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配管部材の内面粗さが排出性を左右する理由

目次
配管部材の内面粗さが排出性を左右する理由
はじめに ~現場で見逃されがちな「内面粗さ」~
配管部材の製造や選定に携わっている多くの方が、材質や耐圧、サイズなどのスペックには細心の注意を払います。
しかし、「内面粗さ」に注目している技術者やバイヤーは、意外と少数派かもしれません。
工場現場を歩くと、「配管が詰まりやすい」「流量が思った通りにならない」といった悩みを耳にします。
その根本的な原因をたどると、配管内部の表面状態、つまり「内面粗さ」が重要なファクターであるケースが多々あるのです。
現場で実際に起こっているトラブルや効率低下、そして新しい価値創造のヒントとして、「配管部材の内面粗さが排出性を左右する理由」を詳しく解説します。
内面粗さとは何か?~定義と測定方法~
表面粗さの基礎知識
そもそも「粗さ」とは、金属や樹脂などの表面を顕微鏡レベルで見たときに現れる“凹凸”のことです。
配管部材では、その内面の凹凸度合いが流体の流れに大きく関わってきます。
粗さは一般的にRa(算術平均粗さ)やRz(最大高さ粗さ)などのパラメータで表され、μm(マイクロメートル)単位で管理されます。
測定方法の種類
現場では、接触式の表面粗さ計や非接触式(光学式)プロファイラーで計測します。
材料メーカーや機械商社から送られてくるカタログに、内面粗さ規格がRa0.2μmやRa1.6μmなどと記載されている場合もあります。
なぜ内面粗さが排出性に影響するのか?
流体の“滑り”と摩擦抵抗
流体工学の初歩で「配管内壁の摩擦抵抗が大きいと、圧損や流速低下が発生する」と習います。
実務上も、内面粗さが高い(=凹凸が大きい)配管は、流れる液体や気体が表面に引っかかりやすくなり、結果として摩擦抵抗が増します。
これが“排出性の低下”──すなわち、スムーズに流れなくなる直接的な原因です。
付着物・スケールの発生
塗料や食品、粘度のある化学薬品を流す工場では、配管内に付着物やスケール(水垢、カルシウム、サビなど)が発生します。
内面が粗い配管は、こうした付着物が引っかかりやすく、蓄積していきます。
一度スケールがこびりつくと、流量が著しく低下し、最悪は管閉塞(詰まり)につながります。
洗浄性・メンテナンス性への波及効果
点検や定期洗浄時にも、粗い内面は薬液や高圧水で落としにくく、作業工数やコストもかさみます。
これも「排出性=必要量を必要な時に押し出せる性能」の観点からは大きなデメリットです。
排出性を支える“内面粗さ”の現場実例
現場A:食品工場 ~異物混入防止の観点から~
食品業界では「HACCP」や「異物混入ゼロ」が厳しく求められています。
乳製品や飲料の配管では、内面粗さRa0.8μm以下が一般的な基準です。
これより粗い配管を使うと、ミルク成分や飲料原液が管内の凹凸に残り、微生物の巣となって重大事故になる例がありました。
内面磨き(バフ研磨)された配管を採用することで、排出性が上がり、洗浄も簡易になった実例が多数あります。
現場B:塗料・インキ工場 ~生産効率の観点から~
粘度の高い塗料やインキの配管では、詰まりやすさが工場稼働率を左右します。
昔ながらの黒管配管からステンレス配管(内面研磨仕様)へと改良することで、「ラスト一点」まで原料を無駄なく排出できるようになり、不良ロスも減少しました。
現場C:薬品・化学工場 ~安全・環境の観点~
有害薬品や高付加価値製品を扱う化学メーカーでは、配管内面粗さによって“抜けきる・抜けきらない”のコントロールが重要です。
特にバッチ切り替えの際、内面が粗いままだと次バッチ品へ旧材料が微量残存し、品質事故や設備汚染につながるため、超ミクロレベルで内面仕上げを要求されるケースもあります。
排出性と内面粗さの関係を読み誤ると、どうなるか
見逃しがちな“ランニングコスト”への影響
一見、鏡面研磨や高規格な内面仕上げは初期コスト増を嫌がられがちです。
しかし、詰まり・残存・メンテ難の発生によるライン停止、薬液の無駄、流量不足によるオーバースペック設備増設……。
これら全ては最終的にランニングコストやトータルコストを押し上げる元凶になります。
バイヤーにとっては価格交渉のポイント、サプライヤーにとっては「どこまで高品質が必要か?」の提案力の見せ所となります。
いまだに昭和の常識:“面粗さは飾り”なのか?
