投稿日:2025年12月30日

高周波加熱装置用接地バー部材の配置とノイズ対策

はじめに:高周波加熱装置の現場から見た課題

高周波加熱装置は、現代の製造業に不可欠な設備となっています。
特に自動車や電子部品の製造現場では、焼き入れ、ろう付け、加熱成形など幅広いプロセスで利用されています。

しかし、その普及の一方で、現場では高周波特有の「ノイズ対策」や「接地設計」への関心が日増しに高まっています。
とくにアナログ作業が根強く残る昭和気質の工場では、設備の老朽化や知見の属人化が障壁となり、最新のノウハウや業界動向が十分に行き渡っていません。

この記事では、20年以上製造現場を歩いてきた視点で、高周波加熱装置用接地バー部材の配置ノウハウとノイズ対策の要点を、分かりやすく解説します。
現場のバイヤーを目指す方や、サプライヤーの立場でバイヤー心理を知りたい方にもヒントとなる内容をお届けします。

高周波加熱装置の基礎と接地バーの役割

高周波加熱装置とは?現場での立ち位置

高周波加熱装置は、金属や素材を迅速かつ均一に加熱するための装置です。
誘導加熱の原理を使い、コイルに高周波電流を流して金属を発熱させます。
従来の加熱炉に比べ、立ち上がりが速く、エネルギー効率が高く、省スペース・省人化にも貢献します。

しかし数十kHzから数百kHz、場合によってはMHz帯といった高周波信号を扱うため、現場の電源品質や制御機器、周囲の生産設備への「ノイズ影響」を慎重に管理する必要があります。

接地バー部材の役割とは?

高周波機器にとって「接地」とは、安全性を確保するだけでなく、ノイズ経路を遮断し他機器への誤動作を未然に防ぐ重要なポイントです。
特に接地バー(アースバー、グランドバー)は、複数の機器や部材を一点接地(スター接地)もしくは複数接地点(メッシュ接地)でまとめる役割を持ちます。

工場の現場では、装置ごとに独自の接地が乱立しやすく、ノイズ・アースループの原因となりやすいのです。
適切な材質選定や取り付け、配置がノイズ対策の第一歩となります。

昭和アナログ工場によくある”誤った配置”パターン

属人的な配線作業とトラブルの温床

現場によくある失敗例として、
– 設備同士を機械的に“渡り接地”してしまう
– アース線を細い単線で長距離引き回している
– 錆びて抵抗値が高くなったアースバーを使い続ける
– 用水配管や鉄骨に頼った簡易接地

などが挙げられます。

このような誤配置は、ノイズ成分の逃げ道が複雑化し、シールド線経由で思わぬ誤動作や信号の乱れを呼ぶことが現場でたびたび起こります。

現場ノウハウが属人化しアップデートされない理由

一昔前の工場は「ベテランが口伝でやっているから大丈夫」「昔から問題なかった」というアナログ精神が根強いです。
加えて、接地ノウハウがマニュアル化されておらず、若手バイヤーや現場担当が基礎を学ぶ機会も少ないことが、昭和業界から抜けられない大きな要因です。

最新動向と業界標準から学ぶ正しい接地バー部材の配置

現在主流の「一点接地」と「等電位接地」

IEC規格やJIS規格、そして大手自動車メーカーなどの調達仕様において、以下の2点が推奨されています。

1. 一点接地
装置ごとにバスバー(一枚板の接地バー)を母線とし、それぞれの装置から放射状にアース線を接続。
ノイズ電流が逆流しにくく、ノイズループを抑制します。

2. 等電位接地
多数機器が同時動作するラインや、複数装置を組み合わせる場合。
機器と接地バーを等電位(ポテンシャル差がない状態)に統一し、どこでもアース電位が揃うようにします。

推奨される部材と施工のポイント

– 接地バーは銅または鍍金銅製。アルミは経年で酸化被膜ができやすく、接触不良になるリスクが高いです。
– 接続端子はバスバー専用の圧着端子を使用し、必ず六角ボルトまたは専用アーススクリューで締結します。
– 配線距離はできる限り短く、直線的に。余裕がなければバスバーを増設し、途中接続はNGです。
– バスバーの位置は、制御盤内または装置基盤の中心部に配置します。
– ノイズ源(高周波コイル、スイッチング部など)から最短経路で接地をとるのが鉄則です。

現場で役立つ!ノイズ対策強化術の実践例

効果絶大な「ノイズシールドとアース直結」

電子制御機器やFA機器へ誘導されるノイズを低減するには、シールド線の両端接地が基本です。
ただし、両端接地にするとノイズループができやすいため、装置起点側のみの「片端接地」にするなど、現場状況で使い分けます。

重要なのは、シールド線をバスバーや専用アース端子に直に落とすことです。
誤って制御用端子台や他の信号線と混同すると、絶縁不良・ノイズ混入となります。

高周波フィルタの組み合わせ設置

安定したアース経路でも高周波ノイズが抑えきれない場合は、「ノイズフィルタ」や「フェライトコア」を併用します。
装置電源の入り口、入出力信号線の根元部分に設置することで、ノイズ・サージの進入を防ぎます。

国産一流メーカー制のノイズフィルタは、実績・信頼性ともに優秀です。
サプライヤー選定時の大きなアピールポイントにもなります。

現場検証・改善のポイント

– 漏れ電流やアース抵抗値は定期的に測定・記録する
– アースバーやケーブル接続部の緩み・腐食の点検を徹底
– 電波暗室やスペアナ測定でノイズ源を特定し、別系統アースで逃がす

このような地道な活動をバイヤーの立場でフォローアップすると、サプライヤーの提案力・改善力が現場から評価されやすくなります。

これからの調達・購買に求められる現場力

なぜ「技術」と「現場感覚」が求められるのか

高周波加熱装置のノイズ対策や接地設計は、単なるカタログスペックの比較では分かりません。
使う現場・設備構成・既設設備のアナログ性など、状況ごとの「現場合わせ力」が必須です。

良い現場力を持つバイヤーは、サプライヤーと共に最適な配置や改善策を探り、高品質な調達を実現しています。

バイヤー目線で押さえておきたい情報

– 自社の工場標準や配線マニュアルの最新版を必ず入手する
– サプライヤーが提案するアース配置例やノイズ解析事例を精査・共有する
– 仕様書や設置図(レイアウト)を現場のエンジニアや保全スタッフと直接議論する

これにより、カタログ重視型の調達から、現場改善型の調達へと一歩踏み出せます。

まとめ:製造業の発展の鍵は”見えないインフラ”にある

高周波加熱装置用の接地バー部材の適正配置とノイズ対策は、製造ラインの信頼性向上や設備品質に直結します。
昭和から続くアナログ文化や属人化した習慣を一歩抜け出し、現場に合った最先端のノウハウを取り入れることで、調達・購買・サプライヤーすべてが新しい価値を生み出せます。

これからバイヤーや現場担当を目指す方も、サプライヤーがバイヤー心理を知るうえでも、“見えないインフラ”を守る目線がこれまで以上に重要になる時代です。
ぜひ、現代の製造業が抱える地に足のついた課題意識と、未来志向の地平線をリンクさせながら一緒に成長していきましょう。

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