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濾過機用Oリング部材の材質違いと耐薬品性

目次
はじめに:濾過機用Oリングの重要性とは
製造業において、濾過機用Oリングは極めて重要な役割を果たしています。
Oリングの品質や特性が、設備全体の稼働率や生産の安定性、ひいては製品の品質にも直結するからです。
特に最近は、設備の稼働時間延長、コスト削減、製品多様化に伴うユーティリティ最適化といった要求が高くなっており、Oリングひとつを選ぶにも、現場目線での深い知識と判断が求められます。
本記事では、長年の現場経験から、濾過機用Oリング部材の主な材質ごとの特徴や耐薬品性、さらには昭和から続く「アナログなやり方」もしぶとく残る製造業ならではの選定事情、今後押さえておきたい最新トレンドも併せて解説します。
バイヤーだけでなく、サプライヤーや実務の現場担当者の方にも有益な視点を提供いたします。
Oリングとは何か?基礎知識を整理する
Oリングは「断面がO型(丸型)」になっているゴム製のシール部品です。
このパーツは、流体や気体の漏洩を防ぐため、ポンプやバルブ、濾過機、配管接続部などあらゆる設備で使用されます。
特に濾過機では、フィルターやカートリッジの装着部、配管接続部、メンテナンス用カバー部分などで必須です。
選定時にもっとも重要なのは「材質」と「耐薬品性」です。
なぜなら、Oリングが接触する薬液や溶剤、清掃用洗剤・蒸気・高温高圧など、過酷な使用環境下で物理的・化学的に劣化しやすいからです。
適切な材質選定は、寿命延長、トラブル未然防止、コストダウンの観点からも極めて大切です。
主要な材料ごとの特徴と耐薬品性
NBR(ニトリルゴム)
NBRは古くから使われているOリング材質の代表格です。
耐油性に優れており、鉱物油、グリース、水、空気などに適しています。
一方で、耐薬品性はそれほど高くありません。
酸やアルカリ、有機溶剤には不向きです。
昭和から続くアナログ工場では「とりあえずNBR」という慣例が根強く残っていることも多く、薬液置き換え時には要注意です。
EPDM(エチレンプロピレンゴム)
EPDMは、水系薬剤やアルカリ性溶液に強いのが特徴です。
また耐オゾン性・耐熱性もあり、スチーム洗浄や温泉水等への対応にも使われます。
ただし油類や有機溶剤には弱く、グリースや鉱油を使う機器への流用は厳禁です。
現場で「NBRからEPDMに替えたら、油漏れが増えた」という例は今も散見されます。
FKM(フッ素ゴム/バイトン/フロロエラストマー)
FKMは幅広い耐薬品性を持つ高性能Oリング素材です。
高温(200℃近く)でも物性的な劣化が少なく、酸・アルカリ・油・有機溶剤・燃料などに強いのが最大の強みです。
たとえば塩素系水処理薬品・メチルエチルケトン(MEK)・アセトンといった強い薬剤にも対応できます。
難点は、コストの高さと、端子割れ(硬化劣化)を誘発しやすい強アルカリや高分子加水分解剤には例外がある点です。
また、長年の現場経験から「再生品に高品質を期待しすぎない」「偽物に注意」といった教訓もあります。
シリコン系(Q, MQ, VMQ)
シリコン系Oリングは、柔軟性と耐熱性(180℃~200℃)が大きな魅力です。
食品プラントや薬品ラインで「見分けやすい」「衛生的」という利点もあります。
一方で、機械的強度や耐摩耗性が低く、オイルやガソリン、アルカリ薬液に弱いという弱点もあります。
消耗交換サイクルが早い現場や、誤った用途流用には注意が必要です。
PTFE(テフロン)系Oリング
フッ素樹脂(PTFE)系は、Oリング界随一の耐薬品性を誇ります。
極めて幅広い薬液、酸・アルカリ・有機溶剤などにほとんど侵されません。
また、非常に高温(260℃程度)にも対応し、硬化・軟化・膨潤が起きにくいことも特徴的です。
ただし、「弾性がない(ゴムのように伸縮しない)」という大きな弱点があり、締結部の設計・寸法公差にはプロの注意が求められます。
現場の手締め作業だと「うまく密封できていない」というミスにも繋がるため、十分な知識が必須です。
現場でよくある課題と、昭和的「勘と経験」からの脱却
