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ジョイント部材の締結不良が装置停止につながる理由

目次
はじめに:ジョイント部材の締結不良が引き起こす現場のリアル
製造業に携わる方であれば、「ジョイント部材の締結不良によって装置が止まった」というトラブルを一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
ときにはわずかな締結不良が、工場ライン全体の稼働停止へと発展してしまうこともあります。
近年、オートメーション化やIoTの導入が進んできてはいますが、まだまだ昭和に培われた現場の勘やアナログな手段に依存しているケースも少なくありません。
そのような環境下においては、ジョイント部材の締結不良が引き起こすリスクへの対策が急務となっています。
本記事では、ジョイント部材の基本から、なぜ締結不良が装置停止を招くのか、製造現場の目線で深堀りしていきます。
また、調達・購買、サプライヤーの立場から見た管理ポイントや注意点もご紹介し、今日から役立つ実践的な考え方をお伝えします。
ジョイント部材とは何か?製造現場での役割を整理する
ジョイント部材の定義と種類
ジョイント部材とは、パーツとパーツ、あるいは装置同士を機械的に連結したり、分離したりするための部品を指します。
代表的なものにボルト・ナット、ねじ、ピン、かしめ部品、クランプ、カプラー、圧着端子などがあります。
これらの部品は、工場内の装置、配管、制御盤、搬送ライン、電気系統にいたるまで幅広く使用されています。
ちょっとしたネジ止めひとつにも、装置全体の安全稼働や生産性を左右する重大な役割が潜んでいます。
現場で依然根強い“アナログ作業”と締結ミスのリスク
製造現場では、設計図通りに正確に締結されることが求められますが、現実には人手による作業も多いため、締結不良が発生するリスクが常につきまといます。
特に、目視・手作業によるトルク管理、部材の取り違え、締め忘れ、緩みやすい場所での締結など、アナログに起因するミスが装置停止に直結する危険性を孕んでいます。
近年は自動締結やトルク管理ツールの導入も進みつつありますが、現場の“昭和的手法”も根強く残っています。
なぜ締結不良が装置停止につながるのか
トラブルの発端:わずかな締結不良が引き起こす甚大な損失
ジョイント部材の締結不良が原因で発生しやすいトラブルの例として、以下が挙げられます。
- 部材の脱落や緩みによる部品の損傷
- 装置のガタツキや振動による誤動作・故障
- 流体・ガス漏洩による設備停止や安全事故
- 電気配線の圧着不良・接触不良による信号喪失
これらのトラブルが発生すると、即座に装置全体の停止や生産ラインのシャットダウンを招きます。
また、最悪の場合は製品の不良品流出や重大な労働災害に発展することもあるため、締結不良の影響は決して見過ごせません。
設計段階から生産現場まで、“見逃されやすい落とし穴”
多くの製造現場で見受けられる特徴として、「ジョイント部材は誰でも作業できる簡単な仕事」と位置づけられがちです。
実際には、正確なトルク管理や部材選定、シール材の扱い、締結手順の遵守など、専門的なノウハウが求められます。
設計・開発の段階で締結のしやすさや管理の容易さが考慮されていないと、現場で“誤魔化し締め”や“とりあえず締結”といった問題が発生しやすいです。
「一か所くらい適当でいいや」という油断が、装置全体の停止や会社全体の損失へと直結します。
事例に学ぶ:締結不良による装置停止の現場リアル
配管ジョイントの緩みが引き起こしたライン全体の停止
ある化学工場の事例では、配管ジョイント部材の締付けが不十分だったため、ごく少量の液漏れが生じ、それが検知器によって察知されてラインが完全停止したというトラブルがありました。
定期点検時に増し締めが十分に行われていなかったことが原因でした。
1ヶ所の締結不良が引き金となって、他の正常なラインまで全て緊急停止の対象となり、数百万円規模の損失が発生しました。
ボルト1本の締め忘れで装置破損、半年間の信頼回復活動
自動車部品工場においては、ボルト1本の締め忘れが生産設備の故障につながり、納入した部品の一部がリコール対象となった事例もあります。
