投稿日:2024年12月31日

はんだ接合部の欠陥モードと良否判定基準

はんだ接合部の重要性と役割

はんだ接合は電子部品を基板に取り付ける際の重要なプロセスであり、接合部の品質が製品全体の性能や信頼性に大きく影響します。
接合部の役割は、電気的な接続を確保することはもちろん、機械的な強度を持たせ、外部環境からの影響を軽減することです。

はんだ接合部がしっかりと構築されていることで、長期間にわたって安定した性能が保証されます。
そのため、製造プロセスでは欠陥の発生を最小限に抑えるための厳しい管理が求められます。

はんだ接合部の主な欠陥モード

はんだ接合において、欠陥が発生した場合、それは製品不良や故障の原因となります。
以下に、一般的な欠陥モードを紹介します。

ボイド(空洞)

ボイドははんだ内部に発生する空洞であり、熱サイクルや環境ストレスによって拡大する可能性があります。
これにより、機械的強度が低下し、電気的な導通不良を引き起こすリスクが高くなります。

ボイドの発生は、はんだ付け時の温度プロファイルや材料の選定、はんだペーストの印刷精度など、様々な要因に影響されます。

ハンダフィレット不足

フィレットとは、部品と基板の接合部に形成されるはんだの山部分を指します。
十分なフィレットが形成されないと、機械的強度が不足し、特に振動や衝撃に対する耐性が低下します。

不十分なフィレットは、はんだ量や部品の位置ずれ、加熱不足が原因で発生します。

クラック(亀裂)

クラックは、はんだ接合部に発生する亀裂です。
ひび割れの原因として、熱膨張の差異、機械的ストレスの集中などが挙げられます。
特に、鉛フリーはんだでは、クラックの発生が増加する傾向があります。

クラックは初期段階での見つけにくさから、長期間の使用で徐々に悪化し、製品の信頼性を著しく損なうことがあります。

ボールドジョイント

ボールドジョイントは、はんだ接合の途中で接合が不連続となり、接合抵抗が増大する現象です。
これは物理的な接触不足や、鉛フリーはんだにおける微細構造の変化が主な原因です。

ボールドジョイントは見つけにくい欠陥の一つで、通常の外観検査では検出が難しく、X線検査や超音波検査が必要となる場合があります。

良否判定基準とそのアプローチ

製造業におけるはんだ接合部の良否判定は、多角的な方法で行われます。
判定基準を明確に設定することにより、品質を確保し、製造の効率を向上させることが可能となります。

外観検査

外観検査は最も基本的な検査方法であり、通常は視覚的に行われます。
フィレット形状やボイドの有無、目視できるクラックの確認などが主なチェックポイントです。

また、顕微鏡や自動光学検査(AOI)が利用されることも多く、これにより高精度な検査が可能となります。

X線検査

X線検査は内部欠陥を検出するための手法であり、ボイドや内部クラックなどの検出に有効です。
特にBGA(Ball Grid Array)など視覚的に確認が難しい接合部に対しては、有用な手段です。

最近では、コンピュータ断層撮影(CT)を使った精密な分析も行われており、内部構造をより詳細に解析することが可能となっています。

電気特性検査

電気特性の検査は、接合部の電気的導通を確認するための重要なプロセスです。
この検査では、通常導通試験やインピーダンス測定を行い、続いて接合抵抗が規定の範囲内に収まっているかを確認します。

機械的特性検査

接合部の機械的強度を評価するために、引張試験やせん断試験が実施されます。
これにより、接合部が外部ストレスに十分な耐性を持っているかを確認します。

新たな地平線を開拓するための戦略

はんだ接合における欠陥の低減と品質の向上は、製造業にとって永遠の課題であり続けます。
そのため、ラテラルシンキングを活用し、新たなアプローチを探ることが求められます。

現代の技術は急速に進化しており、AIを活用した予測分析や、IoTによってリアルタイムのプロセスモニタリングが可能になっています。
これにより、欠陥の早期検出や、フィードバックループの最適化が可能となり、従来の検査手法を大きく進化させています。

最終的には、各工程が密接に連携し、データドリブンによる品質管理が達成され、はんだ接合部の信頼性向上が図られることでしょう。

製造業において、はんだ接合部の欠陥は避けられない課題ではありますが、新たな戦略と技術の活用によって、今後は更に品質向上が期待できます。

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