投稿日:2025年10月6日

ポテトチップ袋の内側コートが湿気を防ぐアルミ蒸着と厚み制御

はじめに

ポテトチップスが美味しくパリッとしているのは、パッケージの技術が大きく貢献しています。
その中でも紙袋の内側に使われる「アルミ蒸着フィルム」と、袋自体の「厚み制御」技術は、湿気からの保護という観点で極めて重要な役割を果たしています。
本記事では、昭和時代の一枚ものの包装から現代の多層フィルム包装に至るまで、現場目線の実践的なノウハウと最新トレンド、現役バイヤーやサプライヤーが知っておくべき業界構造について詳しく解説します。

ポテトチップ袋の湿気対策の歴史と技術的進化

昭和のアナログ時代:紙袋から始まった包装

かつてのポテトチップスは、簡易的な紙袋やセロファン紙で包まれていました。
この時代は、厚みや素材ムラなど品質にはかなりのばらつきがあり、湿気による食感劣化が大きな課題でした。
そのため、発売直後はパリッとしていても、時間が経つとすぐにしけってしまい、消費者クレームも多発していました。

アルミ蒸着フィルムの登場:湿気防止の革命

1980年代に入り、国内外で蒸着技術が進化し、軽量なのに優れたバリア性を持つアルミ蒸着フィルムが広く使われはじめました。
アルミ蒸着とは、非常に薄いアルミ層(わずか0.02μmほど)をフィルムの片面にコーティングすることです。
これにより、ピンホールや微細な欠陥も大幅に低減でき、酸素や水分(湿気)の侵入を限りなく防ぐことができるようになりました。

なぜ湿気対策が重要なのか?

ポテトチップスはその食感こそが命です。
水分含有量がわずかでも変動すると、「パリッ」から「しなしな」へと一気に転落しかねません。
消費者のクレームリスクや賞味期限の短縮、流通コストの増加も無視できません。
メーカーやバイヤーにとって、パッケージングによる湿気制御は直接的な商品価値維持のカギとなります。

実際の現場ではどれほど神経質か?

筆者が工場に務めていた時代、パッケージ資材メーカーから納品されるフィルムはロットごとに「透湿度」や「ガスバリア性能」を検査していました。
現場では、ラインで袋にシワが寄ったりシール不良があった場合、わずかな開口部からの湿気侵入を避けるため、即座に廃棄や再生工程に回すのが当然のオペレーションでした。

アルミ蒸着が湿気を防ぐメカニズム

アルミそのものの特性

アルミは金属の中でも極めて水分や空気を通さない特性を持っています。
しかし、ポテトチップの袋をアルミ箔で覆うとコストも環境負荷も高くなってしまうため、化学的にフィルム表面に超薄膜をコーティングする「アルミ蒸着」が省資源化と高性能化の両立を可能にしたのです。

ミクロな視点:ピンホール管理の重要性

アルミ蒸着層がいくら薄くても、均一にコーティングされていれば湿気バリアは万全です。
一方で、原料樹脂フィルムの微細な異物や、製造時の静電気によってピンホールが発生することもあります。
そのため現場では「ピンホール試験」や「オフライン目視検査」が今も徹底されています。

袋の厚み制御がもたらすメリットと課題

厚みが均一であることの意義

袋の厚みが不均一だと、薄い部分から酸素や湿気が入り込みやすくなり、全体のバリア性能が著しく落ちる結果になります。
そのため、製造現場ではミクロン単位で厚みをモニタリングし、「連続厚み測定システム」や「自動厚み補正装置」を導入してムラを徹底的に排除しています。

厚み調整とコストバランスの現実

厚みを増せば性能は向上しますが、過剰包装になり資源の無駄や高コスト体質に陥ります。
リサイクル性や環境対応(プラ使用量削減)が強く求められる昨今、「最小限の厚み+最大限のバリア性能」を両立させることがメーカー・バイヤー双方にとっての最大の課題となっています。

バイヤー・サプライヤー視点の交渉ポイント

バイヤーが重視する要素

バイヤーとしては、とにかくバリア性能とコスト、さらには安定調達の3点を重要視しています。
また、需要変動時の「小ロット対応力」や、「テストロット」に対する柔軟なレスポンスも無視できません。
品質不良のリスクと在庫負担のバランスを取るため、無理な価格交渉より、「透明なスペック提示」と「安定品質」を優先するバイヤーが増えています。

サプライヤーがアピールすべき点

サプライヤーとしては、自社の「蒸着技術力」や「厚み測定・制御の精度」、「異物混入防止策」などを具体的なデータや現地見学で訴求するのが効果的です。
加えて、「グリーン調達」や「リサイクル適合フィルム」など、次世代ニーズを意識した提案が今後は差別化の鍵となります。

アナログを引きずる現場での意外なハードル

人手作業と目視検査の現状

多くの現場では最新の自動検査装置が導入されていますが、依然として目視検査やサンプリング検査に頼る場面も多く残っています。
それは微細なピンホールやシール不良、製品の重なり合いによる「見落としミス」が完全自動化では拾いきれないからです。
ダブルチェック文化やベテラン技能者の「カン・コツ」も、現場力の根っこに根付いています。

設備投資の壁と変革への道筋

新しい厚み測定装置や自動検査装置は高額かつメンテナンスも手間がかかります。
特に下請けや中小工場では、既存設備を最大限活用・延命する温故知新型の改善も重視されているのが実態です。
アナログ作業とデジタル技術の共存・融合が今後のトレンドであり、現場目線のノウハウが新技術導入の成否を左右します。

まとめ:今後の展望と求められるマインドセット

消費者の期待、環境配慮、効率的なサプライチェーンの実現――。
ポテトチップスの袋一つとっても、そこには素材開発、工程管理、現場力、調達戦略、検査体制といった多彩なテーマが複雑に絡み合っています。

今よりも進んだアルミ蒸着技術や厚み制御が実現すれば、さらなる品質安定や資源効率化に繋がります。
バイヤーには現場の苦労と工夫への理解、サプライヤーにはデータを交えた真摯な提案。
そして現場には、アナログを強みに変える“考える現場力”――これらが業界発展の鍵です。

今後を見据え、業界の枠を超えた柔軟な思考と対話こそが、真のイノベーションを生む原動力だと、実体験から確信しています。
これからバイヤーやサプライヤーを目指す方も、まずは「現場」に目を向け、目の前の課題を深く考え、問い続けてください。
それが日本の製造業を新たな地平へと導く第一歩になるはずです。

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