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陶磁器の底面にロゴを印刷するための位置合わせと圧力制御

目次
陶磁器の底面にロゴを印刷する製造工程の全体像
陶磁器は日本の伝統的な工業製品であり、今もその品質やデザインに高い評価が寄せられています。
一方で、現代の市場ではブランドイメージや識別を明確にするため、底面にロゴやマークを印刷する工程が重視されるようになりました。
特に高級ブランドやOEM展開を行う企業にとって、ロゴ印刷は品質保証や価値訴求の要となります。
陶磁器にロゴを印刷する際には、従来のアナログ的な製造現場ならではの課題が多々あります。
例えば、成形された陶磁器は個体差が大きく、底面のわずかな歪みによってロゴのズレが発生する可能性があります。
そのため、位置合わせと圧力制御は、高品質な仕上がりを担保するために不可欠な技術となっています。
本記事では、陶磁器の底面へのロゴ印刷における位置合わせ技術・圧力制御のポイントと、現場で実践されている最適化ノウハウ、さらに近年の自動化やDX導入の動向まで、現場感覚を交えながら徹底解説します。
陶磁器ロゴ印刷における「ズレ」の正体
陶磁器の底面は一見するとフラットなようでいて、実際には焼成時の収縮や反り、さらには手作業によるバリ残りなど、さまざまな個体差が生じます。
このため、ロゴやマークの印刷時には「位置ずれ」「圧力ムラ」という2大リスクがつきまといます。
この「ズレ」は大きく2つの要因に分類できます。
1. 位置決め精度の問題
陶磁器製品は成形方法によって微妙な形状差やサイズのブレが生まれます。
また、底面に施釉処理が行われている場合、摩擦抵抗も安定しません。
このため、印刷機にセットする際に基準点をどこに設けるか、治具の設計精度が完成品の均一感を左右します。
手作業では、「目検」と熟練者の手感に頼ってきた歴史があり、昭和から令和に至るまで、大きく変わらない現場も少なくありません。
しかし、不良率低減やトレーサビリティ強化の流れとともに、より緻密な位置合わせ要求が高まってきました。
2. 印刷圧力(転写圧)のムラ
陶磁器は固く脆い素材ですが、表面に微細な凹凸があります。
また、底面全面が完全な平面であることはほぼありません。
したがってロゴ印刷時は、どの程度の圧力で、どの範囲に力を加えれば最良の画質が出るかを見極める必要があります。
加圧が強すぎれば陶磁器の欠けや歪みにつながりますし、圧が弱ければ印刷ムラやカスレが生じます。
このため、圧力制御の最適化こそが品質・歩留まり向上のカギとなっているのです。
現場で実践する位置合わせの精度向上手法
では、実際の製造現場ではどのような位置合わせ手法が用いられているのでしょうか。
ここでは、現場視点でのポイントを解説します。
専用治具の工夫
最もポピュラーなのは、陶磁器の底面形状に合わせた専用治具を設計することです。
特にロットごとに製品サイズが変動する場合、3DプリンターやNC加工を活用し、都度最適な治具を作成するケースが増えています。
これにより、同じ方向・同じ基準点で陶磁器をセットしやすくなります。
また、治具の材質によって摩擦特性も変わるため、ウレタンやシリコンなど柔軟性のある素材を使い、陶磁器の個体差を吸収するといった工夫も広がっています。
カメラ(画像処理)による位置検出
近年では、画像認識技術を用いた位置合わせシステムが普及し始めています。
例えば、底面の素地やバリ、貫入のパターンをカメラで検知し、ロゴ印刷ヘッドの動きを自動補正する仕組みです。
これにより、従来よりオペレーターの技能差を低減することが可能です。
もっとも、陶磁器の反射率や色むらが大きいため、カメラ・照明条件の最適設定には熟練者のアナログ的な「目利き」も、まだまだ不可欠とされています。
作業手順の標準化・教育
どんなに高精度な治具や自動化設備を導入しても、ヒューマンエラーはゼロになりません。
このため、製造現場では「品種ごとのセット位置記録」「NG事例写真の共有」など、作業手順の可視化・標準化がカギとなります。
昭和的な現場では「ベテランのカン」に頼りがちですが、最近ではタブレットやARを活用した現場教育の動きもあり、次世代バイヤー・生産管理担当者には、この「現場ナレッジのデジタル化」も注目されています。
