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投稿日:2026年1月20日

ISO 27001を製造業で取得する意味|情報漏洩リスクへの現実的対策

はじめに:なぜ今、製造業にISO 27001が求められるのか

製造業と聞くと、つい「現場力」や「品質管理」「コスト削減」といったキーワードが連想されます。

しかし、令和の時代に入り、製造業の在り方は大きく変化しています。

顧客のニーズの多様化、サプライチェーンの複雑化、IoTやDX(デジタルトランスフォーメーション)の急速な導入など、伝統的なアナログ文化が根強く残る中でも「情報セキュリティの重要性」がこれまで以上に叫ばれるようになりました。

こうした環境変化の中、特に「ISO 27001(情報セキュリティマネジメントシステム)」の取得を重視する製造業の企業が年々増えています。

なぜ今、ISO 27001が製造業でも取得すべき認証なのか。

本記事では製造業のバイヤー、サプライヤー、工場管理職など現場のリアルな視点から、ISO 27001取得の背景、メリット、実践的なポイントについて詳しく解説します。

ISO 27001とは?製造業における意味と認証の概要

そもそもISO 27001とは何か

ISO 27001とは、国際標準化機構(ISO)が発行する「情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)」の国際規格です。

顧客情報、図面データ、契約情報、試作ノウハウなど、様々な機密情報の「機密性・完全性・可用性」をバランスよく管理し、「情報漏洩」「サイバー攻撃」「不正アクセス」「データ消失」などのリスクを最小限に抑える仕組みを会社全体で運用することが求められます。

情報セキュリティと聞くとIT業界や金融業界の話と思われがちですが、モノづくり業界でも近年は図面データの外部やクラウド保存、海外とのやり取り、外部パートナーとの情報共有、さらにはスマートファクトリー推進によるネットワーク機器の拡大など、「情報」が製品価値に直結する時代が到来しています。

昭和型“モノ”から令和型“情報”への転換

昭和の製造業では「生産効率」「人海戦術」「現場主義」が絶対の正義でした。

しかし、令和時代の製造業は「製品」そのものよりも、「情報の安全性」や「知的財産の保護」が重視されています。

たとえば、自動車部品メーカーや精密機器メーカーでは、設計図面や製造レシピが外部に漏洩するだけで巨額の損失や信用失墜につながります。

一方で、紙での現場管理や口頭伝承が今も残る伝統的な現場も多く、「うちには関係ない」と思っている経営者もいるかもしれません。

しかし、業界を問わず、もはや「情報セキュリティ」は経営戦略の一部です。

ISO 27001を取得すべき3つの現実的理由

1. サプライチェーン全体で求められる“信頼の証”

ここ数年、購買部門やバイヤーの間で「サプライヤーがISO 27001を取得しているか」は重要な選定基準となっています。

部品の発注先であるサプライヤーに図面や試作情報を送る際、セキュリティが担保されていなければ、最悪の場合サプライチェーン全体が機能不全に陥ります。

特に大手自動車メーカーやエレクトロニクスメーカーほど、調達購買の条件に「ISMS認証取得」を明記し、達成していない企業は新規案件から排除されることすらあります。

これは欧米のみならず、国内大手でも今や“当たり前”の動きになっています。

2. 増加するサイバー攻撃と内部不正への現実的リスク対策

近年、製造業を標的にしたサイバー攻撃やランサムウェア、また内部でのUSB持ち出しやSNSでの情報拡散など、「アナログ」に強い現場ほどセキュリティリスクが高くなっています。

現場担当者が悪意なく機密情報を持ち出し、それが外部流出につながる。

こうした「ヒューマンエラー」さえも管理・予防できる体制構築として、ISO 27001取得を促進する企業が増加しています。

3. 昭和的アナログ慣習からの“DX”への転換点

多くの中堅・中小メーカーでは「現場の紙文化」「クラウドアレルギー」「グループウェア未導入」など、昭和型オペレーションが根付いています。

ISO 27001の取得プロセス自体が、単に認証ラベルを得るだけでなく、「現場の業務フロー見直し」「ITインフラの刷新」「従業員マインドの入れ替え」といった、DX化の入口になるというメリットも見逃せません。

