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投稿日:2026年1月12日

フィルターエレメント部材の材質選定が捕集精度を左右する理由

はじめに:フィルターエレメント部材の重要性とは

フィルターエレメントは、製造業におけるあらゆる分野で用いられる重要なコンポーネントです。

その主な役割は、流体中のゴミ・異物・微粒子などの不純物を効率的に除去することにあります。

空気ろ過、水処理、油ろ過、ガスろ過など、その用途は多岐にわたりますが、どの分野であっても「捕集精度」が求められます。

この捕集精度を大きく左右するのが、実は「エレメント部材の材質選定」なのです。

この記事では、現場目線から実用的な観点と、昭和的アナログ視点も交えつつ、なぜ材質選定がこれほどまでに重要なのか、その理由や背景について深く掘り下げていきます。

フィルターエレメントの基本構造と役割

フィルターエレメントとは何か

フィルターエレメントは、ろ過装置の“心臓部”とも言える部分です。

原料、部品、工具、機械など、工場内のあらゆる流体管理において、目に見える範囲からナノメートル級までの異物を除去する役割を担っています。

ダストフィルター、オイルフィルター、エアフィルター、水用フィルターなど、ラインナップは多岐にわたりますが、基本構造は「ろ材(フィルター材質)+補強体+骨材」から成り立っています。

この中でも、ろ材の性能・選定がフィルターの機能そのものを大きく左右します。

捕集精度(ろ過精度)とは

捕集精度とは、「どのサイズの異物まで取り除けるのか」を定量的に示す指標です。

たとえば、1ミクロン捕集精度であれば、粒子径1μm以上の異物を95%以上除去できる、などのように表示されることが多いです。

フィルターは、その捕集精度によって用途や必要とされる場所が決まってきます。

この精度は、ろ材の「目の細かさ」や「材質特性」によって大きく変動します。

捕集精度に直結する“材質”が持つ意味

材質=ろ過性能を決定づける“本丸”

フィルター材質は単なる“素材”ではありません。

どんな繊維あるいは粉体・メッシュをどのように配置し、どんな厚さや目開きで加工するかという「機能性素材」としての工夫が捕集精度の限界値を定めています。

たとえば、
・セルロース(わら・綿などの植物由来)
・ポリプロピレン(合成樹脂)
・ガラス繊維(無機素材)
・金属(ステンレス、合金等)
・不織布(混合素材)
これらは代表的なエレメント材質ですが、カットできる粒子径や化学的耐性、耐圧性能、耐久性が大きく異なります。

このため、用途や目的に応じて、最適な材質選定は不可欠です。

ろ材の微細構造が精度を生む

材質選定で見落としがちなのが、「素材の持つ微細構造」です。

本当に精密なフィルターでは、電子顕微鏡レベルで繊維や目開き具合の均一性や、形状安定性を管理して初めて高い捕集効率が出せます。

単純に目の細かさだけで決まると思われがちですが、素材自体の吸着特性や表面エネルギー、空隙率も精度に大きく影響します。

昭和的な感覚では「とにかく細かければ良い」でしたが、現代では“材質の科学的チューニング”が性能を分ける決定打になっています。

現場の“アナログ思考”が材質選定ミスを引き起こす

“なんとなく”の選定から脱却できない理由

長年工場の現場で感じる業界の風習として、「今まではこれを使ってきたから」という理由で材質選定が惰性的・保守的になりがちです。

昭和の高度成長期に作られた習慣や、前任者の経験則だけで材質が継承されているパターンが多く、そこには明確な性能根拠が不足しています。

たとえば、油圧機器のラインでは、従来通りのセルロースフィルターが選定されているが近年の微細な作動油管理対象粒子には不十分だった、というケースが頻繁に見られます。

コスト先行・納期優先の“本末転倒”

コストダウンや納期短縮だけを追いかけて、材質を“安価なモノ”で固定してしまうのも陥りやすい落とし穴です。

一見、安いフィルターでも、捕集精度が低ければラインのダウンタイムや機械故障トラブルが頻発し、結局は生産コスト全体を押し上げる結果になりかねません。

また、納期や在庫の都合だけで手に入る材質に“妥協”してしまえば、それは信頼性低下、品質事故、リコールなどを招く“危険な橋”となります。

用途別・主要な材質とその選定ポイント

セルロース系:コスト重視・粗ろ過向け

セルロースは比較的に安価で、粗大な異物を効率よく除去したい場合に選定される素材です。

しかし、粒子径が細かい捕集には適さず、水分を吸収しやすく耐薬品性も低い点に留意が必要です。

焼結されたセルロースろ材は、主に古い設備や無害流体のろ過など、限定されたシチュエーションで使われています。

合成樹脂系(PP、PE不織布):耐薬品性・微細捕集

ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などの合成樹脂系ろ材は優れた耐薬品性があり、クリーン度や衛生度が求められる分野に強みを発揮します。

不織布は自由な繊維設計が可能で、ナノレベルの微細構造を持たせることも可能です。

空気清浄分野、食品飲料分野、医薬用など幅広く採用されています。

ガラス繊維:超精密用途・高捕集効率

ガラス繊維フィルターは、極めて高い捕集精度と耐熱性を持ち、クリーンブースや半導体、高純度薬品向けの最前線で活用されています。

微粒子捕集においては、合成繊維が太刀打ちできないレベルの微細孔径を均一に管理できますが、その分コストも高く、取り扱いも慎重さが問われます。

金属系(ステンレスメッシュなど):高温・高圧・高耐久

金属ろ材は高温流体、高圧ライン、または溶剤など化学的に過酷な現場に向いています。

また洗浄・再生利用が可能なため、ランニングコストが抑えやすいという特徴もあります。

目の粗い用途から精密用途まで、プレスや焼結技術の進化で適用範囲が拡大しています。

バイヤー・サプライヤーが押さえるべき材質選定の最適解

現場ヒアリングから課題を“見える化”せよ

バイヤーやサプライヤーがフィルター材質の最適選定をしたいなら、まず現場の“本質的な課題”を徹底的にヒアリングすることです。

「何を、どのレベルで、どんな頻度で捕集する必要があるか?」
「ろ過後の流体でトラブルが起きる最大要因は何か?」
「過去にろ過トラブルを起こした条件・履歴は?」
これらを深く掘り下げなければ、理想的な材質選定はできません。

机上のカタログスペックだけでなく、実運用のデータや過去の失敗事例など“現場ファクト”が宝の山です。

実際のラインテストと“ラテラルシンキング”の重要性

現代の製造業バイヤー・サプライヤーには、発想の飛躍と現場実験の両立が求められています。

時には「今までと違う材質を使ってみる」「ラインの一部をテストベッド化して検証する」など、固定観念から脱却する勇気が新たな価値を生み出します。

トラブルが起きてから材質選定を見直すのではなく、小さな失敗・実験・データ蓄積からベストな選択肢をラテラルシンキング(横断的思考)で組み立てることが差別化のカギです。

これからの材質選定が現場の未来を変える

フィルターエレメントの材質選定一つで、工場の品質保証体制や設備寿命、維持費用、生産性は大きく変わります。

昭和的な保守継承だけでなく、現場から“素材に目を向ける新たな知見”を得て、バイヤー・サプライヤー・現場担当が三位一体でベストを追究してこそ、日本の製造業は真の競争力を維持できます。

“材質選定”とは、単なるパーツのチョイスではありません。

捕集精度の極限、すなわち新しいクオリティの地平線を切り拓く第一歩です。

これからも現場で実践し、進化するフィルター選定を通じて、より強いものづくり現場を創り上げていきましょう。

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