- お役立ち記事
- 設備メーカーの保守対応が間に合わないことで起きる泥縄対応
設備メーカーの保守対応が間に合わないことで起きる泥縄対応

目次
はじめに
製造業の現場では、ラインの停止や設備の故障が経営に及ぼすインパクトが非常に大きいです。
工場の安定稼働を守るため、日常的な保守や突発的なトラブルへの対応が不可欠となります。
しかし、近年では設備メーカーの保守体制が追いつかず、結果的に「泥縄」的な対応に追われる現場が少なくありません。
泥縄対応とは、事前の備えがなく、問題が発生してから慌てて対処する様を指します。
この記事では、設備メーカーの保守対応遅延が現場にもたらす混乱と深刻な課題、そして現場目線でできる対策について掘り下げていきます。
設備メーカーの保守対応遅延が発生する背景
人手不足と技術者の高齢化
設備メーカーにおいても日本全体の製造業と同様に、熟練のサービスエンジニアが減少しています。
新規の設備導入が相次ぐ一方で、現場を支える技術者は高齢化し、退職者も増加しています。
若手の人材不足も指摘されており、少人数の技術者で広範な顧客サポートをカバーする過酷な現場も珍しくありません。
こうした状況が保守対応の遅れを招いています。
複雑化する設備・多様化する顧客ニーズ
昭和・平成初期と異なり、近年の設備は制御系も含めて非常に多機能・高性能になっています。
IoT対応や自動化設備など、保守に求められる知識や技術も多層化しており、即応体制の構築がかつてより難しくなっています。
「一人の技術者がどんな設備でも修理できる」という状況は過去のものです。
そのため、コールを受けても適任者が不足し、結果として現場での稼働停止が長引く傾向があります。
コストダウンがもたらす副作用
多くの設備メーカーが企業統合や効率化の波を受け、安易な人員削減やコストカットを進めました。
現場を支えていたベテランフィールドエンジニアの数が激減し、保守サービス部門のリソースはギリギリです。
サポートにかかるコストを嫌い、保守契約を結ばないユーザーも増えているため、結果として設備のダウンタイムが増加し、それを現場が「泥縄」でフォローするという悪循環に陥っています。
現場に起きる「泥縄対応」の実態
想定外のトラブル発生と工程遅延
設備が突然停止し、復旧の見込みが立たない中、現場担当者が場当たり的な応急措置をする。
そんな状況は実際何度も経験してきました。
生産計画を立て直し、納期遅延のリスクを顧客と調整し、場合によってはラインの一部を二重運用せざるを得ないケースもあります。
このような泥縄対応は、現場のストレスを急激に高めるとともに、結局さらにコストを押し上げてしまいます。
サプライヤーやバイヤーとの取引関係への影響
安定生産を前提としたサプライチェーンは、突発的な設備トラブルに極めて弱いです。
納入遅延や品質低下が発生すれば、バイヤー側からの信用低下、場合によっては契約見直しといった影響もあります。
泥縄的な現場対応で納品を間に合わせても、信頼関係に大きなヒビが入り、長期的なビジネスにも悪影響をもたらします。
属人化とスキル低下という負のサイクル
現場のベテラン担当者が“自力で直す”野戦的な対応が常態化すると、後継者に技術伝承できない問題も深刻です。
現場内でノウハウがブラックボックス化し、設備メーカーのサポートが入って初めて状況が把握できる、といったケースも増えています。
昭和的な現場力だけでは通用しなくなっている現実が、いよいよ顕著になってきていると言えます。
業界全体に根付くアナログな課題
紙文化の弊害と情報共有の遅れ
設備管理台帳や点検履歴が未だ紙ベースで管理されている工場も多いです。
このアナログ文化により、担当が休みや退職した場合に情報が途絶え、メーカーからの問合せにも正確に対応できないことがあります。
業界全体でDX(デジタルトランスフォーメーション)の遅れが残存している部分が、泥縄対応の温床となっています。
保守契約の認識ギャップ
昔ながらの「壊れたらメーカーを呼べばいい」「点検・保守にはお金をかけたくない」といった風潮が根強く残っています。