製造現場に残る“アナログ文化”への、適切なデジタル統制導入の第一歩としても有効です。

製造業現場でのISO 27001実践:具体的対策と運用ポイント

マニュアル主義に陥らない、現場に根付く運用

ISO 27001を取得する際、管理職や品質保証部門が作成した規程や手順書はつい“お飾り”になりがちです。

しかし、製造現場で本当に効果があるのは「どうやって日常の業務フローで運用するか」です。

例えば、設計部門のパソコンにUSBポートからの書き込み制限を設定したり、図面出力は電子化してアクセス権を制御するなど、「現場×実務」の視点で制度設計をすることが不可欠です。

また、誰かが長期休暇を取ったり退職した際も、アカウント停止や資料削除のフローがきちんと定義されていれば、「属人化リスク」も大幅に減らせます。

“人”への投資こそ最大のリスクマネジメント

意外と見落とされるのは人的リスクです。

ベテラン社員が「機密情報を無意識にベンダーや外部業者に口外する」「客先訪問時に紙の設計図を置き忘れる」「安易にパスワードを付箋にメモして机につけている」など、古き良き製造現場には“アナログならでは”の落とし穴があります。

ISO 27001では、従業員教育や内部監査の実施が必須です。

「定期的なセキュリティ研修」「現場でのヒヤリハット共有会」など、ルーティン化が重要です。

「人は間違える」「ミスは必ず発生する」という前提で、シンプルかつ再現性のあるルール設計を目指しましょう。

ITインフラ刷新とクラウド活用のポイント

クラウド導入がDX推進の第一歩となる場合が多いですが、クラウド事業者のセキュリティ基準もチェックが重要です。

大手クラウドサービスの選定時は「ISO 27001対応済か」「認証範囲が設計データ保管までカバーされているか」など、バイヤー目線でも確認すべきポイントです。

ネットワーク分離、マルウェア対策ソフト、情報アクセスのログ記録など、IT担当者だけに任せず「現場目線」の運用負担を減らす工夫が欠かせません。

取得によるメリットと“昭和アナログ”現場が乗り越えるべき課題

サプライヤー・バイヤー相互に生まれる安心感

業界によっては、バイヤー企業から「ISO 27001取得の有無」が取引継続や新規発注の前提条件となるケースも増えています。

サプライヤーとして取得していることは、「安心して図面データや技術情報を預けられる」という信頼構築につながり、ひいては価格競争力に勝る強力な営業ツールともなり得ます。

一方、バイヤー側としても「漏洩リスクを低減できる仕組みを持つサプライヤー」への切り替えは、自社ブランドや顧客企業への説明責任でも大きなメリットとなります。

“昭和的”抵抗勢力とどう向き合うか

アナログ文化が根強い現場では、新しい仕組みを「面倒」「不要な仕事」と感じる層も少なくありません。

その反発を乗り越えるには「現場意見の吸い上げ」と「現実的なルール簡素化」が肝心です。

「情報流出=自社の利益や雇用リスクになる」という“自分ごと化”を進めることで、トップダウン×ボトムアップ両輪の推進が必要です。

取得はゴールではなく、スタートライン

ISO 27001取得後も、運用改善と習熟のためのPDCAが不可欠です。

取得が目的化せず、「現場で本当に使える運用こそが価値」であることを意識しましょう。

定期的な内部監査や改善提案のフィードバックを通じて、「活きた認証」にアップデートすることが重要です。

まとめ:ISO 27001導入で開ける製造業の新たな地平線

もはや製造業は、昭和的な“ヒト・モノ”に頼るだけの現場力では事業が成り立たない時代です。

「情報の守り」は「会社の守り」、ひいては取引先・従業員・社会の“信頼”を守ることと直結します。

ISO 27001を取得することは、「先進的な企業体質」「サプライチェーン全体の信頼」「内部リスク対策とDX化入口」の全ての側面で、製造業の新しい武器となります。

アナログ文化に甘んじるのではなく、現場に根付いた運用・人材教育・IT活用を地道に進めること。

これこそが“情報漏洩リスク”を現実的に低減し、業界の進化と事業継続を実現する最善のアプローチとなるのです。

「うちには関係ない」と言われた頃から一歩先へ、製造業の発展を共に切り拓いていきましょう。

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