ロゴ印刷における圧力制御の最先端
印刷の仕上がりを左右するのが「圧力制御」です。
次に、陶磁器ならではの圧力管理の工夫と、現場での知見を紹介します。
手動印刷と半自動印刷の違い
陶磁器へのロゴ印刷は、ガリ版やパッドプリンタ、転写シールなど多彩な方式があります。
かつては手作業での「ゴムローラー押し付け」が主流でしたが、近年はエアシリンダ付の半自動印刷機が導入されています。
手動印刷の場合、熟練者であれば陶磁器表面の微妙な傾きを感触で察知し、圧を掛けすぎないよう細やかに調節できます。
一方、半自動印刷機では圧力の「ばらつき」をいかに機械側で吸収するかが肝になります。
現場では、エアシリンダの圧力調整弁やニードルバルブを細かく設定し、陶磁器の吸収性や底面の硬さに合わせて条件を変える、といった取り組みが行われています。
圧力センサーとフィードバック制御
より高度な現場では、サーボモーターや圧力センサーを搭載した「インテリジェント印刷機」が導入されています。
加圧時の反力をセンサーで検出し、設定圧力を超える前に自動的にストロークを制御する仕組みです。
これにより、欠け・割れ防止と高精細なロゴ印刷を両立できます。
生産現場では印刷結果の画像検査とフィードバック制御を組み合わせることで、「歩留まり最大化」と「人依存からの脱却」を同時に実現するケースが増えつつあります。
現場でのリカバリー対応
とはいえ、陶磁器は一本一本できばえが異なります。
最新装置を使っても、わずかな焼成ムラやわん曲により印刷ミスは完全には避けられません。
現場では「リタッチ用刷毛」「ピンセット」「補修溶剤」などによる手直しノウハウが根強く活用されています。
バイヤーやサプライヤー担当者が現場を把握する際は、こうした「アナログ対応」の存在にも理解を深めておくことをおすすめします。
アナログからデジタル・自動化への転換期
日本の多くの陶磁器メーカーでは、今も「人の感覚」と「手作業」が根幹をなしています。
しかし、業界全体の課題として、若手の人材確保難・エキスパートの高齢化・技能の見える化が急務となっています。
デジタル化による工程監視・記録管理
ロゴ印刷プロセスの画像解析や作業ログの自動記録を導入している先進企業では、「どの製品に、いつ、誰が、どの位置・どの圧力でロゴを印刷したか」という実績管理ができるようになっています。
これにより、後工程のクレーム解析や再発防止、さらには顧客への品質保証にも大きなメリットをもたらします。
省人化・自動化の潮流と残るアナログ技術
近年、AIによる外観検査装置や協働ロボットによる印刷自動化も始まっていますが、陶磁器特有の「一点もの感」に完全自動化は難しい側面も残ります。
そのため、現場では「職人の目」とデジタルを融合し、より高次元の品質を実現する「ハイブリッド型現場力」が模索されています。
サプライヤー・バイヤー双方が知っておきたい現場視点
最後に、サプライヤーとして陶磁器ロゴ印刷サービスを提案する、あるいはバイヤー・購買部門として委託先を評価する際の「現場目線ポイント」をまとめます。
現場確認のチェックリスト
・位置合わせ治具の工夫・精度
・印刷機の圧力制御方式
・画像処理やトレーサビリティの有無
・熟練作業者の技術継承状況
・不良品発生時の対処(リカバリー体制)
これらのポイントをヒアリング・現地見学で確認することで、「価格だけでなく、品質・安定供給力も含めた総合評価」が可能となります。
これからの陶磁器ロゴ印刷の業界展望
世界的な唯一無二の個性を持つ日本の陶磁器製品。
その価値を伝える上で、「底面ロゴの仕上がり」は今後さらに重要性を増していきます。
業界としては、アナログ現場力とデジタル技術の最適活用による持続的な現場改革が課題となり、人材育成・技能見える化も大きなテーマとなっています。
バイヤーやサプライヤーを目指す方、あるいは現場で改革の旗振り役になりたい方は、ぜひ「位置合わせ」と「圧力制御」という二大要素から、現場起点のイノベーションを模索してみてください。
陶磁器ロゴ印刷の現場には、まだまだ新たな改善余地と、新時代のものづくりのヒントが眠っているのです。
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