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靴の中敷が臭わない抗菌剤練り込みと乾燥温度管理

目次
はじめに:靴の中敷と製造現場のリアルな課題
靴の快適性や清潔さを保つ上で、中敷(インソール)の役割は非常に大きいです。
特に近年、運動靴や長時間履くビジネスシューズの人気が高まる中、「靴の中敷が臭う」という消費者の悩みは根強く残っています。
この対策として、抗菌剤の練り込みと製造時の乾燥温度管理は、業界全体で求められている重要なテーマです。
しかし、実際の製造現場では、コスト面や工程追加などの壁、さらには昭和から続くアナログ的な現場体質が根強く、なかなか先進的な取り組みが浸透していません。
この記事では、現場経験豊富な筆者が「抗菌剤練り込み」と「乾燥温度管理」のポイントと、製造・調達・バイヤー・サプライヤーの立場からみた実践的な視点を交えて解説します。
靴の中敷が臭う原因:アナログ現場が見落とす真相とは
臭いの元は菌の繁殖にあった
靴の中敷が臭う直接的な原因は、汗や皮脂、湿気によって繁殖した雑菌です。
特に暖かな靴内環境は、グラム陽性菌、グラム陰性菌と呼ばれる複数種の細菌にとって絶好の繁殖場所となります。
この菌の代謝物がいわゆる「足の臭い」のもとです。
湿気と換気の問題
現場の製造管理においては、靴自体の通気性や速乾性に目が向きがちですが、中敷そのものの「湿気をため込む構造」「乾きにくい混紡素材」「適切な乾燥工程が設定されていない」といった要因が、長年放置されてきました。
昭和から脱却できない現場文化
現場が「抗菌処理」に積極的でない理由は、大きく分けて三つあります。
1. コストや工程が増えることへの拒否感
2. よくわからない新技術への不信感
3. 目に見えにくい品質に価値を感じにくい風潮
これらをどう乗り越えるかが、今後の競争力の源泉となります。
抗菌剤練り込みの実際:素材選定と混練技術の勘所
抗菌剤のタイプと選定基準
抗菌剤には無機系(銀イオン、亜鉛、銅など)、有機系(トリクロサン、イソチアゾロン系)、天然系(ヒノキチオールや柿渋エキスなど)があります。
製造業の現場目線で重要なのは、「耐久性」「コスト」「安全性」「既存設備との親和性」「量産性」の5つです。
たとえば無機系銀イオンは耐久性と安全性に優れますが、配合比率によってはコストが跳ね上がります。
ここで重要なのは、単に「抗菌剤使ってます」と言っても、どの段階でどれだけ練り込み、どんな分散性/保持性で混錬しているかが、機能とコストの決定的な差になります。
この「匙加減」は工場長や生産管理経験者しか分からない、現場知識の真骨頂です。
練り込み時のポイントと落とし穴
抗菌剤の練り込みは、一般的にEVA(エチレン酢酸ビニル)樹脂やPU(ポリウレタン)などの基材にプレミックスする工程で行われます。
しかし同じ含有量でも「分散方法」「フィラーとの親和性」「加熱時の変質」などで大きな差が生まれます。
また、練り込みすぎると物性(柔軟性や復元性)が悪くなり、歩き心地・安全性にネガティブな影響を与えかねません。
バイヤー・開発担当は「抗菌性能」だけでなく「歩き心地」や「製品寿命経過後の安全性」にも注意を払う必要があります。
乾燥温度管理:熟練現場の「カン」と最新テクノロジーのジレンマ
想像以上に重要な乾燥工程
抗菌剤を練り込んでも、その成分が中敷内部で十分に「定着」しなければ意味がありません。
乾燥工程はこの「定着」と、同時に「基材自体の物性の安定」「整形後の寸法変化」の両面から非常に重要です。
しかし昭和型の現場では「前回この温度でやったから今回も」で済まされることも多く、蓄積したムラが臭い原因や品質不良につながります。
最新テンパリング設備と現場技術の融合
現代的な工場ではヒートプロファイリングができる乾燥炉(テンパリングマシン)を導入し、含水率やサーモグラフでモニタリングしつつ管理することが常識となりつつあります。
一方で、国内中小工場や下請けサプライヤーでは、昔ながらの「乾燥室」「タイマー式温度管理」「外気温頼り」のやり方が残っています。
ここで重要なのは「3%の含水率変動でも1.5倍、中敷寿命や抗菌性が違う」など、定量データに基づく指導です。
バイヤーやサプライヤーはこの定量的な品質データを共通言語にし、現場の職人技術と融合することが求められます。
現場が変わればコストも変わる:調達バイヤーが捉えるべき「見えない価値」
初期投資とランニングコストの捉え方
「抗菌剤は高い」「乾燥温度管理は光熱費がかかる」という現場の声も少なくありません。
しかし、臭いやカビによる製品返品・クレーム、ブランド価値毀損を考えれば、長期的には「適切な工程投資」こそがコストを下げます。
サプライヤーの立場では、目先の値引き交渉ではなく「工程改善による歩留まり向上」「抗菌性能のエビデンス提出」「素材廃棄ロス低減」といった“見えない価値”をアピールすることが取引拡大のカギになります。
調達バイヤーや設計者の目利き力
一歩先を行くバイヤーや設計担当は、「抗菌剤を使っているか?」ではなく、「どのタイミングでどんなドキュメント管理をしているか」「乾燥温度や時間の工程記録が残っているか」「定期的に抜き取り試験しているか」といった、一歩踏み込んだ質問をするべきです。
サプライヤー側もこれに応えられる工程管理体制がなければ、今後の取引で生き残れません。
デジタルとアナログの融合で製造業界の未来を切り拓く
DX化に期待されること
現場にはなぜデジタル管理が進まないのでしょうか。
「現場の手間が増える」「データで人が評価される」「変化への抵抗感」など、昭和型トップやベテラン作業者の心理的障壁が大きな理由です。
しかし、デジタル化は決して「現場排除」ではなく、「異常検知」「不良傾向の先回り」「働きやすさの向上」など現場課題と直結しています。
例えば乾燥温度が5℃高すぎれば抗菌剤が変質劣化する、低すぎれば定着不良や素材残水などのデータを積み上げることで、歩留まりや品質クレームが劇的に減ります。
現場主体の業務改革が鍵
ベテラン現場作業者のノウハウ、サプライヤーの現物・現場・現実の3現主義、バイヤーや設計者の目利き――これらを「見える化」し、DXツールで根拠ある品質創りを進めることで、靴の中敷きから業界全体の新たな未来を切り拓いていけます。
おわりに:製造業の現場から今こそ世界基準を目指そう
靴の中敷き臭対策は、抗菌剤練り込みと乾燥温度管理という二つの工程から大きな進化が期待できます。
そのためには、現場のノウハウやアナログ技術を大切にしながら、デジタル技術やエビデンス主義を積極的に取り入れていく必要があります。
バイヤー、サプライヤー、製造現場の三位一体による品質改革こそが「安いだけ」「古いだけ」の昭和型サプライチェーンから脱却し、「高付加価値」「高品質」「世界水準」への道筋とも言えるでしょう。
それぞれの立場で誇りを持って、そして謙虚に新しい知識や技術を受け入れ、お客様の信頼を築くものづくりを進めて行きましょう。
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