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純正部材と互換部材の選定で失敗しやすいポイント

目次
はじめに:製造業における「純正部材」と「互換部材」選定の重要性
製造業で部材を選定する際、「純正部材」と「互換部材」のどちらを採用するかは多くの現場で悩ましいテーマです。
調達コスト、品質リスク、納期、顧客からの要求、トレーサビリティ、場合によっては経営方針にまで関わる課題です。
本記事では、筆者が20年以上にわたり大手製造業メーカーの現場・管理職として経験してきた実例や、日本独特の「アナログ」な商習慣、そして現場目線も交えながら、部材選定で“失敗しやすいポイント”を掘り下げます。
また、バイヤーを目指す方やサプライヤー目線でバイヤーの思考を知りたい方にも、実践的な知識やラテラルな考え方をお届けします。
純正部材と互換部材、それぞれの定義と違い
純正部材とは何か
純正部材とは、完成品メーカーやシステムメーカーが推奨・保証しているオリジナル部材です。
設計段階での適合性検証や品質保証がなされており、製品マニュアルや仕様書にも明記されていることがほとんどです。
例えば、トヨタの自動車に使うトヨタ純正のオイルフィルター、シーメンスのPLCに対してシーメンス純正モジュールなどが該当します。
品質と安全性、保証制度が確かでリスクも最小限ですが、その分価格は高めになる傾向が強いです。
互換部材とは何か
一方、互換部材は汎用品やサードパーティー製部材、型番互換品などが該当します。
純正部材と同じ寸法・機能を持つ設計となっていますが、メーカーや製造過程が違うため、純正と比べて価格メリットが大きいのが特徴です。
特にコストが厳しい量産品や納期短縮が求められる案件では選択肢とされることも多いですが、品質リスクや保証問題が付きまといます。
部材選定で失敗しがちな3つの本質的ポイント
1. 「コスト最優先」の安易な互換化による潜在リスク
互換部材の最大の魅力はやはりコスト削減です。
しかし「単価が安いから」という安易な理由だけで互換品を採用すると、思わぬ落とし穴にはまることがあります。
現場の声を挙げると、輸送中の小さな不良・バラツキが発生しやすく、結果的に不良率が上がり『修理・リコールコスト』として高くつく場合があります。
特に生産ラインが24時間稼働している現場では、部品の小さな不良でライン停止・納期遅延につながるケースもあります。
品質異常のトリガーが発生した時、「安さ」に対するガードが低く、バイヤー自身や現場担当者が責任追及されがちです。
2. 不明瞭なトレーサビリティと保証リスク
昭和から続くアナログ業界では「使い勝手」「慣習」で部材を流用する場面がよくあります。
しかしサプライチェーン全体で俯瞰すると、互換品は“どこで造られて”“どんな品質管理を受けているか”が不明瞭になりがちです。
納入後、何か問題が発生したとき「その互換部材が原因だったのか」を証明できないと、顧客の信頼喪失、責任の押し付け合い、最悪の場合全数リコールに繋がります。
さらに、ISO認証やIATF認証を重要視する最近の産業界では、メーカー純正以外は原則NGとされる事例も多く、「なぜ純正ではなかった?」という問いに明確な説明が求められます。
3. 「設計者の意図」と「調達部門の意図」のずれ
製造業では、設計者・技術部門と、調達・購買部門との間で部材選定プロセスにギャップが生じがちです。
設計者は「安全率」や「稼働安定性」を重んじ、純正品を推奨しますが、現場調達部門は「いかに安く早く手配できるか」というKPIが優先されがちです。
この“社内の意図ズレ”を放置すると、最終的に上層部のハンコだけで互換品採用が決まり、トラブル発生時には責任の所在が不明確になります。
実際に「設計部は承認していなかった」「調達の独断だった」というケースも珍しくありません。
ラテラルシンキングで考える部材選定の新たな地平線
部材調達の“目的思考”へシフトする