コスト偏重・急ぎ案件の落とし穴
現場では「見た目の違いは分からない」「とりあえずスペック通っていればOK」という昭和型マインドが根強く残っています。
しかし、IoT化や自動化ライン、微細化された高付加価値製品時代においては、もはや“内面仕上げ”は飾りではありません。
むしろ設計・調達の初期段階で現場やメンテ担当と連携し、「必要十分な面粗さはどこか?」を議論することがコストダウンや付加価値向上に不可欠です。
“標準品”選定のリスク
例えば「業界標準の黒管または亜鉛メッキ管で十分」と考えていると、将来的な新ライン増設時や法規制強化時に大きな追加投資が必要になることも想定されます。
業界全体が昭和的発想から脱却し、新しい品質基準・省エネを実装するタイミングが、確実にやってきます。
内面粗さの管理と選定ポイントは?
用途・流体特性の明確化
飲料、医薬品、塗料、一般水道など、「何を流すか?」によって必要な内面粗さが変わります。
とくにバッチ切り替えや洗浄頻度が高い用途では、より滑らかな内面が求められます。
仕上げ方法の選択肢
素材レベルでの選定: SUS304/316、フッ素樹脂ライニング等
加工レベルでの選定: 電解研磨、バフ研磨、ショットブラスト等
設計・調達段階からサプライヤーの加工能力も十分ヒアリングし、サンプル対応をお願いするのが賢明です。
現場と協調した“三位一体”の配管設計
バイヤー(調達部門)はコスト・納期・品質要求のバランス役、サプライヤーは加工対応力と提案力、現場はメンテ性と実効性能。
三者が早期から「内面粗さ」の課題を可視化することで、後戻りのない現場改善・品質向上につなげましょう。
今後の業界動向とバイヤーの立ち回り方
法規制・国際認証への対応
グローバルメーカーでは、内面粗さについて法規制や国際認証(GMP、FDA、EHEDG等)基準が年々厳しくなっています。
日本国内でも今後、より厳格な管理が求められる可能性が高いため、今から情報をキャッチし、かつ現場・調達部門・サプライヤー協業による先手規格対応が有効です。
DX・スマートファクトリー時代の配管設計
IoTセンサで流量・圧損が常時見える化される時代には、配管内面の「状態管理」もデジタルで監視・データ蓄積が常識となります。
バイヤーが「見えないリスク」を数字で管理し、コストメリット提案する時代がすぐそこに来ています。
まとめ ~内面粗さの重要性を真に理解しよう~
配管部材の内面粗さは、単なるカタログ数値ではありません。
現場の排出性・洗浄性・メンテ性、さらにはランニングコストや安全・品質にも多大な影響を及ぼします。
製造業現場・バイヤー・サプライヤーの全てが「内面粗さ=付加価値」だと再認識し、課題として共有・管理することが、昭和から新時代への進化のカギとなるでしょう。
必要な方に、必要な品質の配管部材を選び抜く眼と、現場と未来を見据える調達・バイヤーの“現場力”――それが、アナログ業界に根付いた常識を打ち破る力となります。
あなたの現場や案件にも「内面粗さの最適化」をぜひご検討ください。
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