原因は、多品種少量生産の中で交換作業を急ぐあまりチェックリスト運用が徹底されていなかったことにあります。
結果的に、顧客との信頼回復に半年を費やし、コストだけでなく企業イメージにも深刻なダメージが及びました。
調達・購買部門が知っておくべき「現場目線の品質管理」
価格だけでなく“締付け品質”まで見極める観点が重要
調達購買部門がジョイント部材を選定する際、しばしば価格や納期に注目しがちです。
しかし、本当に重視すべきなのは「現場作業員がミスなく、安定的に締結できる品質・設計」であるかどうかです。
例えば、若干の寸法誤差やねじ山不良がある部材は、人手作業や自動締結ロボットのどちらでも不良の原因となります。
サンプル評価時や受入検査時に厳密な品質評価を実施し、現場からのフィードバックを反映させることが、大きなトラブルの芽を摘み取ることに繋がります。
現場とサプライヤーの密な連携が“未然防止”のカギ
取引先(サプライヤー)に対し、単なるコスト交渉だけでなく「なぜこの仕様が必要か」「どんな現場課題を解決したいのか」を具体的に説明し、共通認識を持つことが不可欠です。
また、不具合事例の再発防止策や、現場の改善ニーズを積極的に共有することで、双方で“現場目線の品質管理サイクル”を回すことができます。
これにより、組織全体で締結不良による装置停止リスクが継続的に低減されます。
サプライヤーの立場からバイヤー(購買担当者)が考えていることを理解する
単なるコストダウン要求だけでは信頼は築けない
サプライヤー側が陥りやすいのが、価格交渉力や納期対応力のみで評価されていると思い込んでしまうことです。
しかし、バイヤーは表面上のコストダウン以上に、「現場が本当に安心して使える品質」「想定外のトラブルにも素早く対応できる保守力」を求めています。
単に図面どおりのスペックを満たすだけではなく、実際の装置や作業現場で発生しうる課題まで想像して提案・納品できるサプライヤーが、長期的な信頼を勝ち取れます。
“現場での使われ方”を体感した上での提案が最強の武器
可能であれば、納入先の現場を実際に見学したり、納品後のフィードバックを密に受け取る仕組みをつくることが重要です。
「このボルトは定期的に増し締めが必要そう」「このカプラーは着脱時に指が滑りやすい」など、生の現場情報から得られる気づきはサプライヤーの競争力を大幅に高めます。
現場を知る姿勢、課題解決提案力が、価格競争から一歩抜け出すためのカギとなります。
ラテラルシンキングで“締結不良ゼロ”を目指すには
新しい視点の開拓:アナログとデジタルの融合活用
日本の製造業が抱える課題の1つは、“アナログ現場力”と“デジタル技術”のギャップです。
締結の管理も同様で、「全てをIoTで管理」と「全てを職人の勘で」の二項対立はもはや時代遅れです。
例えば
- IoTトルクレンチを導入し、誰でもデータで締結履歴を追える仕組みをつくる
- 従来の目視チェックとAI画像検査を組み合わせ、ダブルチェック体制を構築する
- 現場ヒヤリ・ハット情報を自動集約し、設計部門にもリアルタイムで共有する
といった“融合型”の発想で管理品質を底上げする時代です。
人財・教育という“最強の品質保証装置”を育てる
どんなにハードが進化しても、最終的には「人による作業・確認」が装置稼働を守っています。
現場作業者への定期的な教育、品質意識の醸成、正しい締結手順の標準化やマニュアル作成は、締結不良によるトラブルを最小限に抑える“最強の品質保証装置”です。
製造業は「装置の進化」+「人財の進化」が両輪となることで、新たな品質管理の地平線を切り拓くことができます。
まとめ:ジョイント部材の締結不良を“部材問題”にしないために
ジョイント部材の締結不良による装置停止は、現場の小さな油断やヒューマンエラーから発生しますが、現場・バイヤー・サプライヤーが共に課題を認識し、連携を強化することで未然防止が可能です。
価格・納期だけでなく「実際の使われ方」「管理しやすさ」までを含めた“現場起点”の選定・管理体制の確立が、強い製造力の土台になります。
昭和の現場力と最新技術の融合、人財教育の着実な推進で、締結不良ゼロの未来を目指しましょう。
この記事が、製造現場で実践に役立つ知恵となり、業界全体の品質と生産性向上に貢献できれば幸いです。