投稿日:2024年5月8日

製造業におけるサーキュラーエコノミー:調達購買部門の役割と取り組み事例

サーキュラーエコノミー(循環型経済)への転換が世界的に進む中、製造業においても資源の有効活用や廃棄物の削減が重要な課題となっています。
その中でも、調達購買部門は原材料の調達からサプライチェーン全体の管理まで幅広い役割を担っており、サーキュラーエコノミーの実現に向けて大きな影響力を持っています。
本記事では、製造業におけるサーキュラーエコノミーの概要と、調達購買部門の役割や取り組み事例について詳しく解説します。

サーキュラーエコノミーとは

サーキュラーエコノミーとは、資源を可能な限り長く循環させ、廃棄物の発生を最小限に抑える経済モデルです。
従来の線形経済(リニアエコノミー)では、資源を採掘し、製品を製造・販売・使用した後に廃棄するという一方通行の流れでしたが、サーキュラーエコノミーでは、製品を長く使用し、修理・再利用・リサイクルすることで資源を循環させます。
これにより、資源の枯渇や環境負荷を低減し、持続可能な社会の実現を目指します。

 

製造業におけるサーキュラーエコノミーの重要性

製造業は、原材料の調達から製品の製造、販売、使用、廃棄に至るまで、サプライチェーン全体に関わる産業です。
そのため、製造業がサーキュラーエコノミーを推進することは、資源の有効活用や廃棄物の削減、環境負荷の低減に大きく貢献します。
また、サーキュラーエコノミーへの取り組みは、企業の社会的責任(CSR)や環境・社会・ガバナンス(ESG)の観点からも重要であり、投資家や消費者からの評価につながります。

 

調達購買部門の役割

製造業におけるサーキュラーエコノミーの推進において、調達購買部門は重要な役割を担っています。
調達購買部門は、原材料や部品の調達、サプライヤーの選定・管理、コスト管理など、サプライチェーンの上流に位置する部門です。
サーキュラーエコノミーの観点から、調達購買部門には以下のような役割が求められます。

 

1. 持続可能な原材料の調達
再生可能資源や再生材料の利用、環境負荷の少ない原材料の選択など、持続可能な原材料の調達を推進する。

2. サプライヤーとの協働
サプライヤーと協力して、環境負荷の低減や資源の有効活用に取り組む。
サプライヤーの環境マネジメントシステムの評価や、環境配慮設計の導入支援など。

3. グリーン調達の推進
環境負荷の少ない製品・サービスの調達(グリーン調達)を推進し、サプライチェーン全体の環境パフォーマンスを向上させる。

4. サプライチェーンの可視化
原材料の調達から製品の廃棄に至るまでのサプライチェーン全体を可視化し、環境負荷やリスクを把握・管理する。

 

取り組み事例

製造業における調達購買部門のサーキュラーエコノミーへの取り組み事例を紹介します。

 

事例1:トヨタ自動車

トヨタ自動車は、「Toyota Environmental Challenge 2050」の一環として、調達におけるサーキュラーエコノミーの推進に取り組んでいます。
再生可能資源や再生材料の利用拡大、サプライヤーとの協働による環境負荷の低減、グリーン調達ガイドラインの策定などを進めています。
また、ブロックチェーン技術を活用したサプライチェーンの可視化にも取り組んでおり、原材料の調達から車両の製造、使用、廃棄に至るまでのサプライチェーン全体の環境負荷やリスクを管理しています。

 

事例2:パナソニック

パナソニックは、サーキュラーエコノミーの実現に向けて、調達購買部門を中心とした取り組みを進めています。
グリーン調達基準の策定や、サプライヤーとの協働による環境負荷の低減、再生材料の利用拡大などに取り組んでいます。
また、製品の長寿命化やリサイクル性の向上にも注力しており、製品設計段階から調達購買部門が関与することで、サーキュラーエコノミーの観点を製品開発に反映させています。

 

事例3:リコー

リコーは、サーキュラーエコノミーの実現に向けて、調達購買部門が中心となって取り組みを進めています。
サプライヤーとの協働による環境負荷の低減、再生材料の利用拡大、グリーン調達の推進などに取り組んでいます。
また、製品のリユース・リサイクルシステムの構築にも注力しており、使用済み製品の回収・再利用・リサイクルを推進することで、資源の循環を促進しています。

 

製造業におけるサーキュラーエコノミーの実現には、調達購買部門の役割が非常に重要です。
持続可能な原材料の調達、サプライヤーとの協働、グリーン調達の推進、サプライチェーンの可視化など、調達購買部門が主導的に取り組むことで、製造業全体のサーキュラーエコノミーへの転換を加速させることができます。
今後、製造業がサーキュラーエコノミーを推進していくためには、調達購買部門の積極的な関与が不可欠であり、経営層からの支援や社内の連携強化も必要です。
サーキュラーエコノミーは、持続可能な社会の実現に向けた重要な鍵であり、製造業の調達購買部門がその推進力となることが期待されています。

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