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製造設備のボイラーで使う予熱器ケーシング部材の板金製法と漏気問題

目次
はじめに:予熱器ケーシング部材の重要性とは
製造設備の心臓部とも言えるボイラーは、安定稼働と省エネルギーが現場の命題です。
その中で重要な役目を担うのが、ボイラーの予熱器です。
予熱器は燃焼用空気や給水を効率的に昇温させることにより、燃料消費量の削減や排ガスの低減に直接寄与します。
そのため、予熱器の各部品の品質や性能が工場の生産性・コスト・環境負荷を大きく左右するのです。
とりわけ、予熱器の「ケーシング部材」(外装板金部分)は、熱効率・安全性・耐久性・省力化のカギを握るパーツです。
本記事では、昭和から令和まで続く“板金製法”と、その中で根深い「漏気問題」に焦点を当て、解決に向けた現場の知恵と新潮流までを網羅的に解説します。
ケーシング部材とは?構造と役割を押さえよう
ケーシング部材の構成とボイラー予熱器での役割
予熱器のケーシング部材とは、いわゆる“外側を覆う箱”です。
予熱器本体や熱交換素子、内部の整流板・断熱材などを包み込む外壁パネルで構成され、多くの場合、鋼板やステンレス板で作られています。
主な役割は、以下の通りです。
– 内部の熱が外に逃げるのを防止(断熱・保温)
– 外部からの異物侵入・風雨・衝撃から内部を保護
– 空気やガス等の流れを安全かつ効率的に制御
– ボイラー全体の強度と意匠性を担保
昭和世代の工場では、「なんでも鉄板で囲う!」という発想が根付いていましたが、令和の今は用途やコスト・保守性に合わせて素材・形状が多様化しています。
なぜ板金製法が主流なのか?
予熱器ケーシングに板金が多用される理由は、その「加工のしやすさ」と「応用の幅広さ」にあります。
一枚の鋼板を切り、曲げ、溶接して立体形状(ハコやパネル)を作るため、小ロットやカスタム対応が可能です。
また設置後の増設・改造、部分補修にも柔軟に対応できます。
一方で、板金ならではの課題もあります。
それが「接合部の漏気問題」です。
漏気問題の本質:なぜ“ピンホール”は発生するのか
昭和から続く現場の課題
板金ケーシングの接合部は、シール材や溶接で気密を保ちますが、
現場では「ピンホール(極小の隙間)」や「クラック(微細な割れ)」による漏気が後を絶ちません。
この漏気が、
– 予熱効率の低下
– 外部への熱気・ガス漏洩による安全リスク
– 冬期の結露や腐食・断熱材の損傷
– 製品保証トラブル(排ガス規制値超過など)
などを呼び起こしているのです。
なぜ漏気が生じやすいのか?
主な要因は下記です。
1. 板金同士の合わせ面の“精度ムラ”
熟練工でも、長尺物や大型パネルの組み立て精度には限界がある。
薄板は熱伸縮に伴う変形・反りも避けにくい。
2. シール材の選定ミスや経年劣化
現場調達品や安価なパッキンを使うと、取り合い部で完全な密着が得られず、熱サイクルで徐々に隙間が広がる。
3. 溶接箇所の溶け込み不良や歪み
現場溶接の一発勝負で、微小クラックや未溶接部が残る。
4. 内部圧力変動・外力・振動などの影響
運転時の膨張・収縮、大型設備の地震やメンテ解体で生じたひずみ
「最初だけ密閉、数カ月で漏れた」という現象が多発します。
職人芸と“アナログ文化”の壁
昭和型の工場では、「多少の漏れなら現場でパテ埋め」「テープ補修」「パッキンを何重に巻いておけ」といった職人芸・応急処置が常態化しています。
デジタル化や工場自動化が進んでも、板金・接合・気密の問題は“極めてアナログ”なため、根本解決には知恵と工数、場合によっては投資が必要になるのです。
実践的な板金製法と漏気対策:現場から見た対応策
最新動向を踏まえた板金加工技術
昨今は板金も「デジタル化」が進み、レーザー加工やNC曲げ加工機などで加工精度が飛躍的に向上しています。
