証へと進化することが、これからの製造業の発展に不可欠です。
品質保証部門自体も、
・単なる問題解決・火消し役から「構造的な品質文化を作るリーダー」
・社内外を巻き込んだ品質教育、ノウハウ継承
・現場×デジタルをつなぐハブ
としての役割が強く求められています。
「クレーム発生時の責任を問われる」のは宿命であると同時に、「根本から製造業を変える起点」でもあるという大きな可能性も併せ持っているのです。
まとめ〜“責任”の本質を、現場は再発見する時代へ
品質保証がクレーム発生時に真っ先に責任を問われるのは、
その立場が「最終審判」だからです。
しかし、「責任を取る」とは、必ずしも“謝る”ことでも、“自分だけを責める”ことでもありません。
合理的な根拠と再発防止・価値創出の視点で、品質保証が全体最適の旗振り役となる時代が、今後必ず訪れます。
製造業の皆さん、バイヤーを志す方々、サプライヤーの皆さんが今こそ「品質保証」の本当の価値を再発見し、
“説明責任”から“信頼創出”への進化を一緒に歩んでいきましょう。
現場目線から生まれる知恵と、デジタル・グローバル時代の新しい品質保証が、必ず製造業をより強く、柔軟なものに変えていきます。
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