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抽出装置用ストレーナー部材の交換頻度を誤ると起こるトラブル

目次
はじめに:抽出装置用ストレーナーの役割と重要性
製造業現場において、さまざまな流体や原材料を扱う際、異物混入やラインの詰まりを防ぐ存在が「ストレーナー」です。
とりわけ抽出装置用ストレーナーは、原材料から目的成分を効率よく抽出するための重要な役割を果たしています。
高精度な抽出品質を維持するためには、ストレーナー部材の健康状態が不可欠です。
しかしながら、この部材の交換頻度を見誤ると、現場ではときに甚大なトラブルを引き起こすことがあります。
本記事では、20年以上の製造現場経験に基づき、抽出装置用ストレーナー部材の交換が遅れるリスク、実際のトラブル事例、そして現場での対策まで、実践的な知見をお伝えします。
ストレーナー部材交換頻度を見誤ると生じる代表的なトラブル
1. ライン詰まりによる生産ストップ
ストレーナーは抜け道を一つ作っただけでも、キャビテーションや配管詰まりを発生させます。
経年劣化や目詰まりを起こしたストレーナーは、本来流れるべき液体や気体の流量を大きく損ねます。
その結果、抽出装置や配管全体が詰まり、操業停止に至る恐れがあります。
特に連続生産を行うラインでは、ひとたび止まれば復旧に膨大な工数とコストが発生します。
2. 圧力損失による品質不良
ストレーナーが目詰まりを起こすと、装置内の圧力バランスが崩れます。
その結果、想定した抽出パラメータが保てず、最終製品の品質にバラつきや変質が発生するリスクが高まります。
検査工程で初めて不良が発見される場合、抜取検査の精度やサンプリング頻度によっては大量の不良品ロットを発生させることにもつながります。
3. ポンプやバルブの故障拡大
目詰まりした状態で無理に流体を送ろうとすると、ポンプに過負荷がかかります。
無理な運転を続けると、最悪の場合はポンプ焼き付きやバルブ破損など、高額な修理や部品交換が発生する事態になりかねません。
ライントラブルは往々にして一ヶ所の小さなトラブルから連鎖的に発生するため、ストレーナーの状態には常に敏感である必要があります。
4. 異物混入リスクの顕在化
本来「守りの砦」であるストレーナーの機能低下は異物混入リスクの顕在化に直結します。
外観上は問題がなくても、フィルター性能低下や破損によって微細な異物が最終製品に混入。
これが顧客クレームや回収騒動、信頼失墜を招く要因となります。
特に、食品・医薬・半導体など高い清浄度を要求される分野では致命傷となるケースも珍しくありません。
なぜ交換頻度の判断を誤ってしまうのか?昭和的な現場の盲点
1. 維持管理コスト削減のアンバランスな認識
現場では、とかく「とりあえず動いているものは触らない」という文化が根強く残っています。
目先のコストダウンや材料費削減の推進により、「あと1回使ってみよう」「まだ使える」という判断が優先されがちです。
しかし、その油断が大事故や大損失を招く温床となります。
2. 継承された“経験と勘”への過度な依存
ベテラン作業者による「身体で覚えてきた勘」に頼る管理は、現代の多品種・高精度化が進む製造にはミスマッチです。
現場作業の標準化やデータ化が整備されないことで、部材の劣化進行を数値で把握できず、適切な交換時期を逸してしまいます。
3. モニタリング体制・設備投資の遅れ
ストレーナーの残寿命測定技術やIoT活用は進みつつありますが、いまだアナログな定期点検に頼っている現場も多いのが実態です。
情報システムの導入コストを理由に現場改善投資を後回しにすることで、潜在的なリスクを見えないまま放置している例は後を絶ちません。
現場目線でのストレーナー管理の実践ポイント
1. 交換基準の“数値化”と見える化
良くある落とし穴が「決められたスパンで換える」だけに頼る管理です。
使用流体や運転時間、原料ロットが異なると、劣化スピードは大きく変わります。
そこで、実際の現場運転データを基にした「圧力差」「流量変化」「目視でのカス蓄積量」などの具体的なKPI設定が欠かせません。
デジタル化が進む今、IoTセンサーを活用したリアルタイム監視も積極活用しましょう。
2. 保守作業の標準化と教育徹底
経験や勘に頼るだけでなく、写真入りの点検マニュアルや現場動画などで手順や判断基準を共通化します。
また、なぜストレーナー交換が重要なのか「背景知識」まで伝える教育は、若手にもベテランにも必要です。
エラー体験やヒヤリハット事例を定期的に現場で共有し、意識向上を図りましょう。
3. 在庫管理とサプライヤー連携の最適化
突然の交換には部材在庫切れがつきものです。
「JIT生産」一辺倒ではなく、ストレーナーや消耗品だけは“死蔵リスク”を最小化しつつ適正在庫を確保するのが現場の知恵です。
サプライヤーとは材料ロット管理やトレーサビリティも含め、緊密な情報共有体制を作りましょう。
納期短縮、緊急納入、仕様変更に即応できる関係性は、大きな信用コストの低減に直結します。
バイヤー・サプライヤー目線で考えるストレーナー管理の進化
1. バイヤーに求められる「提案力」
単なるバイイングでは不十分です。
サプライヤーを巻き込み「どんな現場課題が解決できるか」「現場で本当に役立つ提案型調達」が求められます。
部品ライフサイクルの延長、新素材・新構造の導入、アフターサービスの優位性など、多面的な価値訴求の視点を育てましょう。
2. サプライヤー側から見た現場ニーズ把握
バイヤーが「価格」と「納期」ばかりを追求すると、現場の隠れた課題解決が置き去りになります。
サプライヤーは、時には現場に足を運び「どんな苦労やリスクが隠れているか」を自ら観察し、新しい素材・加工技術を提案する姿勢が信頼関係を築きます。
また、不具合発生時の迅速な原因究明やノウハウ共有は、両者の生産性向上に直結します。
最新トレンド:IoT/AIを活用したストレーナー管理の最前線
1. IoTセンサー導入による予知保全
近年注目されているのが「予知保全」です。
ストレーナーの圧力損失や流量変化をセンサーでモニタリングし、異常兆候をAIが即座に解析。
これによって「いつ交換すべきか」を自動通知できる仕組みが登場しています。
これまでは場当たり的だった交換スケジュールが、科学的・効率的に管理できる時代が到来しています。
2. クラウドデータによる改善サイクル
現場で蓄積した交換データやトラブル対応履歴をクラウド上に集約し、サプライヤーやメーカー、エンジニアが横断的に活用する流れも加速しています。
“点”のノウハウを“面”で展開し、全社的な歩留まり向上やクレーム削減、より強固な品質保証体制を築くことが可能です。
まとめ:製造業の持続的発展のために
抽出装置用ストレーナーの交換頻度を誤ると、ライン停止・品質不良・装置破損・異物混入など、まさに現場を揺るがす大事故に繋がります。
アナログ的経験やコスト意識も大切ですが、現場目線での数値管理、標準化、エンジニアリング思考の導入がこれからの製造業には欠かせません。
バイヤーは提案型調達で現場課題解決策を示し、サプライヤーは現場に寄り添ったきめ細かいソリューション提供に努力することで、業界全体の進化が加速します。
地味なようで実は工場全体の安全・安定の“要”であるストレーナー。
小さな部材で大きな事故を防ぐ、「備えあれば患いなし」の精神を、ぜひ現場・調達・サプライヤーの三位一体で共有し、製造業のさらなる発展に役立てていただければ幸いです。