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プレスと比較して初めて分かるロールフォーミングの本当の強み

目次
はじめに:ロールフォーミングとプレス加工の現場の真実
製造現場で最もよく使われる成形技術といえば、従来はプレス加工が圧倒的な存在感を放っていました。
ところが、私たち現場の人間が日々の試行錯誤のなかで新しい技術と触れると、その「当たり前」が大きく揺らぐこともあります。
特にロールフォーミングという工法は、プレス一辺倒だった現場を根本的に変える強みを持っています。
今回は、昭和から続くアナログな現場の視点と最新の業界動向、そしてバイヤー・サプライヤー双方の立場から見えてきた「プレスと比較して初めて分かるロールフォーミングの本当の強み」を深掘りしていきます。
ロールフォーミングとプレス加工の基礎知識
プレス加工の基本概要
プレス加工は、金属素材をダイ(型)とパンチ(押し部品)で一気に成形する手法です。
大量生産に適しており、型を一度作れば同じ形状を高速で何千、何万個と量産できます。
特に自動車・電機・建築金物など幅広い分野で使用されています。
ロールフォーミングとは何か
ロールフォーミングは、帯板状の金属素材を複数段のロール(ローラー)で連続的に成形する手法です。
素材がロールの間を通過するごとに徐々に形が変わっていき、最終形に到達します。
プレスのように“バチン”と一発で成形するのではなく、素材へ徐々にテンションを加え続けることで複雑な断面形状も可能にしています。
現場経験者だからこそ分かるロールフォーミングの実践的な強み
製造現場での柔軟な対応力
プレスと比較してロールフォーミングが現場で評価される最大のポイントは、柔軟な対応力にあります。
例えば、同じ最終断面寸法でも、材料厚みの違いや硬度の違い、形状公差の要求に柔軟に対応しやすいです。
プレス加工だと型を作り直す必要があり、立ち上げ費用やリードタイムも莫大です。
一方、ロールフォーミングはロールの調整や追加だけで工程変更が可能な場合が多く、新規立ち上げや改造にも比較的短期間・低コストで対応できます。
長尺・大ロットの生産性で真価を発揮
鉄道、建材、物流機器など長尺(3メートル以上)の部品が必要な分野ほどロールフォーミングの優位性が際立ちます。
プレス加工では長い製品にするほど金型費用や成形後の「つなぎ作業」の手間が増えますが、ロールフォーミングは連続生産なので原則として長さ制限がありません。
そのため1本モノの部品を高精度かつ継ぎ目なしで作ることができ、製品強度・品質・コスト面で大きな強みとなります。
複雑断面・軽量化要求への順応性
最近の省エネや軽量化の流れのなかで、「複雑な断面形状」や「薄板・高強度鋼材」の利用が急速に増えています。
ロールフォーミングは材料にかかる応力を分散しやすいため、肉薄かつ複雑で高精度な断面加工も可能です。
プレスでは割れや曲げ戻りが発生しやすい難加工部品も、ロールフォーミングなら安定して量産できる事例が多くあります。
バイヤー視点で読み解くロールフォーミングの経済合理性
初期投資とランニングコストの考察
調達部門のバイヤーにとって一番気になるのは「初期投資」と「トータルコスト」でしょう。
一般的にロールフォーミングは金型(ロール)費用がプレスより高くつくこともありますが、一度ロールが調整できてしまえば製造コストは劇的に下がります。
またロールは「再利用」「部分変更」しやすいため、製品ライフサイクルや設計変更リスクにも対応しやすいです。
ランニングでみれば断然ロールフォーミングが有利になるケースが多いのが現実です。
リードタイム短縮の観点
現代製造業では「いかに内示から納品までのリードタイムを短縮するか」が勝負を分けます。
ロールフォーミングは連続生産ですので、万単位のロットでも短納期で一気に量産できるので納期遅れが生じにくい。
特に突発の特急案件、大幅生産量増、設計変更対応など「イレギュラー案件」でこそ、調達担当者はロールフォーミング技術の真価を再認識する場面が多いと実感しています。
サプライヤーから見たバイヤーが知るべき現場視点
現場作業者・工場管理者の本音
サプライヤーの立場では「本当にロールフォーミングで実現したい特徴は何か?」という明確な指示がほしいと感じることが多いです。
なぜなら、ただ単に価格を下げることだけを要求されると設備投資や加工条件の見極めが難航するからです。
たとえば「品質の安定性を最優先したい」「複雑形状にしたい」「長尺で精度保証したい」といった要求を現場目線で共有いただけると、お互いにwin-winの関係を築きやすくなります。
設計・調達・現場が一体となるPDCAサイクルの重要性
実際、ロールフォーミングの強みを最大限活かすには、設計段階から「量産手当て」「品質目標」「調達条件」をすり合わせておくことが極めて重要です。
工場で問題が発生したら迅速に情報をバイヤーと共有し、設計そもそもの見直しや改善案提案まで踏み込めると、全てがプラスに働きます。
この取り組みは現代の「デジタル化×昭和スピリット」が生きる現場力そのものであり、どんなに自動化が進んでも現場発の知見が競争力の源泉となります。
アナログ業界だからこその“化学変化”——ロールフォーミングの新地平
昭和的現場の変化と新たな価値創造
実は日本の製造現場は、未だ「紙伝票」「手作業」などのアナログ文化が根強く残っています。
ですが、そんな保守的な現場でロールフォーミングの導入が進むと「段取り替えの柔軟性」で大きな時短効果が生まれます。
ロール成形ラインをIoT化する事例も増えてきており、ロールセットのダウンタイム短縮や不良解析の迅速化が可能になりました。
現場のベテランと若手技術者が知恵を出し合うことで、以前なら考えられなかった「複雑形状+高品質+低コスト」の“化学変化”が起こっています。
DX化とロールフォーミングの共進化
また、デジタルツインやAI解析を活用したロール設計、高速段取りシミュレーションが浸透すれば、さらに顧客対応スピードや最適条件選定力が伸びていくでしょう。
こうした事例からも、ロールフォーミングの可能性はまだまだ拡大し続けているといえます。
まとめ:現場×ラテラルシンキングで掴む、新たな製造業の未来
ロールフォーミングは「ただの成形技術」ではなく、現場発の知恵とデジタル技術が融合することで、従来のプレス加工では成し得なかった価値創造を実現します。
バイヤー、サプライヤー、そして設計・現場全員が一体となって真の要件を共有・改善し続けることで、競争力の源泉が生まれ普遍的な強みとなります。
プレスと比較した時に初めて分かるロールフォーミングの強み。
それは「柔軟性」と「連続生産性」、さらにはアナログ現場すらも変革するアジャイルな価値創造力に他なりません。
今後も、現場目線・実践目線で積み上げた知見を武器に、製造業の新たな地平線をみなさんと一緒に切り拓いていきましょう。
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