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コーターマシンで使う金属ロール部材の表面傷トラブル

目次
はじめに:現場で頻発するコーターマシン用金属ロールの表面傷トラブル
コーターマシンは、フィルムや紙、織物などに液体や粘着剤を均一に塗布するための重要な設備です。
その中で欠かせない存在が金属ロールです。
特に高精度なコーティングを要求される現場では、金属ロールの表面状態が製品品質に直結します。
しかし、いまだに昭和のアナログ文化が根強い製造業の現場では、金属ロール部材の「表面傷」トラブルが後を絶ちません。
この問題は単なる見た目の問題ではなく、製造現場の生産効率と良品率、さらには会社の競争力にも影響します。
本記事は、現場目線で金属ロール表面傷トラブルの実態と、その根本的な原因、さらに解決策までを深掘りします。
購買担当バイヤーや現場スタッフ、サプライヤーなど、製造業に関わるすべての方に役立つ実践的なノウハウと視点を提供します。
コーターマシン用金属ロール部材とは
金属ロールの役割と要件
コーターマシンで使用する金属ロールは、ガイドロールやアプリケーターロール、ドクターロール、バックアップロールなど多岐にわたります。
これらのロールは、塗工ムラの抑制、フィルム走行の安定化、膜厚のコントロールなど、コーティング工程の核心に関わっています。
表面が平滑で鏡面仕上げされていること、表面処理(クロムメッキやタングステンコーティング、本硬質材)による耐摩耗性、そして精密な真円度など、高い品質基準が求められます。
金属ロールの表面傷トラブルの意味
表面傷は、微細な擦り傷から深いメッキ剥がれまでさまざまです。
これが原因で製品表面にスジや異物混入、ライン欠陥が発生することが多く、最悪の場合はロールの再研磨や交換が必要となり、コストと納期に大きく影響します。
表面傷トラブル発生の実情 ― 現場の「あるある」
なぜ「表面傷」は繰り返されるのか
現場では、金属ロールの表面傷について「購買先で品質トラブルが多い」「ロール搬送時に傷が付いた」「ロール保管中に気づいたら傷がついていた」といった声をよく聞きます。
昭和のアナログ文化が残る現場では、次のようなケースが典型的です。
– 包装や搬送のプロセスが属人的で標準化されていない
– 保管場所での扱いが雑になる
– 受入検査が目視など人的頼みで、見逃しや検査漏れがある
– サプライヤー間での「原因なすりつけ合い」が発生しやすい
また、新人育成や作業マニュアルの更新が進まないことで、小さな傷が大きなトラブルにつながる土壌が温存されてしまっているのも事実です。
「見える化」が進まない業界体質
金属ロールに限らず、製造業の現場では「問題が見える化しない」まま、場当たり的な対策だけで済ませてしまいがちです。
これでは根本原因が解決されず、現場スタッフの「分かっちゃいるけど変えられない」というあきらめムードが広がります。
この負の連鎖が、金属ロール表面傷トラブルの温床です。
金属ロール表面傷の主な原因を洗い出す
加工・製造段階の問題
– 未熟練作業員による仕上げ研磨不良
– 研磨コンパウンドの異物混入
– 表面処理/メッキ時の処理ムラや欠陥
– 測定工具や治具自体の表面傷混入
搬送・物流プロセスでの問題
– ロール同士が直接接触しての搬送
– 梱包材が不適切で外部衝撃吸収が不十分
– 天地無用、取扱注意の表示無視
– 輸送中の脱落や落下
保管・現場内管理の問題
– ロール置き場の未整備
– 油脂や埃、切粉などの異物付着
– 入荷後の点検・清掃が未徹底
– 取り扱い時の「つい手を抜く心理」
ヒューマンエラー
結局は「人」にまつわる要因が多いのもアナログ現場の特徴です。
「ちょっとだけだから大丈夫」「これくらいなら許容範囲」という曖昧さが品質低下のトリガーとなります。
現場でできる、表面傷トラブル撲滅の実践策
購買担当・バイヤー目線でのポイント
1. サプライヤー選定時に「表面傷チェックフロー」の標準化レベル・実績を必須確認事項にする
2. 搬送・梱包仕様に関して現場オペレーションと紐づくレベルの詳細設計書を策定・共有する
3. 「表面傷NG基準」の共有を画像サンプルも交えて明文化、一貫した合意形成をサプライヤーと築く
4. 入荷時点の受入検査を誰がやっても「分かる」よう手順化、記録を残す
サプライヤー・加工メーカーが実践すべき対策
– 金属ロール表面処理工程のバラツキ管理とトレサビリティ強化
– 最終梱包直前にローラー式画像検査などの非接触異物検査の導入
– 梱包資材(発泡緩衝材・特殊クロス・乾燥剤)見直しと仕様固定
– 輸送ドライバーへの品質意識啓発・事故事例共有
製造現場でリーダー層が取り組むべきこと
– 工場内のロール仮置き場のゾーニング最適化
– 日常清掃・点検サイクルの標準化
– 異常時の「すぐ報告」文化醸成のためのミニミーティング
ラテラルシンキングで現場改革を!
表面傷発生源を「ロール自体」「プロセス」「ヒト」「外部環境」と分解した風上風下分析を行い、本質的な改善策へとつなげるのが大切です。
「工夫は現場から生まれる」を合言葉に、小さな変化と気づきを積み重ねていきましょう。
昭和マインドからの脱却 ― DX活用のすすめ
表面検査の自動化・データ化
画像認識AIや表面欠陥検査装置導入により、従来ベテラン作業員でしか見抜けなかった微細傷も数値化・定量評価できる時代です。
検査画像をクラウドにアップロードし、サプライヤーとリアルタイムで合否判定する仕組みも導入しやすくなっています。
「品質情報の共有」が社内外の信頼を生む
品質データをサプライヤーとオープンに共有することで、「原因不明」「言った言わない」の水掛け論から脱却できます。
また、購買バイヤー自身も現場を知り、サプライヤー現場を積極的に見学することで、紙上の契約にない「現実」を肌で感じることが重要です。
まとめ:金属ロール表面傷トラブルをゼロへ
コーターマシンで使う金属ロールの表面傷トラブルは、製造業の生産性と品質の根幹を揺るがします。
その本質は、ヒト・モノ・プロセス、そして時代遅れの組織文化の複合要因にあります。
今こそ、現場と購買・設計・サプライヤーが一体となり、標準化だけに頼らないラテラルシンキングとDXの導入を通じて、「傷がつかない」「起きても見逃さない」「責任を分かち合う」現場力を高めていきましょう。
製造業の明日を変えるのは、現場一人ひとりの気づきと、古い常識を疑う力です。
この記事が皆さんの現場の一歩につながることを祈っています。
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