投稿日:2024年9月20日

超音波加工とレーザー加工の違い

超音波加工とレーザー加工の違い

製造業における加工技術は日進月歩で進化しています。
その中でも注目される技術として、「超音波加工」と「レーザー加工」があります。
これらの技術は、それぞれ独自の特性を持ち、用途やメリットが異なるため、理解しておくことが現場での選択に役立ちます。

本記事では、超音波加工とレーザー加工の基本的な特徴や、それぞれのメリット・デメリット、そして具体的な適用例について詳しく解説します。

超音波加工の基本原理と特徴

超音波加工は、工具が超音波振動することで材料に切削や穴あけなどの加工を行う技術です。

超音波加工の仕組み

超音波加工では、工具が高速で微細な振動(一般的には20kHz以上)を行い、この振動エネルギーを材料に伝えることで加工が行われます。
この振動により、工具と材料の間に極めて高い接触圧が生じ、材料が微細に破砕されます。
また、潤滑液や研削材を併用することで、切屑の洗浄や冷却効果も得られます。

超音波加工のメリット

超音波加工にはいくつかのメリットがあります。

  • 高硬度材料の加工が可能:ダイヤモンドやセラミックスなど、非常に硬い材料も超音波加工ならば加工が容易です。
  • 微細加工が得意:非常に小さな穴や微細な形状の加工に対応できます。
  • 熱の影響が少ない:加工時の発熱が少なく、材料の熱変形や硬さの変化がありません。

超音波加工のデメリット

一方、超音波加工には以下のようなデメリットも存在します。

  • 加工速度が遅い:振動を利用した加工ゆえに、一般的な切削加工と比べると加工速度が劣ります。
  • 振動装置のコスト:高精度な振動装置が必要であり、その導入コストが高いです。

超音波加工の適用例

超音波加工の具体的な適用例としては以下のようなものがあります。

  • 硬度が高いセラミックやガラスの微細穴あけ
  • インジェクションモルド金型の微細加工
  • 高精度部品の製造

レーザー加工の基本原理と特徴

レーザー加工は、高出力のレーザー光を用いて材料を蒸発させたり凝固させることで加工を行う技術です。

レーザー加工の仕組み

レーザー加工では、レーザー光が材料に照射され、その高エネルギーにより局所的に材料が加熱されます。
この加熱により、材料が蒸発したり溶解したりして、切削や穴あけ、溶接などが行われます。
レーザー光は非常に細かく集中されるため、極めて高精度な加工が可能です。

レーザー加工のメリット

レーザー加工には次のようなメリットがあります。

  • 高精度:細かな光束により、非常に高い精度で加工が可能です。
  • 非接触加工:工具が直接材料に接触しないため、摩耗や変形が無く、材料の表面が滑らかです。
  • 柔軟性:金属、プラスチック、木材、セラミックスなど、さまざまな材料に対応できます。

レーザー加工のデメリット

一方、レーザー加工には以下のデメリットも存在します。

  • 初期投資が高い:レーザー装置の導入には高額な費用がかかります。
  • 材料特性の変化:高温で加工するため、材料の物性が変化することがあります。
  • 安全管理の必要性:高エネルギーのレーザーを扱うため、安全管理が厳格に求められます。

レーザー加工の適用例

レーザー加工の適用例には次のようなものがあります。

  • 金属薄板の切断
  • 電子部品や光学部品の微細加工
  • 3Dプリンティングでの積層造形
  • 彫刻やマーキング

超音波加工とレーザー加工の比較

それぞれの基本情報を理解した上で、超音波加工とレーザー加工をいくつかの要素で比較してみましょう。

適用材料の範囲

超音波加工は特に高硬度材料の加工に優れています。
一方、レーザー加工は金属から非金属まで幅広い材料に対応できます。
しかし、熱の影響が出やすい素材の場合は、レーザー加工よりも超音波加工が適しています。

加工精度

加工精度の観点ではどちらも非常に高精度であると言えますが、極微細な加工に関しては超音波加工の方がわずかに優れています。
とはいえ、レーザー加工でも十分な微細加工が可能であるため、用途に応じて使い分けることが重要です。

加工速度とコスト

レーザー加工は一般的に加工速度が速く、生産性が高いです。
しかし、導入コストが非常に高いという点があります。
超音波加工は速度が遅めでありながらも高硬度材料の加工が可能であるため、特定のニーズに応じたコストパフォーマンスが求められます。

最新技術の動向

現代の製造業では、技術の進化が非常に速く、超音波加工やレーザー加工も例外ではありません。
ここでは最新の技術動向について紹介します。

超音波加工の進化

超音波加工技術では、より高周波数の振動を利用した加工や、ナノレベルでの精度向上が進行中です。
これにより、さらに微細な加工や、新たな材料への対応が可能となっています。
例えば、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)の製造に応用されています。

レーザー加工の進化

レーザー加工技術では、ファイバーレーザーの導入が進んでいます。
これは従来のCO2レーザーと比べてエネルギー効率が高く、維持費が低いのが特徴です。
また、3Dプリンティング技術とも結びつき、複雑な形状の造形が可能となり、航空宇宙や医療分野での応用が広がっています。

まとめ

超音波加工とレーザー加工は、それぞれ独自の特徴と強みを持った加工技術です。
どちらの技術を選ぶかは、加工対象の材料、求められる精度、コストなどによって異なります。
また、最新の技術動向を押さえていることが、製造現場での最適な選択を助けます。
本記事が、皆様の製造業の現場で有効な技術選定の一助となれば幸いです。

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