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曲げ加工機で使う油圧シリンダ部材の経年劣化に振り回される作業者の本音

曲げ加工機で使う油圧シリンダ部材の経年劣化に振り回される作業者の本音
はじめに:昭和の現場と令和の現実
製造業の現場では「現場百回、現場至上主義」という言葉が今なお色濃く残っています。
その精神は決して悪いことではありませんが、こと油圧シリンダといった重要部品に関しては、昭和時代からの現場感覚がアップデートされず、経年劣化に伴うトラブルが日常茶飯事となっている企業も少なくありません。
私は20年以上、現場作業から管理職、そして生産設備の導入責任者まで幅広く経験してきましたが、「油圧シリンダの経年劣化ほど作業者を悩ませ、時に生産計画を揺るがせるものはない」という声を無数に耳にしてきました。
この記事は、曲げ加工機を中心とした油圧シリンダ部材の経年劣化問題について、バイヤー志望の方やサプライヤー、現場の担当者それぞれの視点から実践的に掘り下げていきます。
油圧シリンダの経年劣化 ― なぜ見落とされるのか?
油圧シリンダは、曲げ加工機やプレス機などさまざまな産業機械の動力源として欠かせない部品です。
ですが、多くの工場では「作動して当たり前」の部品として扱われ、摩耗・劣化の進行については後回し。実際に不具合が出てから初めて問題視されることが多いのが実情です。
特に、設備投資がなかなか進まない中小企業や古参工場では、「予防保全」の概念そのものが根付いていません。
部品が破損するか、油漏れが顕在化してから初めて現場が騒ぎとなり、応急対応に追われるという負のサイクルが続いています。
この現象の背景には大きく分けて二つの課題があります。
一つ目は、経営層と現場作業者の温度差です。
経営層は、設備のダウンタイムによる生産ロスを大きく捉えていません。
一方、現場作業者の本音は「また今日もシリンダから油が滲んできた」「手が油まみれだ」「応急パッキン交換はもう限界だ」と、日々のストレスが蓄積しているのです。
二つ目は、経年劣化の進行を可視化・定量化できていない点です。
古い設備になると、どこまで使い続けられるのか「勘と経験」に頼りきった運用が一般的で、交換時期も場当たり的な判断になりがちです。
現場作業者が抱えるリアルな課題と心理的負担
油圧シリンダの経年劣化に起因するトラブルは、単なるパーツ交換の一言では片付けられません。
油漏れが発生すれば、まず床や装置の清掃作業が必要になります。
油は滑りやすく危険ですし、部品や加工ワークにも悪影響を及ぼすため、清掃に余計な手間と時間がかかります。
清掃を怠れば品質事故にも直結します。
油圧の駆動力が不安定になれば、加工製品そのものの精度低下やワーク形状のバラつきが出る。
こうなるとインライン検査や追加検査の負担も増し、最終的に生産計画の遅延やお客様への納期遵守の問題にも波及します。
また「今日はどこからトラブルが起きるのか」「機械を止めて良い判断ができるのか」といった心理的負荷が常につきまとい、本来の生産活動よりもトラブル回避や復旧作業に神経をすり減らしている作業者も多数います。
「またか…」というげんなり感、「上司には言いにくいな…」という葛藤、「新品部品なんて予算がつかないし」という諦め――。
これこそ、アナログ体質が残る現場のリアルな本音と言えるでしょう。
サプライヤー/バイヤーの視点:調達購買・品質保証の失敗と学び
バイヤーや調達担当、そしてサプライヤーの視点で考えるとどうでしょうか。
「油圧シリンダなんて標準品、どこのメーカーも似たり寄ったり」「値段さえ合えばどこでも良い」といった発想で、コスト一辺倒の調達をしていませんか?
油圧シリンダやその主要パーツ(ロッド、パッキン、シール、ガイドブッシュ等)は、使用環境や作業内容によって求められる耐久性やグレード、寸法公差などがまったく異なります。
安易な選定や価格勝負だけの発注は、現場作業者に余計な負担やリスクを背負わせることになり、むしろ総合的なコスト増を招いているケースも多く見受けられます。
また、サプライヤー側も「バイヤーのコスト圧力が厳しくて性能提案がしづらい」「故障やトラブル発生時に現場まで情報が戻ってこない」と医者任せ、現場任せになってしまうこともあります。
これからの製造現場の発展には、調達・サプライヤー・現場作業者が互いに現場実態を理解し、部材選定やメンテナンス、トラブル事例の共有を密にしながら、保全サイクルや部品寿命のデータベース化を進めていくことが不可欠です。
メーカーの現場力が問われている時代 ― 変われるか、曲げ加工機メーカー!
いまだに「昭和」の手法から抜け出せない現場は多いですが、近年ではIoTやセンサ活用といったデジタル化の波も押し寄せています。
油圧シリンダの状態監視、すなわち稼働時間や油温、油圧の異常信号を書き出し、経年劣化の進行度を“見える化”する技術が次第に導入され始めています。
まだ価格や現場対応のハードルはありますが、こうした技術導入が進む工場では「突発故障ゼロ」「計画的保全」「現場作業者のストレス低減」といった成果が明確に現れています。
加えて、DX推進や保全のデジタル管理を経営層がしっかり支援することで、設備の長寿命化、予備部品の合理的なストック、メンテナンス費用の適正化も進みます。
曲げ加工機のシリンダ部材に関連した事故や不具合が減少すれば、作業者の安全・効率性も向上し、「あの現場は働きやすい」と採用にも有利にはたらくでしょう。
現場・バイヤー・サプライヤーをつなぐ、これからの現場運営
油圧シリンダの経年劣化対策は「誰か一人が頑張れば解決する」ものではありません。
現場作業者、バイヤー・調達担当者、サプライヤーやメーカーのそれぞれが、「現場の困りごと」「調達時の落とし穴」「部材選定の勘所」「予防保全の知恵」などを共有し合うことが求められます。
たとえば、現場から“実例ベース”で
・どのタイミングで油圧シリンダから異音や油滲みが発生したか
・応急対応でどこまで延命できたか
・どの部材メーカーやグレードで不具合が少なかったか
といった情報をフィードバックする。
サプライヤー側は最新の耐摩耗素材や高性能シールの選定ポイント、さらには納入後のトラブル相談窓口をしっかり明示する。
バイヤーや調達担当はコストだけでなく現場保全や品質保証まで巻き込んだ中長期的な調達戦略を持つ。
こうした“水平連携”が、現代の製造現場には不可欠だと感じています。
まとめ:伝統と変革のはざまで
油圧シリンダ部材を取り巻く課題は、伝統的な「現場任せ」から「組織全体で知恵を絞る」方向へ移行できるかどうかにかかっています。
経年劣化は避けられない事実ですが、それを“トラブルの種”で終わらせるか、“改革のチャンス”に転換できるか――この一歩を現場・バイヤー・サプライヤーが共に踏み出せるかどうかが、製造業各社の将来を大きく左右することでしょう。
現場作業者の声なき声、悩みや本音に耳を傾けつつ、知見の共有とデータ活用、そして新しい調達手法の導入に向けて、今こそ一歩を踏み出しましょう。
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