投稿日:2024年7月30日

サーミスタ(Thermistor)の選定と製造業での利用方法

サーミスタ(Thermistor)の基本原理と特性

サーミスタは、温度変化によって抵抗値が変わる半導体材料を利用した温度センサーの一種です。
その名称は「Thermal」+「Resistor」から来ており、基本的には温度を測定しやすくするための重要な電子部品です。
サーミスタには主に2種類の特性があります。

NTCサーミスタ(負の温度係数サーミスタ)

NTCサーミスタ(Negative Temperature Coefficient)は、温度が上昇するにつれて抵抗値が減少する特性を持ちます。
この特性により、温度の変動を高精度で捉えることが可能です。
NTCサーミスタは主に温度計測や温度制御、過熱保護などの用途に利用されます。

PTCサーミスタ(正の温度係数サーミスタ)

PTCサーミスタ(Positive Temperature Coefficient)は、温度が上昇するにつれて抵抗値が増加する特性を持ちます。
この特性を利用して、過電流保護や加熱素子の温度制御などの用途に使用されます。
PTCサーミスタは電力系の安定性を確保するための重要な要素となります。

サーミスタの選定基準

製造業において、サーミスタを選定する際にはいくつかの重要なポイントがあります。
以下では、用途に応じたサーミスタの選定基準について解説します。

動作温度範囲

サーミスタの動作温度範囲は、製品の使用環境に適応する必要があります。
高温域での利用が想定される場合は、耐熱性の高いサーミスタが求められます。
逆に低温域での利用が主となる場合には、低温特性が優れるものを選ぶことが重要です。

抵抗値と精度

使用する機器やシステムにおいて必要とされる抵抗値とその精度も考慮する必要があります。
高精度な温度計測が求められる場合には、抵抗値の変化が微細に捉えられるサーミスタが適しています。

応答速度

応答速度は、温度変化に対してどれだけ迅速にサーミスタが反応できるかを示す重要な要素です。
製造プロセスが高速な場合や、急激な温度変化に対応する必要がある場合には、応答速度が速いサーミスタが必要となります。

耐久性と信頼性

工業用途では、サーミスタの耐久性と信頼性も重要な選定基準です。
長期的に安定した性能を発揮し、メンテナンスや交換の頻度が低いものが理想です。

製造業でのサーミスタの具体的な利用方法

製造業におけるサーミスタの具体的な利用方法について、いくつかの事例を紹介します。

機械の温度監視

製造機械の温度監視は、機器の安全な動作とメンテナンスサイクルの管理において非常に重要です。
NTCサーミスタを利用することで、リアルタイムでの温度モニタリングが可能となり、異常な温度上昇を即座に検知して対策を講じることができます。

過熱保護

モーターや電子機器に使用されるケースでは、PTCサーミスタによる過熱保護が効果的です。
一定温度を超えると抵抗値が急激に上がり、回路の電流を制限して装置を保護します。
これにより、機器の故障や火災リスクを大幅に軽減することが可能です。

温度制御システム

温度制御が必要な製造プロセスにおいても、サーミスタは非常に有用です。
例えば、プラスチック成形やブレージング、食品加工などの分野では、精密な温度制御が求められます。
サーミスタを利用することで、リアルタイムでの温度モニタリングとフィードバック制御が可能となり、製品の品質向上に寄与します。

エネルギー管理システム

工場全体のエネルギー管理システムにおいても、サーミスタは有効です。
エネルギー効率を向上させるために、さまざまな機器の温度をモニタリングし、適切な温度範囲で稼働させることで、過剰なエネルギー消費を防ぎます。

最新のサーミスタ技術とその動向

技術の進歩により、サーミスタそのものやその利用方法も進化しています。
以下では最新技術とその動向について紹介します。

高温高耐久サーミスタ

最近では、従来のサーミスタよりもさらに高温域での使用に耐えられる新素材が開発されています。
これにより、より過酷な環境での温度監視が可能となり、特に石油化学や自動車製造などの分野での応用が期待されます。

センサーモジュールの高度化

サーミスタを内蔵したセンサーモジュール自体も進化しており、温度だけでなく湿度や圧力など、複数の環境パラメータを同時に計測できるタイプも登場しています。
これにより、工場内の総合的な環境モニタリングがより効率的に行えるようになっています。

IoTとの連携

IoT(Internet of Things)技術との連携も進んでいます。
サーミスタをネットワーク接続することで、遠隔地からリアルタイムで温度データを取得・解析することが可能になります。
これにより、異常検知や予知保全の精度が大幅に向上します。

低消費電力技術

省エネルギーが求められる現代において、低消費電力で動作するサーミスタ技術も開発されています。
これにより、バッテリー駆動の装置や無線センサー用のアプリケーションで、より長時間の使用が可能になります。

サーミスタの未来展望

以上で紹介した最新技術や動向により、サーミスタの応用範囲はますます広がっています。
特に、製造業においては品質管理や生産工程の自動化、効率化に不可欠な要素として今後ますます重視されるでしょう。

さらに、AI技術との融合により、予測モデルを用いた高度な温度管理が実現し、プロセスの最適化が進むことで、製造業界全体の競争力が向上すると期待されます。

サーミスタ技術は、未来の製造業においても、その発展に不可欠な要素です。
これからの進化に注目しつつ、現場での活用を推進していきましょう。

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