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投稿日:2026年1月25日

IoT遠隔監視のデータを誰が見るのか決まらない問題

はじめに ― IoT遠隔監視データ活用の現場課題とは

IoT遠隔監視は、製造業のみならず、さまざまな分野でその有効性が語られています。
特に少子高齢化による人手不足や、働き方改革により、現場に「いないで管理する」ことが求められています。
しかし、いざIoTを導入し膨大なデータが集まったとしても、「そのデータを誰が、どのタイミングで、どのように見て、どう判断し、何を実行するのか」が明確でないケースが実に多くみられます。

この記事では、20年以上製造業現場に携わった経験と、最新の業界動向を踏まえつつ、「IoT遠隔監視のデータを誰が見るのか決まらない問題」について、実践的かつ戦略的に掘り下げていきます。

IoT導入で高性能センシングは実現、だが…

データは集まるが“宝の持ち腐れ”状態

多くの工場やサプライチェーンで、生産設備・計測機器・輸送車両などがIoT化されており、秒単位で膨大なデータが自動的に収集されています。
稼働状況・温度・湿度・振動・消費電力量など、従来は目視や紙の帳票で管理していた値が「見える化」されています。

ところが、現場からよく聞こえてくるのは「結局、このデータ、誰がいつ見るのか」「データ活用の具体的な運用ルールが決まっていない」という嘆きです。

昭和的アナログ現場文化の壁

昭和から続く製造業現場では、「五感を使って現場を回る」「勘と経験で異常を察知する」といったアナログ文化が根強く残っています。
デジタルデータによって工場の状況が遠隔で把握できると言われても、管理職やベテラン作業者は従来通り「現地現物主義」にこだわる傾向が根強いです。

このギャップが、IoTデータの運用ルール設計を曖昧にし、「担当不明」「見る必要があるのかわからない」などの責任の所在不明状態を助長しています。

なぜ“誰が見るか”決められないのか?現場目線で徹底解剖

1. 責任分担の曖昧さ

IoT遠隔監視という新しい仕組みを導入する際、システム側・購買側・生産管理側・現場作業者側・保全担当者側と、複数の部門がかかわります。
誰が主導権をもつべきか、各データポイントに対して“責任をもって都度確認する担当者”を割り振るのが非常に難しいのです。
日本の多くの組織では「横並び」や「前例主義」が強く、明確な担当決めを避ける傾向にあります。

2. データ意味の理解不足

収集されたIoTデータが“何を意味し、どんなリスクを示唆しているのか”を、現場メンバー全員が共通認識できていないケースが多いです。
「データアラートは鳴ったけど、その数値が本当に危ないのかは分からない」「現地で目視したほうが早い」といった心理的障壁も根強いです。

3. データの量と頻度の負担感

IoTの利点は細かくデータを取れることですが、それだけ「ずっと見ていなければならないのか」というプレッシャーも発生します。
1時間ごとにアラートメールがくるような設定にすると現場は疲弊し、逆に「どうせ大丈夫だろう」と無視されてしまう場合も珍しくありません。

IoTデータ“見るべき人”の選定はどう進めるべきか?

1. データ項目ごとに“責任者”を細かく設定する

機器の異常監視、品質トレンドのモニタリング、生産状況の予測など、IoTで取得するデータ項目の目的を棚卸しし、
「このデータは、A課長が毎朝確認する」「温度異常アラートが出たら、保全係が30分以内にチェック」というように、
”誰が、何を、いつ、どのように見るのか”を運用マニュアルとして明文化すべきです。

2. データの活用価値を現場×管理職で共通認識に

「データで現場異常の早期発見」「遠隔地からでも即対応できる」「勘や経験だけに頼らず事実ベースで判断」といった”導入目的”をしっかり全体周知しましょう。
現場・管理職・経営層まで巻き込んで、実際にIoTデータから対応アクションが生まれた好事例を共有することで、役割の納得感が生まれます。

3. “見過ぎ”の弊害を防ぐ運用設計も重要

全データ・全アラートに人手で目を通すのは現実的ではありません。
重要度や緊急度をデータごとにランク付けし、「主要指標のみ定期巡回」「異常時だけエスカレーションする自動仕組み」など、
人の手間が膨大になりすぎない運用を心掛けましょう。

実践的事例 培った現場知見を活かした“見る”体制設計例

某自動車部品メーカーの事例

生産設備の振動・温度センサーをIoT化した現場では、最初の数ヶ月は、
「担当者がこまめにWeb画面を見るはず」「異常値はメール通知ですぐ対応できるだろう」
という”性善説的運用”でスタート。

しかし半年後には「誰も見ていなかった」「大量メールで見逃した」「機器の故障が長期化」という事態が発生。

そこで下記のように運用ルールを再設計しました。

– データ項目ごとに、工場長・課長・保全係の三階層で“見る”役割を分担
– 日常監視は自動化し、異常閾値超えのみ現場保全係へ
– 月例データ分析は工場長と品質管理課で会議化し「目視では発見できない微小な変化」をレビュー

結果として、「見ること」自体が現場の多重チェックとして機能し、不良率低減にも繋がりました。

サプライヤー・バイヤーの関係から見える「見る」ことの重要性

バイヤーはサプライヤーの現場情報も“見たい”時代に

近年では、スマートファクトリー化によりサプライヤーの品質や納期リスクもリアルタイムで可視化・共有したいというバイヤー側ニーズが高まっています。
仕入れ先の稼働状況・品質傾向の一部データをバイヤー側と共有することも増えてきました。

サプライヤー側は見られる前提で“見せ方”設計が必要

「見せたくない」「責任を取れない」という姿勢だと今後は選ばれなくなるリスクもあります。
「これを見せれば、バイヤーも安心する」「ここまで見せて良い」と線を引きつつ、相互にデータを“見る=共通言語化”していくことが
新時代の顧客関係構築には必要不可欠です。

IoT遠隔監視データ、“見るべき人”こそが現場力の源泉

IoT化は単なる技術導入ではなく、「データから“誰が責任を持って気づき、判断し、具体的なアクションを起こす”か」が現場力の真価となります。

現場作業者・保全係・生産管理・品質保証・経営層、それぞれの業務特性や権限に応じてベストな“見る”体制を作ること。
そして単なる監視で終わらせず、「見たデータから行動し、価値創造に繋げる」ことが真のIoT活用です。

まとめ ― 昭和的現場文化から、データ駆動型現場へ

IoT遠隔監視で「誰が見るのか決まらない」という課題は、日本の製造業にまだまだ根強く残る“役割曖昧主義”とアナログ文化の副産物です。

データを見る責任者を細かく決める。
見るべきデータを無理なく絞る。
見たあとにどうアクションするかをマニュアル化する。
サプライヤー・バイヤーで“見せる=見られる”文化をしっかり根付かせる。

これらの地道な運用が、現場の発展・製造業全体の競争力強化につながります。

現場で働く皆さん、ぜひ“誰が見るか問題”を自分ごととして捉え、IoTデータから新たな価値創造にチャレンジしていきましょう。

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