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投稿日:2026年1月5日

脱気装置部材の不調が紙欠陥を生む理由

はじめに:脱気装置の重要性と紙欠陥の関係

製造業、特に製紙や紙加工の現場では、脱気装置は不可欠な存在です。
現場で20年以上の経験を持つ筆者の視点からすれば、「ただ空気を抜くだけの装置」と見なすのは少し危険です。
なぜなら、脱気装置のわずかな不調が、最終的な紙製品の品質に重大な影響を及ぼすことを体感してきたからです。
本記事では、脱気装置部材の不調がなぜ紙欠陥を生むのか、そのメカニズムと現場から見た対策、アナログ業界の現状までを実践的に解説します。

脱気装置とは何か?基礎知識から振り返る

脱気装置の仕組みと役割

脱気装置とは、原材料や中間製品の中に含まれる余分な空気やガスを取り除くための装置です。
紙製造の工程では、パルプやスラリーと呼ばれる液体状の材料を均一な紙へと成形するために、多量の水や薬剤が加わります。
この際、マシンに混じった空気や泡が材料内部に閉じ込められると、紙の表面にシワやピンホール、ブリスターといった欠陥が生じやすくなります。

脱気装置の主な部材

脱気装置は、ポンプ、フィルター、シール材、回転子、シールリングなどさまざまな部材によって構成されています。
いずれのパーツもわずかな摩耗や経年劣化が装置全体の性能低下を招き、結果として紙の品質に直結します。

なぜ脱気装置部材の不調が紙欠陥につながるのか

気泡混入による代表的な紙欠陥

<1>ピンホール
小さな気泡が紙の中で弾けてできるミクロの孔です。
印刷やコーティング時に問題となります。

<2>ブリスター(ふくれ)
紙内部に気泡が残ったまま乾燥や加圧工程に進むと、表面が盛り上がったり、割れたりします。

<3>シワ・波打ち
均等に水分や空気が抜けないことで紙面が歪み、美観や機械適性が損なわれます。

部材不良の伝播メカニズム

パッキン類の劣化で密封性が低下し、外気が混入
フィルターの詰まりや破損で、空気抜き作業が不安定になる
ポンプや回転部の摩耗による吸引力低下で、十分な脱気ができない
こうした部材ごとのトラブルが局所的な問題にとどまらず、最終製品全体の品質低下へと直結していくのです。

アナログ重視の現場でなぜ脱気装置のケアが甘くなりやすいのか

昭和的価値観が残る現場の典型的行動

紙業界は現場主義・長期経験値推しの文化が根強く残っています。
「装置はとりあえず回っていればOK」
「少し音や振動が大きくても止めるのは最後の手段」
「分解点検は定期休止日にまとめてやればいい」
こうした現場マインドが、脱気装置の“なんとなく放置”を生み、積み重なった劣化や汚れが気づかぬうちに欠陥紙の増加へとつながります。

データ主導管理(DX)導入の遅れ

IoTやセンサーによる装置の状態監視は、先進メーカーや一部外資系では進んでいます。
ところがコスト意識や現場負担の懸念から、「目視・音・経験値」に頼る管理体制のままの工場は多いです。
装置異常が発見されても「慣れている人」しか要因究明ができず、対策に遅れが出ています。

バイヤー・サプライヤーが知っておきたい現場の実態

バイヤー目線:見落としがちなリスクポイント

価格と納期だけでなく、「脱気装置の保守履歴」「交換部材の調達ルート」「現場点検体制」まで視野に入れましょう。

サプライヤーからの定期的なメンテナンス報告やスペアパーツの推奨も、品質リスクを下げる有効打です。

脱気装置が原因の紙品質トラブルは、一見すると「工程トラブル」や「原料ロット不良」と混同されがちです。
バイヤーは背景要因まで遡る監査、ヒアリングを徹底する価値があります。

サプライヤー目線:バイヤーが本当に知りたがっていること

「どれだけ故障率が低いか」だけでなく、「現場目線の使いやすさ」「パーツ供給スピード」「トラブル時の相談しやすさ」が重視されます。
納入後フォロー、現場担当者が“電話一本で解決しやすい”柔軟な体制が、長い信頼へとつながります。
技術サポート資料・勉強会などの「技術伝承」もアナログ業界では大きな武器です。

現場目線での脱気装置トラブル早期発見・対策方法

1. 異音・振動・温度上昇は劣化のサイン

五感+点検記録を日々残すクセをつけましょう。
換気扇やモーター部の「異音」「普段と違う振動」「やたら熱い」など、小さな変化こそ早期のシグナルです。

2. 定期的な分解点検(パーツごとの寿命設計)

パッキン、シール、フィルターなどの「消耗品」は消耗すれば必ず性能低下します。
定期的な分解清掃・交換スケジュールを現場に「見える化」しましょう。
できればチェックリストや交換マニュアルを現場掲示し、“やりっぱなし”防止につなげます。

3. 日常点検にデジタル技術をプラス

安価な温度センサーや振動センサー、監視カメラなどIoTツールを積極的に検討しましょう。
データ集積とAI判定を活用すれば、ベテランに頼らずとも不調の「予知保全」へとシフトできます。

アナログ脱却と未来志向の現場改革

事例紹介:DX活用で品質事故をゼロへ

ある中堅製紙工場では、月1回の脱気装置パーツ点検記録を「紙のノート」から「タブレット管理」へ移行しました。
チェック漏れが減り、部材交換時期の「先回り準備」ができるようになりました。
さらに、IoTセンサーの取り付けによる「異常予兆の自動アラート」で紙欠陥発生率を3分の1に抑制することに成功しました。

業界全体のレジリエンス強化へ

サプライチェーンが複雑化する現代では、脱気装置のような一見地味な設備の安定稼働が強い武器となります。
部材の選定、メンテナンス、現場教育のすべてにIT・データ管理を組み合わせ、業界全体の底上げを実現することが重要です。

まとめ:これからの製造業に必要な視点とは

脱気装置部材の不調は、「紙欠陥」という見えるカタチで私たちの目の前に現れます。
昭和的な“経験値のみ”の現場運用を脱し、デジタル活用・現場教育・サプライヤー連携による予防的保全が不可欠です。

バイヤーを目指す方は、調達・品質管理・現場運営のすべてを結ぶ広い視野を持ちましょう。
サプライヤーの皆さんは、「現場の困りごと」を先回りで解決する提案型パートナーとなることを意識してください。
現場から日本のものづくりを強くしていくためにも、脱気装置トラブルを“紙欠陥”で終わらせず、真因を突き止め、積極的な改善活動を推進しましょう。

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