投稿日:2025年8月15日

港・航路の二択比較で繁忙期のサーチャージ高騰を回避

はじめに:サーチャージ高騰の悩みと港・航路選択の重要性

製造業の調達購買担当者やサプライヤーが日々頭を痛めている課題の一つが、突発的な輸送コスト増です。

特に繁忙期になると、船会社(キャリア)が課すピークシーズンサーチャージや港湾諸掛りの高騰に直面し、予算オーバーや納期遅延のリスクが高まります。

この悩みは昭和の時代から変わりませんが、近年はコロナ禍や地政学リスクによる物流混乱が頻発し、ますます状況は厳しくなっています。

本記事では、港や航路の「二択比較」戦略に焦点をあて、現場目線でどうすればリスクを抑えつつ最適な選択ができるのかを解説します。

調達・購買部だけでなく、バイヤーを目指す方、サプライヤー立ち位置の方にも「相手の立場」に立った実践知として、ご参考になさってください。

港・航路は「どこも同じ」ではない理由:コスト構造の違い

1. サーチャージの地区差・時期差に注目する

一般的に輸送費は「どこから積んでも、どの港でも大差ない」と思いがちですが、実際は港ごと・航路ごとでチャージ体系が大きく異なります。

例えば、同じアジア発日本向けのコンテナでも、上海港と寧波港で基礎運賃やピークシーズンサーチャージ(PSS)が異なることが多々あります。

また、欧州系・中国系・日本系など船会社ごとでも料金の考え方が微妙に異なるのが実態です。

特に繁忙期(中国の旧正月やクリスマス前など)には、混雑の激しい都市港(例えば上海港)は急激にチャージが吊り上げられ、比較的空いている周辺港(寧波港や天津港)は影響が小さいケースも見られます。

つまり、同じルートに見えても最適解は状況で異なるのです。

2. 輸入側でも港湾事情で大きく変わる

日本側も同様で、横浜港は欧米航路の便数・スペース供給が厚い一方、大阪港はアジア航路に強い特徴があります。

現場目線での体験として、繁忙期に横浜港が混雑すると、荷下ろし・通関業務が長引く一方、大阪港の空きスペースを活用してリードタイム短縮に繋げられるケースもありました。

このように、現場の実情をよく知ると、「港・航路の二択」を比較するメリットが浮き彫りになります。

3. 物流コストはトータルで考えるべき

単なる運賃やサーチャージ比較だけでなく、港への陸送距離や港湾手数料、通関コスト、さらには荷役効率なども含めて総合的なコストで判断することが、製造業の実務では求められます。

一見安い運賃でも、港での滞船やトラック待機などの「隠れコスト」が膨らむ事例もよくあります。

したがって、書面上の金額だけでなく、実務担当者の現場ヒアリングを重視した情報収集が不可欠です。

「二択比較」が生み出す最適ルート選択の実践ポイント

1. 代替港・航路に関する情報収集のコツ

まず、「今使っている港・航路」以外のオプションを必ず調査する姿勢が重要です。

現地フォワーダーや物流パートナーに「近隣港」「以前利用したことのあるセカンド港」の運用状況・新たな割増の有無などを常にヒアリングしましょう。

例えば、繁忙期直前に
「今年の釜山港混雑状況どうですか?仁川経由のスペースはどう?」
「シンガポール経由以外の直行便に割増はつくのですか?」
といった具体的な情報要求が、意外な安定航路の発見につながります。

また、サプライヤーと合同で港選択を協議することで、現場としても最適な物流戦略を立てやすくなります。

2. 統計データ・実績分析による裏付けを取る

港湾ごとの荷動き統計や船舶寄港スケジュールなどは、公的機関・業界団体で日々公開されています。

過去数年分の繁忙期運賃推移、自社の実績データをエクセル等で可視化し、「去年の夏は神戸港から発送した製品のコストが最も安定していた」といった分析を行うことも大切です。

「勘」と「経験」に頼るだけでなく、データも併せて意思決定することにより、社内の説得力が一段と高まります。

3. サプライヤーとの協業で新たな選択肢を検討する

サプライヤーとバイヤーが互いの立場で忖度するのではなく、率直に「港や航路を柔軟に選ぶ可能性」について協議を持つ文化を築くことが、デジタル時代の新たなベストプラクティスです。

サプライヤー側からも「この時期は上海港は割増が必至ですが、寧波港なら割安便が取れそうです」などの現場提案があれば、バイヤー目線ではむしろ歓迎材料となります。

逆に、バイヤーからの柔軟なオプション提示も、サプライヤーのコスト安定化や納期確保に寄与します。

アナログ文化が根強い製造業界での障壁と抜本的解決のヒント

1. 昭和マインドから脱却できない現状

製造業では「去年もこの港だったから今年も同じで良い」「長年付き合いのある船会社一本で」といった保守的なカルチャーが強く残っています。

一方、サプライチェーン全体で物流の多様化が叫ばれる現在、この「変化を恐れない柔軟性」が繁忙期・緊急時のリスク回避の決め手となります。

2. マニュアル運用の改善が必要

一部の現場では依然としてFAXや電話で運賃交渉や通関依頼をしています。

こうしたアナログ運用は情報のスピードが遅く、サーチャージ動向にも後手に回りやすいです。

船会社・フォワーダーのオンライン見積もりや、基幹システムとのデータ連携を活用し、複数港・航路の見積もりをスピーディーに比較できる体制づくりが急務です。

3. 教育・社内啓発で現場力アップ

若手や新任担当者への教育として、「二択比較」の考え方や繁忙期リスク回避術などをナレッジとして蓄積し、全社で共有する風土づくりが必要です。

実際の成功・失敗事例を学び合い、「なぜ今年はA港でコスト高騰を回避できたか」の振り返りを定例化することで、現場力が継続的に高まります。

まとめ:柔軟な二択比較で、予測不能なサーチャージ時代を生き抜く

製造業の現場は、今もなお昭和の慣習が色濃く残る一方、グローバル物流の変化は待ったなしで進行しています。

真に現場で役立つ危機回避策は、「同じ港・航路の固定観念」に縛られず、常に二択比較の視点で最適ルートを選ぶ柔軟性です。

そのためには、
– 港・航路ごとの最新情報を把握し
– サプライヤー・フォワーダーと密に連携し
– 根拠あるデータ分析による裏付けを取り
– 社内ナレッジとして継続的に共有する

というトータルな取り組みが必要です。

この記事が、バイヤーやサプライヤー双方の皆様にとって、港・航路の「二択比較」がもたらすコスト低減・リスク回避策の新たな気づきとなれば幸いです。

船積みの現場で、柔軟に・賢く動ける調達・購買のプロフェッショナルを目指して、ぜひ実践してみてください。

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