投稿日:2026年1月4日

叩解機ハウジング内壁部材の損耗問題

はじめに:叩解機ハウジング内壁部材の損耗問題とは

叩解機(パルパー)は、製紙業を中心とした多くの製造現場で原材料を繊維状に分解し、次工程へスムーズに材料を供給するための重要な装置です。

その中でも、ハウジング内壁部材は原材料や媒体に直接さらされ続けるため、激しい摩耗・損耗に曝されます。

この「内壁部材の損耗問題」が生産効率や品質管理の大きな足かせとなる一方で、十分な対策が講じられていない現場も少なくありません。

この記事では、昭和時代から更新されずにいるアナログ的管理体制から脱却し、現代の厳しい市場要求に応え得る実践的な解決策について、現場目線で徹底解説します。

また、調達購買およびサプライヤーの担当者にも有用な情報を盛り込みますので、現場でのコミュニケーションや提案活動にもお役立てください。

損耗のメカニズムと現場で起きがちな問題

現場での摩耗・損耗の主な要因

叩解機ハウジング内壁部材の損耗は、主に以下の要因によって引き起こされます。

  • パルプ原料や助剤などの研磨・衝撃作用による「摩耗」
  • 異物混入による「局所損傷」や「クラック」
  • 高温・高湿度環境による「腐食」および「疲労劣化」

特に、長期間稼働させると必ずと言っていいほど「段付き摩耗」や「ピット現象」が発生し、放置すると生産トラブルや品質低下へ直結します。

多くの現場ではこれらを”消耗品の交換時期”として処理しがちですが、実際には予防的保全や材料選定、設備設計上の工夫次第で大きなコストダウンや歩留まり向上が充分に実現できます。

昭和時代的メンテナンスの限界

依然として多くの工場では、「定期的な停止・目視点検・職人による打音検査・記録用紙への手書き記入」といった昭和時代的なアナログ保全が根強く残っています。

しかし、これでは予兆保全や最適な部材交換タイミングの見極めは困難で、「まだ使えるだろう」「念のため交換しよう」といった感覚的な運用となり、余分なコストやダウンタイムの増大を招きやすくなります。

また、ベテラン技能者の高齢化や人手不足が進行すると、部分的な知見の継承も難しくなり、突発的なトラブルリスクが高まるのが現状です。

損耗対策の最前線:現場主導イノベーションの具体例

材料・部材選定の見直し

損耗の激しい部材には、従来型の鋳鉄や一般的なステンレス(SUS304)ではなく、以下のような最新材料や表面処理が有効です。

  • 超硬合金・セラミックスによる肉盛り溶接
  • 耐摩耗性特殊鋼(例:HARDOX、NSGHなど)
  • 溶射や溶銅による表面強化コーティング
  • 自己修復性を持つ高分子材料(エポキシ樹脂ベース)

実際、国内外メーカーでも耐摩耗層を増加させたり、取り外し可能なインナーライナー方式に改良するなどの設計変更が進みつつあります。

IoTセンサー活用による“可視化”と予知保全

摩耗度や振動・音などの変化を常時モニタリングし、異常兆候をリアルタイムで検知するIoT技術の導入が効果を発揮しています。

例えば、加速度センサーや厚み測定用超音波センサーを内壁部材の要所要所に設置することで、段付き摩耗が進行している部分やピット現象の発生位置を特定しやすくなります。

これにより、「異常が起きてから直す」ではなく「異常発生前に部材交換や補修を実施」する、真の意味での予知保全を実現できます。

現場力を活かしたモディファイ提案

損耗対策はメーカー任せだけでなく、現場独自の工夫も現実的かつ有効です。

例えば、交換作業を容易にするカセット式インナーパネルの小型化、部材摩耗進行度の“色付きマーキング”による一目判別、取付部の標準化など、複数の工場を跨ぐノウハウ共有や現場発案による小改善が大きなメリットを生み出します。

調達・購買部門が目指すべき新しいバイヤー像

損耗部品の調達は“コスト”から“価値”へ

内壁部材などの消耗品調達の多くは「安さ・納期・カタログスペック」ばかりに目が向きがちです。

しかし、現場が望んでいるのは本質的な生産性向上や品質安定化です。

現代のバイヤーは、“ライフサイクルコスト(LCC)”の観点から、初期投資・交換頻度・一回の交換工数・安定稼働への寄与度をトータルで評価し、提案型営業やサプライヤーとの共同改善を積極的に仕掛ける必要があります。

サプライヤーとの“共創”による新たな価値創出

現場での損耗状況やトラブル傾向を、調達部門からサプライヤーに具体的かつ定量的にフィードバックし、材料技術や表面処理のグレードアップ、取付性や保守性の改善提案へつなげていく“共創推進”が重要です。

これまでの単なる価格交渉やPLごとに分断された発注体制から、「現場-調達-サプライヤー」一体のプロジェクト型改善活動を推奨します。

これによってサプライヤー側も新製品開発に向けたニーズ探索や、受注拡大のチャンスを獲得できます。

サプライヤーに求められる現代的パートナーシップ

バイヤーの“真意”を読み解く姿勢

サプライヤーとしては、バイヤーからのコストダウン要求や納期短縮圧力だけに応じるのではなく、“現場の問題”を深く理解することが鍵となります。

例えば、「最近、内壁のピット現象が早期に多発している」「交換時の段取り時間が想定以上にかかる」などの生の声をヒアリングし、根本解決の糸口を一緒に模索しましょう。

これは単なるモノ売りではなく、現場課題のパートナーとして信頼を得る第一歩です。

技術営業による現場コミュニケーションの深化

最新の材料情報・表面処理技術・3Dシュミレーションによる受託設計サポート、さらには現場での取り付け講習や定例点検の実施など、“技術営業”による価値提案がますます重要になります。

自社での摩耗試験データ、フィールドでの耐久事例、海外の最新トレンドを積極的に提供できれば、バイヤーからの信頼と差別化が図れます。

昭和的現場からの脱却と新たな地平へ

叩解機ハウジング内壁部材の損耗問題は、単なる部材交換やメーカー任せの課題ではありません。

現場・調達・サプライヤーが一体となって、材料技術×IoT×現場発案の三位一体型改善を推進することで、コストダウン、安定稼働、品質向上といった新たな地平を拓くことができます。

昭和的管理の限界を認め、デジタル化や予知保全、多様な材料技術の積極的運用、バイヤーおよびサプライヤーによる“共創型パートナーシップ”の構築こそ、これからの製造業現場で真に求められる姿ではないでしょうか。

最後に、現場で日々奮闘されている皆様へ、長年製造業の最前線を経験してきた立場からお伝えします。

「今ある当たり前」を問い直し、現場から真の価値を生み出す小さな一歩が、会社全体・業界全体の発展へと繋がります。

皆さまの現場力が、明日の日本のものづくりを支えていくことは間違いありません。

今こそ、“損耗問題”を成長の起爆剤へと組み替えていきましょう。

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