– レーザーカットによる高精度切断(隙間0.5mm以下)
– 曲げ角度の自動補正
– CAD連動で複雑な形状にも1点対応
これにより接合精度そのものは大幅に改善されています。
しかし、組み立て現場での「溶接」「貼り合わせ」精度を維持するには、人の技量や仕上げ工程が依然として重要です。
漏気対策に有効な板金ジョイントのポイント
1. 接合面の二重シーリング
板金合わせ面の内外両側からシール剤/パッキンを重ねる「二重シール法」で、外部・内部からの圧力や熱衝撃への耐久性を上げます。
2. ウェルド入念仕上げ(ビード研磨)
溶接ビード部のバリやクラックを丁寧にサンダー仕上げし、ピンホールを徹底潰し込む。
3. 定期的な耐圧・漏気テスト採用
竣工時と定期メンテ時に、エア漏れテストや煙・石鹸水を使った簡易検査を行い、初期漏れを徹底排除します。
4. 高弾力パッキン・シール材の選定
温度変化や熱膨張に強いシリコン系パッキンや最新の難燃シール剤を使い、経年による劣化リスクを抑える。
5. 構造上の工夫「リブ追加」「クランプ増設」
荷重や応力が集中するコーナー部分にはリブや補強板、ボルト締め部にはクランプ増設による締結力強化が有効です。
トラブル対策のPDCAサイクルを現場に根付かせる
漏気トラブルは“再発防止”こそが大切です。
– トラブル記録(発生時期・部位・原因・対策)
– ベストプラクティス集(改善履歴、工具・素材ノウハウ)
– サプライヤーと連携した定期レビュー
「現場で直せば終わり」ではなく、「なぜ、そこが漏れたのか」「どこの板金屋が強いのか」まで全体最適の目線で改善活動を継続させましょう。
バイヤー・サプライヤー必見:選ばれる板金サプライヤーの条件
なぜサプライヤー選定が重要か
設備投資や更新時代において、板金サプライヤーの良し悪しがボイラーの“寿命”や“トラブル回数”を決めます。
品質だけでなく、「対応力」「価格競争力」「アフターサービス」まで含め、ベストパートナーを選ぶ視点が欠かせません。
現場バイヤーが重視すべき基準
1. 板金加工の施工実績・専門知識
ボイラー・熱機器特有の「熱膨張」「断熱工法」「気密構造」に精通しているか。
2. 製作から設置・メンテまで一貫対応可能か
トラブル時に即対応できる現場力があるか。
3. 独自の技術提案力・改善力
特注形状や難材対応にスムーズに答えられるか。
4. コストパフォーマンスと納期管理力
JIT対応、工程管理システム有無、見える化体制の充実度。
令和の板金サプライヤー最前線
今や、板金分野でもDX(デジタルトランスフォーメーション)が浸透し、
– IoTによる板厚・温度・歪みのリアルタイム管理
– 3Dスキャナによる現場採寸とCAD自動連携
– ERP・MES連動による進捗見える化
などが実現しつつあります。
「技だけでなく、デジタルに強い板金屋」が今後の選定基準になっていくでしょう。
まとめ:予熱器ケーシング板金の未来と現場に期待すること
予熱器ケーシング部材の板金製法と漏気問題は、昔ながらのアナログ文化が色濃く残りつつも、現場の知恵と新たな技術の融合によって進化し続けています。
日々の生産性や安全性向上、省エネ・環境対応の最前線を支えているのは、現場と設計・サプライヤーが一体となった「継続的な改善の力」です。
アナログの現場で培われる“擦り合わせ”や“ひと手間”は今なお無くてはならない宝。
同時に、IoTやデジタル板金、最新のシール材・溶接ロボットなど、最先端技術も柔軟に取り入れることが今後の製造現場の打ち手となります。
バイヤーもサプライヤーも、「現場の事実」と「時代の流れ」を冷静に踏まえ、最良のパートナーシップでボイラー設備の革新につなげましょう。
現場の一歩が、明日の日本のものづくりを創ります。
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