コスト削減や納期短縮、社内KPI達成だけでなく、「本来なぜこの部材を選定するのか?」という原点に立ち返ることが重要です。
なぜなら、最終製品の完成度や納品後のトラブル発生率を左右するのは、“目の前の安さや便利さ”ではなく、「信頼性」と「現場での安定稼働」だからです。
バイヤーは品目の知識だけでなく、生産工程・顧客ニーズまで理解し、「安い互換品を入れて自分だけが得をする」ではなく「全体最適」を追求する視点が求められています。
サプライヤーは“バイヤーの経営課題”を知るべき
互換部材を提案するサプライヤーも、「価格勝負だけで関係作り」という昭和的なスタンスを変えるべきです。
「なぜこの互換品が現場で真に役立つのか」「過去のトラブル事例やフィールドテストの実績」など、バイヤーが説明責任を果たす上で助けとなる一次情報を惜しまず提供すべきです。
またトレーサビリティや品質証明書を積極開示する、純正部材との相違点・留意点までカバーした提案を行うなど、顧客バイヤーのリスク分散をサポートしましょう。
「データ共有」と「現場フィードバック」で両者の信頼関係を築く
現代ではIoTやデータロガーの普及によって、「現場で部材にどんな課題が起きているのか」を可視化しやすくなっています。
納入先の工場現場と定期的にフィードバックの場を設け、「純正⇄互換」切替の経験値をサプライヤー・バイヤー双方が横展開する仕組みを構築しましょう。
現場データを共通言語とすることで、曖昧な責任転嫁を回避し、将来的な安定サプライチェーン構築に繋がります。
失敗しないためのガイドライン:現場目線でのポイント整理
1. まずは設計図書・マニュアルの“要件定義”を精査
部材選定の前提として、「製品が要求している機能・品質の本質」を明確にしましょう。
量産品であれば「どの程度の強度&安全率を求められているか、短納期需要だけでカバーできるか」等を分析することです。
さらに「想定外トラブル発生後の対応フロー」まで決めておくと、失敗した場合でも迅速な切り替えが可能になります。
2. 製造現場のヒアリングを徹底する
調達担当やバイヤーは、現場作業者やメンテナンス部門の“声”を聞くことが大切です。
実際に「この部品は現場作業者の間でも純正しかダメという暗黙のルールがある」「互換品利用時にちょっとしたコツがいる」など、机上だけでは見えないノウハウや知恵が埋もれていることが多いです。
現場ヒアリングをもとに、全員が納得できる選定フローをつくることが大切です。
3. 品質検査の実施と“試用運用”をはさむ
互換部材を採用する場合には、いきなり全数で切り替えず、まずは限られた範囲で現場テストを実施し、安定性や加工歩留まりをデータで検証しましょう。
さらに、その際の不具合やトラブルのフィードバックを次の発注判断に必ず活用することで、リスクを実質的に下げます。
4. 責任範囲とリスク分担を事前に明確にする
万が一問題が起きても大丈夫なように、「誰がどこまで責任を持つか」「不具合発生時の対応フロー」を合意形成しておきましょう。
サプライヤー、バイヤー、製造現場、設計部門、それぞれの専門性を尊重し、連携プレーでトラブルシュートする文化を育てます。
まとめ:製造業発展のために現場“知”と仕組み化の両輪を
純正部材・互換部材の選定は、コスト面だけでなく品質や顧客満足、生産効率、さらには自社の信用問題にまで直結する重いテーマです。
製造業の現場で蓄積された「現場知」を大切にしつつ、今後は“データ”や“仕組み化”を駆使して、曖昧なアナログ選定からの脱却を目指しましょう。
バイヤーを目指す方は、単なる価格比較だけでなく「原理原則を深く掘り下げる力」と「現場の声を拾う謙虚さ」を意識してください。
サプライヤーの方は、バイヤーが抱える全体最適への葛藤を知り、信頼される提案者となることを心掛けてください。
製造業の進化、そして“働くすべての人の幸せ”のために、部材選定を通じて新たな価値創造の一助となれば幸いです。
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