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不良処理の優先順位がいつも後回しになる現場の実情

目次
不良処理の優先順位がいつも後回しになる現場の実情
はじめに:なぜ不良処理は後回しになってしまうのか
製造業の現場で長年働いていると、「不良処理」が常に優先順位の下位に押しやられている姿を、何度も目の当たりにしてきました。
本来、不良はコストの塊であり、処理を迅速に行うことが競争力につながるはずです。
しかし、なぜ現実には“後でやる”が常態化してしまうのでしょうか。
この記事では、現場目線でその理由を深掘りし、現状打破へのヒントをお伝えします。
バイヤー志望の方や、サプライヤーとしてバイヤーの視点を理解したい方にも、有用な視野をお届けします。
現場で不良処理が後回しにされる主な理由
日々の生産ノルマのプレッシャー
昭和の時代から続く「生産第一主義」は、依然として多くの工場に根付いています。
納期厳守、出荷量の確保が現場の最優先事項になりがちです。
この文化の中では、不良品処理は“生産とは直接関係しない”業務として扱われ、目の前の生産に人員と時間が割かれてしまいます。
結果として、不良品は一旦“仕掛かり棚”や“仮置き場”へ追いやられ、積み上がる一方です。
不良処理担当者の役割の曖昧さ
多くの工場では、不良処理に明確な専任者がいないケースがよく見受けられます。
現場のオペレーターが空き時間に処理したり、品質管理部門が“時間の余裕がある時”にまとめて行うなど、“誰の責任で何をやるのか”が曖昧です。
これが、不良処理の優先順位をますます下げる要因となっています。
上層部のKPI設定や評価指標の問題
経営層や管理職は、“生産数量”“稼働率”“納期遵守率”など生産のKPIにはシビアですが、不良品処理の速さや現場の整頓状況などは評価項目に含んでいないことが多いです。
このため現場でも、不良処理は「急がなくていい仕事」として受け止められています。
工場自動化・IT化の遅れ
IoTやAIの進展が叫ばれる昨今でも、中小製造業をはじめ、多くの工場ではアナログ管理が色濃く残っています。
紙伝票での不良記録や口頭での報告、手書きの不良票の回覧など、情報共有の遅さが迅速な不良処理の“ブレーキ”となっています。
不良品の発生・管理プロセス自体がブラックボックス化しやすい現場構造も、課題を深刻化させています。
不良処理後回しの弊害:見えにくい“損失”に目を向ける
キャッシュフローと在庫コスト悪化
処理を後回しにした不良品が“仮在庫”として溜まり続けると、その分余計な工場スペースを必要とし、保管コストも発生します。
さらに、棚卸資産として存在し続けることで帳簿上のキャッシュフローが悪化し、経理や経営判断にも影響を与えます。
現場のモラル・士気低下
現場スタッフは“不良処理なんて、どうせ後回しでいい”という空気に慣れてしまうと、ものづくりに対する緊張感や責任感が薄れてしまいがちです。
「誰かが処理するだろう」「うちの会社はこれで回っている」といった無自覚な慢心が現れやすく、さらなる不良発生の温床となります。
サプライチェーン全体への悪影響
未処理の不良が残っているということは、納期遅延や緊急対応がいつでも発生し得るリスク状態でもあります。
このリスクは、客先やバイヤー側にも波及し、信頼低下や商談機会の損失を招きかねません。
現場だけの「ローカルな問題」ではないのです。
ラテラルシンキングで考える、不良処理問題の本質
「価値を生まない仕事」から「未来を変える仕事」への発想転換
不良処理は直接売上や生産数量につながらないため、しばしば軽視されます。
しかし、不良を迅速に処理することは、工程の健全性や顧客への安心、経営判断の迅速化といった“見えない価値”を生みます。
ラテラルシンキング的な視点で不良処理を考え直すと、次のような発見があります。
・不良情報をいち早く全社にフィードバックするほど、設計や調達のプロセス改善スピードが上がる
・現場の5S活動(整理・整頓・清掃・清潔・躾)を推進するモチベーションになる
・不良処理を“問題発見⇒仕組み改善”の先導役と位置づけ直すことで、現場全体の生産性が向上する
不良処理は、未来の“事故”を未然に防ぎ、工場全体をレジリエントな組織に変える鍵なのです。
昭和的な現場カルチャーの再定義
“仕事は汗水流してなんぼ”“量を回してなんぼ”という価値観だけでは、VUCA時代の競争には勝てません。
これからは、「如何に早く、広く、深く“異常・例外”を処理できるか」が、ものづくり現場の新たな価値基準となります。
昭和の現場力と、令和の問題対応スピードを掛け合わせて、両方の美徳を活かしたカルチャーづくりが求められます。
具体的な現場実施策:今日からできる不良処理改革
1. “即時処理”ルールと役割分担の明確化
・“不良品発生から○分以内に隔離と記録まで完了”をルール化
・不良品の隔離→記録→廃棄or修正までの一連の流れを細かく手順書化し、各工程に責任者を配置する
・どんな不良も「その場で起票、管理システムに入力」が徹底される仕組みを作る
2. 日次“ミニパトロール”による現場チェック
・現場リーダーや品質管理の担当者が毎日短時間で棚や作業場を見回り、“不良品が溜まっていないか”を目視・記録
・不良の“高止まり箇所”を即座に共有し、関係チームでタイムリーに改善策を協議する文化を根付かせる
3. 不良処理をKPI・評価項目に組み込む
・「不良品処理までの平均リードタイム」「不良品溜め込み面積」など定量的指標を日報や月報で管理
・改善活動や不良処理速度も、現場の賞与・昇格評価に反映する仕組みを導入し、モチベーションを付与する
4. ITツールやIoTで“見える化”促進
・スマホやタブレットで現場から即時不良登録・写真添付⇒自動で関係者全員にアラートが飛ぶシステムの導入
・在庫管理やトレーサビリティシステムと連動し、不良品の“見える化”を全社的に推進
5. 定期的な“現場カイゼン提案会”の開催
・現場スタッフが自ら不良処理・未処理品削減のアイデアを提案できる場を設け、小さな成功事例を横展開
・経営層も参加し、不良処理に関する現場の声を直接くみ取る機会とする
バイヤー・サプライヤー視点から見た“不良処理”の重要性
バイヤーにとってのリスクと評判管理
不良品を後回しにする企業は、納期遅延や品質トラブルを恒常的に内包しています。
サプライヤーの不良対応力=自社バイヤーの顧客満足度と直結すると意識すべきです。
現場の“不良発生→迅速処理”フローを開示できる企業は、バイヤー視点での信頼も高まります。
サプライヤー視点でバイヤーの期待に応えるには
・“手待ち時間”や“不良滞留”を1分でも減らす自己改革
・現場で実践している不良処理・カイゼン活動を、定期的にバイヤーと情報共有
・仮置き不良品の物理的な撤去だけでなく、再発防止・仕組み化まで一貫して説明できる準備
これらが、サプライヤーとして競争力の源泉となります。
まとめ:不良処理の優先度が工場の“未来”を決める
不良品処理は、工場の“隠れた仕事”と思われがちですが、実は未来を変える非常に重要な仕事です。
優先順位を「生産」の次に置くのではなく、「生産の一部」として現場全体で位置付け直す。
その覚悟と仕組み・文化づくりこそが、令和の製造業強化のカギです。
時代遅れのアナログ文化から一歩踏み出し、不良処理の価値転換に取り組む現場が、これからの日本のものづくりをリードすると信じています。
今回の視点が、明日からの現場作りやキャリアアップ、サプライチェーン強化のヒントとなれば幸いです。
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