濾過機用Oリングの実務運用においては、どの業界でも「勘と経験」「とりあえず前例を踏襲」という昭和型の発想による弊害が根強く残っています。
新しい薬液や運転条件を持ち込んでも、「昔からNBRでトラブルなかったから大丈夫」「前任者もEPDMだったから」という旧態依然としたやり方が見受けられます。
ところが、実際には工程の小さな変更がOリングの早期劣化を招き、漏洩・生産停止・品質事故へとつながった事例は数え切れません。
たとえば、海外工場の立ち上げ時に現地調達品NBRで設備全数を交換したものの、ライン薬品が日本とわずかに違い、2カ月で全Oリングから漏洩事故が多発したケースなどは典型です。
経験豊富な現場担当者も「Oリングは消耗品だから痛みが早い」などと安易に割り切りがちですが、実は材質選定によって数カ月→数年に大幅延長できることも多いです。
今こそ、「従来の思い込み」と決別する勇気が大切です。
Oリング材質選定の新たな地平線:リスクとコストを科学的につかむ
業界を問わず、Oリングの選定に今こそ必要なのは「科学的根拠に基づく選定」と「リスク管理」の視点です。
ラテラルシンキングの発想で、「従来はエビデンスが弱かった」点についても見直しましょう。
分析データと専門メーカーの活用
大手Oリングメーカーでは、耐薬品性や耐久年数に関する膨大なデータベースを保有しています。
「何系薬剤にはどの材質が最適か」「長期間のスチーム洗浄でも強度維持できるか」など、客観的根拠に基づく推奨材質を提示してくれます。
自社の現場サンプルを提供し、浸漬試験や圧縮永久ひずみテストを依頼することで、リスクの見える化が進みます。
コストダウンだけを追わないバイヤーの新常識
昭和的な調達の現場では「価格勝負」が重視されがちです。
ただし、Oリングの選定を安易な価格重視で決めれば、後々のメンテナンス回数増加、生産停止リスク上昇、製品不良率増大といった「見えないコスト」の増大を招きます。
ラテラルシンキングの視点で、「ランニングコストを最小化する材質はなにか」「メンテ周期や交換工数もコストのうち」と考えましょう。
そのためには、現場・バイヤー・設計・品質保証ら多部門を巻き込んだ全体最適が不可欠です。
バイヤー・サプライヤー双方で押さえておきたい動向
持続可能性とグローバル調達への配慮
グローバル化の進展とともに、各国の化学薬品事情や環境法規制にも目を配る必要が増しています。
海外調達Oリングでは、同じ名称のゴムでも配合物や充填剤が違い、耐薬品性が全く異なるケースもあります。
REACHやRoHSなどの環境規制対応、食品・医薬品プラントではFDA・USP適合なども求められる時代です。
サプライヤー側も、材料由来や添加剤履歴、品質証明サポート体制の強化が不可欠です。
現場力を最大化するためのOリングマネジメント
ニューノーマル時代には、Oリング単体の「単純購買」ではなく、現場全体の保守性・設備稼働率・品質保証までを俯瞰したマネジメント力が求められます。
1案件ごとに設計・製造・調達・品質保証部門が協働し、「どこまでリスクを許容できるか」「どこで材質をアップグレードするか」「どこを標準品でコストダウンするか」の判断軸をいかに共有するか――。
現場と管理層、バイヤーと生産側が真の連携を図ることで、これまでにない持続的な改善サイクルが生まれます。
まとめ:Oリング選定の「新常識」
濾過機用Oリング部材の選定は、昭和から続く「暗黙の了解」や「現場の勘」に頼る時代は終わりです。
科学的データと、部門横断的な知識共有、そしてサプライチェーン全体の最適化――これが、製造業の現場がこれから進むべき「新しい地平線」です。
「消耗品だから、どれも同じ」ではなく、「最適な材質選定が、品質も競争力も左右するパーツだ」と捉え、現場・バイヤー・サプライヤーが一体となって、経験・知恵・データ・相互理解を駆使して最良の答えを導き出しましょう。
このアプローチが、今後さらに複雑化・多様化する製造業プラント現場の生き残り戦略となるはずです。
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