メーカー側とユーザー側で保守サービス契約の価値認識がずれており、結果的に緊急事態のときしか関係が生じない──これが重大なリスクをはらんでいます。
戦略的なパートナーシップではなく、単なる「呼び出し」になってしまっている現状も変革が求められる点です。
現場目線で考える抜本的対策
DX推進による予防保全・予知保全の徹底
最低限の保守点検計画をExcelや紙で台帳管理しているだけでは、トラブルの予兆を見逃します。
IoTセンサーを既存設備に後付けすることで、稼働データや異常振動を24時間自動で収集し、異常兆候を早期発見する仕組みが強く求められます。
小さな工場でも取り入れやすい安価なクラウドサービスも登場しており、サプライヤー・バイヤー双方で予防保全に本腰を入れることで、大幅な泥縄対応の抑制が可能になります。
設備メーカーとのパートナーシップ強化
一方向的な「修理依頼」ではなく、メーカーと現場が情報交換し合うパートナー関係が重要です。
トラブルの履歴や稼働データを共有し、メーカー技術者が予防的な助言をできる体制を整えましょう。
インターネットを活用したリモートメンテナンスやオンライン点検によって、「保守サービス契約の本当の付加価値」を現場自体が享受できる時代になっています。
製造業現場の保守リテラシー向上
現場担当者が設備の根本原理や基本的なメンテナンス手順を理解しておくことは、どんなにDXが進んでも重要です。
トラブル時の初動措置や、メーカーへ伝えるべき情報(異音、異常ランプ、履歴データなど)を的確に共有できれば、復旧時間も大幅に短縮します。
現場担当者向けの設備講習や、メーカーを招いたワークショップの活用を社内制度として根付かせることをおすすめします。
バイヤー・サプライヤーから見る保守対応遅延の影響
バイヤーは常に「安定調達」と「品質保証」の二軸でサプライヤーを評価しています。
保守対応の遅れから生じる納期・品質リスクを事前に説明し、トラブル時の情報開示や代替策の準備を徹底することで、信頼関係の維持・強化につながります。
サプライヤー側は「実は現場でこんな泥縄になっている」現実を隠さず開示し、設備投資や保守契約の必要性を協議することで、バイヤーとともに安定生産体制を築けるでしょう。
最後に:昭和からの脱却と製造業の未来のために
設備のトラブルはいつ起きても不思議ではありません。
そのとき、泥縄対応に追われるか、前もって仕込んだ体制で迅速に対応できるかで、現場の価値は大きく変わります。
昭和的な精神論や現場力だけでは限界がある今、デジタル技術と現場力の融合による「新しい地平線」を開拓しましょう。
泥縄ではない、「先端と現場知恵のハイブリッドな製造現場」こそ、サプライヤー・バイヤーすべての未来を明るくするスタート地点となります。
ノウハウ集ダウンロード
製造業の課題解決に役立つ、充実した資料集を今すぐダウンロード!
実用的なガイドや、製造業に特化した最新のノウハウを豊富にご用意しています。
あなたのビジネスを次のステージへ引き上げるための情報がここにあります。
NEWJI DX
製造業に特化したデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指す請負開発型のコンサルティングサービスです。AI、iPaaS、および先端の技術を駆使して、製造プロセスの効率化、業務効率化、チームワーク強化、コスト削減、品質向上を実現します。このサービスは、製造業の課題を深く理解し、それに対する最適なデジタルソリューションを提供することで、企業が持続的な成長とイノベーションを達成できるようサポートします。
製造業ニュース解説
製造業、主に購買・調達部門にお勤めの方々に向けた情報を配信しております。
新任の方やベテランの方、管理職を対象とした幅広いコンテンツをご用意しております。
お問い合わせ
コストダウンが重要だと分かっていても、
「何から手を付けるべきか分からない」「現場で止まってしまう」
そんな声を多く伺います。
貴社の調達・受発注・原価構造を整理し、
どこに改善余地があるのか、どこから着手すべきかを
一緒に整理するご相談を承っています。
まずは現状のお悩みをお聞かせください。